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CERT C: Rule FLP34-C

Ensure that floating-point conversions are within range of the new type

説明

ルール定義

浮動小数点の変換は新しい型の範囲内になるようにします。1

Polyspace 実装

このチェッカーは、以下をチェックします。

  • 浮動小数点変換のオーバーフロー

  • 浮動小数点から整数への変換のオーバーフロー

チェッカーの拡張

入力値が不明であり、入力のサブセットのみがエラーの原因として考えられる場合、既定の Bug Finder 解析ではこのルールに対する違反が報告されない場合があります。特定のシステム入力値を原因とする違反の有無をチェックするには、より厳密な Bug Finder 解析を実行してください。特定のシステム入力値から欠陥を見つけるための Bug Finder チェッカーの拡張を参照してください。

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問題

"浮動小数点変換のオーバーフロー" は、浮動小数点数値をより小さい浮動小数点データ型に変換するときに発生します。変数に元の値を表現するだけの十分なメモリがない場合、変換はオーバーフローします。

異なる浮動小数点型への正確なストレージ割り当てはプロセッサに依存します。ターゲット プロセッサ タイプ (-target)を参照してください。

リスク

オーバーフローにより、計算の結果が予期しない値になる場合があります。実装に使用している丸めモードに応じて、結果が無限大または最大の有限値になる可能性があります。以降の計算でオーバーフローの発生した変換の結果を使用しており、オーバーフローを考慮していない場合、予期しない結果になることがあります。

修正方法

修正方法は欠陥の根本原因によって異なります。多くの場合、結果の詳細には欠陥につながる一連のイベントが表示されます。このイベント リストを使用して、変換対象の変数がどのように現在の値を取得したのかを確認します。そのシーケンス内のどのイベントについても修正を実装できます。結果の詳細にイベント履歴が表示されない場合は、ソース コード内で右クリック オプションを使用して逆のトレースを行い、これまでの関連するイベントを確認できます。Polyspace デスクトップ ユーザー インターフェイスでの Bug Finder の結果の解釈も参照してください。

この欠陥は次のようにして修正できます。

  • すべての値に適応できるように、変換の結果に対してより大きいデータ型を使用。

  • オーバーフローにつながる値をチェックし、適切なエラー処理を実行。

一般的に、より小さい浮動小数点型への変換は避けます。

以下の修正例を参照してください。

問題を修正しない場合は、改めてレビューされないように結果またはコードにコメントを追加します。詳細は、以下を参照してください。

既定では、Bug Finder 解析は無限大と NaNs を認識しません。結果が無限大および NaNs になる演算には、欠陥としてフラグが設定される可能性があります。コードで無限大および NaN の値を処理するには、オプション [非有限の浮動小数点を検討] (-allow-non-finite-floats) を使用します。

例 - double から float への変換
float convert(void) {

    double diam = 1e100;
    return (float)diam; //Noncompliant
}

return ステートメントで、double 型 (64 ビット) の変数 diam が float 型 (32 ビット) の変数に変換されています。しかし値 1^100 を正確に表現するには、33 ビット以上が必要です。

問題

"浮動小数点から整数への変換のオーバーフロー" は、浮動小数点数値を整数データ型に変換するときに発生します。値の整数部分が、整数データ型に使用可能なストレージ内で表現できない場合、変換はオーバーフローします。

リスク

浮動小数点型から整数型への変換時に、浮動小数点値が整数型で表現できる範囲外にある場合、その動作は未定義になります (C 標準 6.3.14 および 6.3.15)。

修正方法

この欠陥は次のようにして修正できます。

  • すべての値に適応できるように、変換の結果に対してより大きいデータ型を使用。

  • オーバーフローにつながる値をチェックし、適切なエラー処理を実行。

    float 変数 var での値のオーバーフローのチェックは以下のようになります。

    
    if  isnan(var) 
        || popcount(INT_MAX) < log2f(fabsf(var)) 
        || (var != 0.0F && fabsf(var) < FLT_MIN)){
        // Handle error
    }
    else {
        // Perform operations on var
    }
    
    このチェックでは、浮動小数点値を整数型内で表現可能かどうかを判別します。

    • 値が NaN ではない。

    • この値を格納するために必要なビット数が、INT_MAX のビット数 (int 型で表現可能な最大整数) よりも少ない。関数 popcount (ここでは定義されていない) が、数値の 1 (またはセット ビット) の数をカウントする。

    • 浮動小数点値が、表現可能な最小浮動小数点値よりも小さくない。

例 - オーバーフローを処理せずに浮動小数点値から整数へ変換する

void func(float fVar) {
  int iVar;  
  iVar = fVar; //Noncompliant //Noncompliant
}

この例では、整数型への変換前に fVar の浮動小数点値でオーバーフローがチェックされていません。引数 fVar には int データ型内で表現できない値が含まれている可能性があるため、解析は潜在的なオーバーフローにフラグを設定します。

この例では func が呼び出されず、オーバーフローは可能性に過ぎないことに注意してください。このような問題を確認するには、解析オプション[システムのすべての入力値を考慮する、さらに厳密なチェックを実行] (-checks-using-system-input-values) を追加します。

チェック情報

グループ: Rule 05.浮動小数点 (FLP)

バージョン履歴

R2019a で導入


1 This software has been created by MathWorks incorporating portions of: the “SEI CERT-C Website,” © 2017 Carnegie Mellon University, the SEI CERT-C++ Web site © 2017 Carnegie Mellon University, ”SEI CERT C Coding Standard – Rules for Developing safe, Reliable and Secure systems – 2016 Edition,” © 2016 Carnegie Mellon University, and “SEI CERT C++ Coding Standard – Rules for Developing safe, Reliable and Secure systems in C++ – 2016 Edition” © 2016 Carnegie Mellon University, with special permission from its Software Engineering Institute.

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