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OpenStreetMap データを使用した道路の作成
OpenStreetMap® は、クラウドソーシングによるマップ データへのアクセスを可能にするオープンソースの無料の Web マップ サービスです。RoadRunner を使用すると、OpenStreetMap ファイルからマップ データをインポートしてプレビューし、それを使用して道路を作成できます。
OpenStreetMap ファイルのインポート
OpenStreetMap データをインポートするには、まず、道路のジオメトリが含まれている OpenStreetMap ファイルを選択する必要があります。これらのファイルを取得するには、openstreetmap.org
にアクセスし、マップ位置を指定して、この位置の周辺領域を手動で調整し、その領域の道路のジオメトリを、拡張子が .osm
の OpenStreetMap ファイルにエクスポートします。OpenStreetMap は、指定された領域内に全長が含まれている道路のみをエクスポートします。この例では、Web サイトから以前にエクスポートした OpenStreetMap ファイルを使用します。
[SD Map Viewer Tool] ボタンをクリックして、ツール バーから SD Map Viewer Tool を開きます。
シーン編集キャンバスの左にあるツール バーで、[Open OpenStreetMap File] ボタンをクリックします。
[Open OpenStreetMap File] ダイアログ ボックスで、このファイルを参照して選択し、[Open] をクリックします。
RRInstallFolder/bin/platform/AssetsInstall/SampleFiles/city.osm
RRInstallFolder
は、ローカルの RoadRunner のインストール フォルダーです。platform
は、お使いの OS プラットフォームのフォルダー名です。
このファイルは、クラウドソーシングによる世界中のマップ データへのアクセスを提供する
https://www.openstreetmap.org
からダウンロードされたものです。このデータは Open Data Commons Open Database License (ODbL) (https://opendatacommons.org/licenses/odbl/
) によりライセンスが付与されています。
SD Map Viewer Tool は、ワークスペースと交差する SD マップ データをインポートし、データを [SD Map] と呼ばれるプレビューに変換して、シーン編集キャンバスに [SD Map] を表示します。[SD Map] には、道路データのノードとリンクが表示されます。
メモ
新しいシーンに OpenStreetMap ファイルをインポートすると、SD Map Viewer Tool では、ファイルに指定されている地理的境界により、ワールド原点が自動的に設定されます。ただし、[World Origin] が既に指定されている既存のシーンに OpenStreetMap ファイルを正常にインポートするには、このファイルに指定されている地理的境界が既存のシーンの [World Origin] の値とほぼ一致している必要があります。
OpenStreetMap では、道路の junction 情報は指定されません。道路が別の道路と交差する場合、SD Map Viewer Tool は、交差する道路のセグメントごとに交差の前と後で個別のリンクを生成します。つまり、2 本の道路が共通の 1 点で交差する場合、junction の作成を容易にするために、ツールにより各リンクが 2 つのリンクに分割されます。基本的に、交差点では 2 つのリンクが、共通のノード 1 つをもつ 4 つのリンクに分割されます。そのため、生成されるリンクの数は、OpenStreetMap ファイルに指定されている道路の数と一致しません。
OpenStreetMap ファイルをシーンにインポートするとき、RoadRunner は値
unclassified
、motorway
、trunk
、primary
、secondary
、tertiary
、residential
、motorway_link
、trunk_link
、primary_link
、secondary_link
、tertiary_link
、living_street
、service
、raceway
、およびroad
をもつ走行可能なハイウェイ道路のみをインポートします。
インポートされたデータの確認
リンクとノードを選択して、インポートされたデータを確認します。[Attributes] ペインで、それらの属性を表示できます。SD マップのシーン編集キャンバスで選択した道路要素のタイプによって、使用可能な属性が決まります。
Simple Link
Id — 選択したリンクの一意の識別番号。
LayerId — 選択したリンクの一意のレイヤー識別番号。
Skip During Build — 作成プロセス中にこのリンクを追加するのかスキップするのかを指定します。この属性を選択すると、[SD Map] はこのリンクを破線として表し、リンクは作成プロセスで無視されます。リンクを実線として表示する作成プロセスにこのリンクを含めるには、この属性をオフにします。
[Skip During Build] 属性をオフにすると、[SD Map Viewer Tool] によって実際のリンクがインポートされて実線として表示されます。
メモ
クリックしてドラッグし、四角形の関心領域内にある複数のリンクを選択します。また、Shift キーを押しながら追加のリンクをクリックすると、選択に追加されます。[Attributes] ペインで、選択したすべてのリンクの [Skip During Build] 属性をまとめて制御できます。
Road Width (in meters) — 選択したリンクに対応する道路の幅。OpenStreetMap では車線や道路の幅は指定されないため、SD Map Viewer Tool は既定の車線幅を 3.5 メートルに設定します。道路の幅は、車線の幅と道路の車線数の積です。
Number of Lanes — 選択したリンクに対応する道路の [Forward] の車線と [Backward] の車線の数。入力ファイルで道路の車線の数が指定されていない場合、SD Map Viewer Tool は進行方向ごとに 1 つの車線があると推定します。既定では、一方通行の道路には 1 つの車線があり、双方向の道路には進行方向ごとに 1 つ、合計 2 つの車線があります。
Travel Direction — 選択したリンクに対応する道路の進行方向。
Forward
、Backward
、またはBidirectional
として指定します。入力ファイルで道路のoneway
タグが指定されていない場合、SD Map Viewer Tool は、双方向の道路であると推定します。
各リンクに複数のコントロール ポイントがあり、各 [Control Point] にその (X,Y,Z) 位置を指定する [Position] 属性が含まれます。
Simple Node
Id — 選択したノードの一意の識別番号。
Connecting Links— 選択したノードに接続されているすべてのリンクを表示します。接続されている各リンクは、関連付けられた ID および方向を含むラベルが付けられます。
道路の作成
次のいずれかのプロセスを使用して、インポートされたデータの道路を作成できます。
全てのデータ — インポートされたすべてのデータを構築します。
リンクの選択 — クリックしてドラッグし、四角形の関心領域内にあるリンクを選択します。
または、選択したリンクを削除して、それらが作成されないようにすることもできます。
この例では、リンクは選択しません。シーン編集キャンバスの左にあるツール バーで、[Build Roads] ボタンをクリックし、[SD Map Builder] ダイアログ ボックスを開きます。
[SD Map Builder] ダイアログ ボックスで、次のオプションを表示および変更できます。
Destructive Options — これらのオプションを設定またはオフにすると、インポートされたマップから既存のデータが削除され、構築されたシーンに不可逆的な変更が生じます。
オプション | 説明 |
---|---|
Preserve Heights | OpenStreetMap ファイルには、道路の標高情報は含まれません。既定では、このオプションは適用できません。 依存関係
|
Clear Scene of Existing Data | 既定では、SD Map Viewer Tool を使用してシーンを構築する場合、既に作成された道路はシーンから削除されます。シーン内の既存の道路を維持するには、このオプションをオフにします。 |
Non-Destructive Options — これらのオプションを設定またはオフにしても、インポートされたマップから既存のデータは削除されず、構築されたシーンに不可逆的な変更は生じません。
オプション | 説明 |
---|---|
Driving Side | SD Map Viewer Tool では、道路の左側通行が既定の設定です。道路の右側通行にするには、ドロップダウン リストから |
Enable Overlap Groups | Enable Overlap Groups — 既定では、SD Map Viewer Tool は道路のオーバーラップにおいて自動 junction を作成しません。junction を作成するために、このツールは、インポートされた SD マップ データに指定されている明示的な junction 情報を使用します。幾何学的なオーバーラップにおいて自動 junction を作成するには、このオプションをオフにします。オーバーラップ グループの詳細については、道路間の自動 junction 作成を防止を参照してください。 [Enable Overlap Groups] 属性を選択すると、[Overlap Group Name] 属性は、ツールにより既定で |
Auto Detect Bridges | このオプションを選択すると、道路の標高が異なる場合に、SD Map Viewer Tool によって道路の交差点に橋が作成されます。既定では、ツールは交差点の両側で橋を 20 メートル延長します。[Bridge Span Inflation] の値を変更して延長の長さを変更できます。ツールによって橋が作成されないようにするには、このオプションをオフにします。詳細については、Road Construction Tool を参照してください。 依存関係 このオプションは、[Elevate Roads by Layer] オプションが有効になっており、インポートされた OpenStreetMap ファイルにレイヤー情報が含まれている場合にのみ適用できます。 |
Scene Builder Options — これらのオプションを指定することで、橋や道路など、インポートされたデータの構築されたシーンでの表現が向上します。
オプション | 説明 |
---|---|
Elevate Roads by Layer | OpenStreetMap ファイルに道路の標高情報が含まれておらず、インポートされたファイルにオーバーラップする道路が含まれている可能性があります。レイヤー情報を使用して橋を高い位置に上げるには、このオプションを有効にします。高架橋をより良く作成するには、[Preserve Heights] オプションと [Auto Detect Bridges] オプションも有効にします。 依存関係
|
Create Turn Lanes | 屈折車線は、双方向の道路の順方向または逆方向を示します。既定では、インポートされた道路に屈折車線区分線は含まれません。屈折車線情報を使用して屈折車線区分線を含めるには、このオプションを有効にします。 依存関係
|
Build Info — インポートされたすべてのデータ内およびシーンの道路の選択された一部内にあるリンク長とリンク数を表示します。
シーンのすべての道路を作成するには、[Build All] をクリックします。シーンの道路の一部のみを作成するには、シーンに含めるリンクを選択して [Build Selected] をクリックします。
この例では、既定のオプションを使用してシーンを構築しています。
[Elevate Roads by Layer] オプションおよび [Create Turn Lanes] オプションを有効にして道路を作成することもできます。city.osm
ファイルにはレイヤー情報および屈折車線情報が含まれることに注意してください。
メモ
[Elevate Roads by Layer] オプションおよび [Create Turn Lanes] オプションにアクセスするには、RoadRunner Scene Builder のライセンスが必要です。
構築されたシーン内で、屈折車線区分線を含む道路および junction の高架橋および高架交差路を可視化できます。
道路を作成した後で、RoadRunner でシーンを変更できます。また、シーンを ASAM OpenDRIVE® ファイルにエクスポートすることもできます。詳細については、ASAM OpenDRIVE へのエクスポートを参照してください。
道路の作成時に RoadRunner で車線区分線のオーバーラップが検出された場合、[SD Map Builder Results] ダイアログ ボックスに次のメッセージが表示される可能性があります。
>WARNING:Lane marking overlaps detected.Adjust road centers at these locations
この問題を解決するには、Road Plan Tool を開き、オーバーラップする場所をクリックしてそこに移動し、道路の中央を調整します。
インポートおよびビルドの問題のトラブルシューティング
マップ データを構築する領域によっては、SD Map Viewer Tool でデータをインポートして道路を作成するときに、問題が発生する可能性があります。次の既知の問題を修正するには、以下の手順に従います。
隙間
問題 | 解決法 |
---|---|
作成された道路には、交差点にある道路間の隙間が含まれている。 | Custom Junction Toolを開き、影響を受けている junction に移動し、[Attributes] ペインで補助線の [Distance] を増やします。Custom Junction Toolを選択すると、補助線が赤い線で表示されます。これは、junction の境界を調整するために使用されます。 |
急峻な道路メッシュ
問題 | 解決法 |
---|---|
作成された道路で、道路の junction における道路メッシュに急峻な立ち上がりまたは立ち下がりが含まれる。 | Corner Toolを開き、影響を受けている junction に移動し、[Attributes] ペインで [Corner Radius] を減らします。 |
地形の下の道路
問題 | 解決法 |
---|---|
構築されたシーンで、地形の下に道路が含まれる。 | Surface Toolを開き、影響を受けている場所に移動して、手動で地形を調整します。 |
制限
RoadRunner では、
openstreetmap.org
からのライブ マップ データの直接インポートはサポートされていません。OpenStreetMap データには道路の標高情報が含まれないため、RoadRunner は、道路を横切る橋または高架交差路を、交差する道路として作成します。
作成された道路に伴う一部の問題は、OpenStreetMap サービスの欠損しているマップ データまたは不正確なマップ データが原因の可能性があります。マップ サービスのためにデータが欠損している、または不正確になっているかどうかを確認するには、外部マップ ビューアーでマップ データを表示します。
参考
SD Map Viewer Tool | Custom Junction Tool | Corner Tool | Surface Tool
トピック
- Build Roads by Using Zenrin Japan Map API 3.0 (Itsumo NAVI API 3.0) Data
- ASAM OpenDRIVE へのエクスポート
- ASAM OpenDRIVE ファイルのインポート