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角度単位

Simscape™ での角度単位の実装は、角度単位 (特にラジアン) が無次元の単位であるという概念に基づいています。角度単位が無次元であるという考え方は、計量学界では広く受け入れられています。基礎となる角度単位 (ラジアン) は、Simscape の単位レジストリでは次のように定義されています。

pm_addunit('rad', 1, 'm/m');

これは SI および NIST の定義 [1] に対応しています。つまり、Simscape 単位マネージャーは、(長さや質量の大きさのように) 基本単位 'rad' を用いて別の大きさ 'angle' を導入するのではなく、基礎角度単位を「メートル÷メートル」、つまり実質的に 1 として定義しています。

他の角度単位である度と回転は、それぞれ次のように定義されます。

pm_addunit('deg', pi/180, 'rad');
pm_addunit('rev', 2*pi, 'rad');

その結果、sincostan などの三角関数は、角度単位で表現された引数を直接扱うことができます。たとえば、90°の余弦は (pi/2) ラジアンの余弦と等価であり、かつ (pi/2) の余弦とも等価です。三角関数の拡張も同様となります。

角度単位の無次元実装の効果として、この他に仕事からエネルギーへの変換の便があげられます。たとえば、トルク (N*m 単位) に角度 (rad 単位) を乗じて得られる値は、エネルギー (J または N*m 単位) に直接加算できます。この式の成分に相応する他の単位を指定する場合、Simscape 単位マネージャーにより必要な単位変換処理が実行され、同じ結果が得られます。

参考文献

[1] The NIST Reference on Constants, Units, and Uncertainty, https://physics.nist.gov/cuu/Units/units.html