ウィーン工科大学のロボットシステム研究所がリアルタイム テストに MATLAB を活用

Franka Robotics がずれのないインパクトとハードウェアインザループ実験を実現

「Franka Toolbox for MATLAB は、理論とシミュレーションに基づいて開発したアルゴリズムを実際のロボットに直接転送できるため、非常に便利になりました。」

主な成果

  • MATLAB と Simulink ツールにより、物理ロボットとの通信が信頼できる効率の高いものとなりました。
  • 研究者は MATLAB を使用してロボット シミュレーションと物理ロボットの制御をシームレスに移行できるようにしました。
  • MATLAB を使用した物理ロボットのシミュレーションと通信により時間が節約され、研究者は制御システムの開発に集中できるようになりました。
パイプを検査する吊り下げ式空中ドローンに取り付けられた Franka Robotics のマニピュレーターと物理的なマニピュレーターを連動して動作させ、Simulink でハードウェアインザループ テストのデモを行うウィーン工科大学の研究者。

研究者は、MATLAB と Simulink のツールを使用して、吊り下げ式マルチローター操作プラットフォームのハードウェアインザループ シミュレーションを実施しました。

Franka Robotics は、関節式ロボットアームを含むロボット プラットフォームとシステムの開発に注力しているドイツの企業です。研究に従事する顧客がコンピュータ シミュレーションと物理的なリアルタイムテスト間をスムーズに移行できるように、Franka チームは Franka Toolbox for MATLAB®を開発しました。オーストリアのウィーン工科大学ロボットシステム研究所のクリスチャン・オット教授の指揮の下、研究所内ではこのツールを複雑なシナリオに利用しています。 

あるシナリオでは、吊り下げられたマルチローター プラットフォームに取り付けられたマニピュレーターで構成される複雑なロボット システムのハードウェアインザループ シミュレーション テストを行うために、Franka FR3 ロボットが活用されています。研究者は MATLAB と Simulink® でシステムのダイナミクスを完全にシミュレーションし、Franka ロボットでマニピュレータのエンドエフェクタのダイナミクスをエミュレートして、実際の接触力フィードバックを提供しました。Franka Toolbox for MATLAB はこのプロセスを容易にし、Simulink を介してシステム全体をリアルタイムで操作して監視できるようにしました。

研究チームはこのツールボックスを使用して、Franka ロボットのエンドエフェクタのインパクト後のずれも研究しました。このような接触時のずれを抑制することは、ハンマー打ちやスタンピングなどのロボット アプリケーションにとって不可欠です。ウィーン工科大学の研究者らは、ロボットの慣性と運動特性によって変化するターゲット固有の非スリップインパクトの方向 (NSID) と接近方向が一致していれば、ずれを防止できることを示しました。最適化により、適切なターゲット ポイントを識別できます。たとえば、垂直でずれのないインパクトが可能になります。

このプロジェクトのモデルベース解析は MATLAB と Simulink を使用して実施され、結果は Franka Toolbox for MATLAB で検証されました。研究者たちは、シミュレーションから物理テストへのシームレスな移行と、Simulink のユーザー インターフェイスを簡単に実装できる機能にメリットがあることに気付きました。チームは、ターゲットと NSID の変動を示すインタラクティブなデモを作成しました。ユーザーは、ロボットのライブアニメーションで対応する NSID を観察しながら、ロボットを目的の位置に誘導できます。ターゲットが設定されると、インパクトが実行され、NSID の下でのみ、ずれが抑制されることを実証できます。

Franka Toolbox for MATLAB を使用すると、研究者は Franka ロボットを Simulink から直接制御できるため、効率的な制御システムの実装、オンライン パラメーター調整、迅速なユーザー インターフェイス開発などの MATLAB と Simulink の機能を利用することができます。これにより、Simulink でのロボット シミュレーションと実際のテスト間のシームレスな移行が容易になり、チーム間のコラボレーションが強化され、アプリケーションの制御システムの開発に集中する時間が増えます。

将来的に、チームは MATLAB と Simulink をさらにロボット ハードウェアに活用していく方法を検討したいと考えています。