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パイプ内の流体の蒸発

この例では、水の蒸発による蒸気の生成をモデル化する方法を説明します。液体水は、370 K、1kg/s の速度でパイプに入ります。パイプを 1000 K まで加熱すると、中を流れる水が飽和します。

大きな流体ボリュームの中の水が飽和すると、蒸発プロセスによって流体圧力が急激に上昇する場合があります。パイプを複数のセグメントに分割することで、各セグメントの流体ボリュームが 1 つずつ飽和するようになり、圧力スパイクの強度が軽減されます。

モデル

Pipe Segment 1 サブシステム

Scope からのシミュレーション結果

Simscape ログからのシミュレーション結果

このプロットは、各パイプ セグメントにおける流体ボリュームの圧力を示します。5 回の圧力スパイクは、各パイプ セグメントの流体ボリュームの飽和に対応します。飽和は最後のセグメントから開始し、上流に進んで最初のセグメントに至ります。液体が飽和境界を越えると、液体の比体積が急激に増加します。流体のボリュームが十分な速さで排出されないと、ボリュームの中で圧力が上昇します。Simscape™ Two-Phase Fluid ライブラリでは、Pipe (2P) などのコンポーネントによって、流体が集中定数モデルとして表されます。つまり、コンポーネント内の流体ボリューム全体が一度に飽和するため、プロットで見られるような圧力スパイクが発生します。

モデルによっては、この圧力スパイクによって、上流への急激な逆流のような予期しない動作が発生する場合があります。圧力スパイクを緩和する方法の 1 つは、単一の長いパイプを、複数の短いパイプ セグメントに分割することです。これにより、全体が一度に飽和するのではなく、各パイプ セグメントで小さな流体ボリュームが 1 つずつ飽和するようになります。圧力スパイクを緩和するもう 1 つの方法は、相変化の時定数パラメーターの値を大きくすることです。この例では、水から水蒸気への変化のシミュレーションを行うため、10 m のパイプを 5 本の 2 m のパイプに分割します。

このプロットは、各パイプ セグメントの流体ボリュームの比エンタルピーを示します。比エンタルピーは、ログに記録されたシミュレーション データから直接利用することはできません。しかし、式 h = u + p*v から計算できます。ここで、u は比内部エネルギー、p は圧力、v は比体積です。

流体特性

以下の 2 つの Figure では、水の流体特性を圧力 (p) と比内部エネルギー (u) の関数として、また圧力 (p) と正規化された内部エネルギー (unorm) の関数としてそれぞれプロットします。流体は以下のようになります。

  • -1 <= unorm < 0 の場合、過冷却液体

  • 0 <= unorm <= 1 の場合、二相混合物

  • 1 < unorm <= 2 の場合、過熱蒸気

流体特性のデータは、p と unorm による四角形グリッドとして与えられます。したがって、p と u のグリッドは四角形にはなりません。

水の流体特性のデータは waterPropertyTables.mat にあります。