Main Content

熱電冷却器としてのペルチェ素子の使用

この例では、冷却モードで動作する、高温側の温度を 50℃に設定したペルチェ素子を示します。冷却モードでは、ペルチェ式セルのパフォーマンス係数 (COP) は、熱電冷却器 (TEC) を通じて伝達された熱の合計を入力電力で除算した値 COP = Qc/Pin に等しくなります。

最初のサブプロットは、COP を、いくつかの温度差における電流の関数として示します。同じ電流値では、温度差が大きいほうが COP 値が低いことが観測できます。これは、温度差が大きいと、高温側から低温側への自然伝熱が大きくなる傾向があるために起こります。

ペルチェ モジュールの高温側に接続された熱源により、理想的なヒート シンクを表現することができます。つまり、高温側の温度を上げずに、無限大の量の熱を散逸させることができるシンクです。この表現によって、COP と冷却流の曲線の良好な近似を得ることができます。

2 番目のグラフは、入力電流に伴って熱流量が変化する様子を示しています。電流の増加に伴って、冷却側から抽出された熱が、最高値に達するまで上昇します。このピークの後は、ジュール熱が原因で電流が増加することにより、冷却流が減少します。

最後のグラフは、各温度差について COP 値が最大になる動作電流を示しています。この最適操作点は、TEC コントローラーの出力電流を選択する際に有用な情報となります。

このモデルで使用されている Peltier ブロックは、次によって定義されます。

  • ゼーベック係数 = 220e-6 V/K

  • 内部抵抗 = 0.02 Ω

  • 熱伝導 = 1.5e-3 W/K

モデル

Simscape ログからのシミュレーション結果

以下のプロットは、さまざまな温度差における、入力電流に対するペルチェ素子のパフォーマンス係数とヒート ポンプ機能を示しています。

リアルタイム シミュレーションの結果

この例は、Intel® 3.5 GHz i7 マルチコア CPU を搭載した Speedgoat Performance リアルタイム ターゲット マシンでテストされました。このモデルは、30 マイクロ秒のステップ サイズでリアル タイム実行できます。