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VSC ベースの HVDC 送電システム (詳細モデル)

この例では、VSC ベースの HVDC 送電リンク 200 MVA (+/- 100kV) を示します。

Silvano Casoria (Hydro-Quebec)

説明

200 MVA (+/- 100 kV DC) 強制整流電圧源コンバーター (VSC) の相互接続は、230 kV、2000 MVA、50 Hz のシステムから別の同一な AC システムに送電するために使用されます。整流器とインバーターは、ほぼ理想的な IGBT やダイオードを使用する 3 レベルの中性点クランプ形 (NPC) VSC コンバーターです。正弦波パルス幅変調方法 (SPWM) によるスイッチングでは、基本周波数の 27 倍の周波数 (1350 Hz) の単相三角搬送波を使用します。コンバーターの他に、Station には AC 側にステップ ダウン Yg-D 変圧器、AC フィルター、コンバーター リアクトルがあり、DC 側にコンデンサと DC フィルターがあります。変圧器のタップ切換器と飽和特性は、シミュレーションでは考慮されません。40 Mvar の分路 AC フィルターは第 27 次と第 54 次のハイパス フィルターで、この 2 つの優位な高調波に基づき調整されています。0.15 p.u. の変圧器漏れリアクタンスを伴う 0.15 p.u. のコンバーター リアクトルにより、AC システムの系統連系点 (PCC) (Station 1 では母線 B1、Station 2 では母線 B2) に対して VSC 出力電圧の位相と振幅のシフトが可能になり、コンバーターの有効電力と無効電力の出力を制御できます。リザーバ コンデンサは、VSC 端子の DC 側に接続されています。このリザーバ コンデンサは、システムの動特性と DC 側の電圧リップルに影響します。高調波をブロックするフィルターは、第 3 次高調波、すなわち、正極と負極の電圧にあるメインの高調波をブロックするように調整されます。整流器とインバーターは、75 km ケーブル (2 つのπ型セクション) と 8 mH の平滑リアクトルを介して相互に接続されています。ブレーカー (Three-Phase Fault ブロック) は、インバーターの AC 側に三相地絡故障を発生させるために使用されます。Three-Phase Programmable Voltage Source ブロックは、Station1 (Rectifier) サブシステムにおいて、電圧低下を発生させるために使用されます。

離散制御システムは 3 つの正弦波変調信号を生成し、これがブリッジ相電圧の参照値となります。変調信号の振幅と位相を計算して、以下を制御できます。PCC での無効および有効 AC 電力潮流、または PCC での無効電力潮流と極間 DC 電圧。また、PCC での AC 電圧の振幅を制御することも可能ですが、このオプションはこのモデルには含まれていません。制御システムの説明は、ユーザー マニュアルの「電圧源コンバーター (VSC) を使った高圧直流送電 (HVDC)」のケース スタディを参照してください。電力システムと制御システムは、それぞれサンプル時間 Ts_Power=7.406e-6 秒および Ts_control=74.06e-6 秒で離散化されます。これらは搬送波周期の倍数です。モデルの "Model initialization" 関数によって、MATLAB® ワークスペースでこれら 2 つのサンプル時間が自動的に設定されます。

シミュレーション

2 つのシミュレーションにより、次の項目に対するシステム応答を調べることができます。

1) 制御器の基準値におけるステップ

2) AC 側での微小および重大な摂動

定常状態 - 電力 (P と Q) および DC 電圧レギュレーターのステップ応答

このシステムは、始動から定常状態までをシミュレーションできるようにプログラムされています。その後、次のステップが順に適用されます。整流器の指令有効電力および無効電力、インバーターの指令 DC 電圧。これにより、制御器の動的な応答が観察されます。シミュレーションを開始します。BUS B1 STATION_1 スコープと DC_SIDE_STATION_2 スコープを (それぞれの Data Acquisition サブシステムで) 開きます。以下を調べます。ステーション 1 のトレース 2 の有効電力 (1 p.u. = 200 MW) と、トレース 3 の無効電力 (指令値と測定値) (1 p.u. = 200 Mvar) 。ステーション 2 ではトレース 2 の DC 電圧 (指令値と測定値) (1 p.u. = 200 kV)。

t = 1.5 秒で、-0.1 p.u. のステップがまず基準有効電力に適用されます (1 p.u. から 0.9 p.u. への減少)。電力は約 0.3 秒で安定します。ステップはまた、t = 2.0 秒で整流器の基準無効電力に (0 から -0.1 p.u. に減少)、t = 2.5 秒でインバーターの基準 DC 電圧に適用されます (1 p.u. から 0.95 p.u. に減少)。制御器のダイナミクスや、制御器がどのように相互に影響するかに注意してください。制御設計では、有効電力と無効電力の応答を分離するよう試みます。

AC 側の摂動

[ステップ時間] の増倍率を 100 に変更し、3 つの基準値に適用されるステップを無効にします。AC System 1 サブシステム内の "Three-Phase Programmable Voltage Source" で、[Time variation] 設定を [振幅] に変更します。t = 1.5 秒で電圧振幅に -0.1 p.u のステップが 7 サイクルの間適用されるよう、電源がプログラムされていることを確認します。"Three-Phase Fault" ブロックで、[Transition times] の増倍率を 1 に変更します。Station 2 の PCC (母線 B2) で、6 サイクルの三相故障が t = 2.1 秒のときに適用されます。再度、シミュレーションを実行してください。

Station 1 での AC 電圧低下後、外乱前からの有効電力と無効電力の偏差はそれぞれ 0.09 p.u. 未満および 0.2 p.u. 未満です。回復時間は 0.3 秒よりも短く、再度定常状態に到達します。その後に第 2 の摂動が発生します。Station 2 での重大な三相故障の間、DC 電力の送電はほぼ停止し、DC 電圧は増加傾向にあります (1.2 p.u.)。これは、DC 側の静電容量が過度に充電されているためです。(Station 1 の) Active Power Control の特別な機能 (DC Voltage Control Override) が、DC 電圧を固定範囲内に制限しようと試みます (コントローラー マスクを確認)。システムは故障から 0.5 秒以内に十分に回復します。有効電力でオーバーシュート (Station 1 で1.33 p.u.) を、無効電力で減衰振動 (約 10 Hz) を観察できます。

DC 電圧平衡制御の影響

VOLTAGE_BALANCE_CONTROL_STATION_2 スコープを開きます。最後に、Station 2 の制御ダイアログ ボックスを開き、[DC Voltage Balance] ボックスが有効であることを確認します。DC 電圧平衡制御の目的は、電圧の不平衡を最小限に抑えることです (Udc_0_mean 信号は、正極電圧と負極電圧の合計です)。不平衡を発生させる 1 つの方法は、正極と負極で異なる静電容量の値を使用することです (たとえば、Cp ÷ 2)。Udc_0_mean 信号で、DC 平衡制御が最初は有効で、その後無効になることを観察してください。この機能の応答は比較的遅いことに注意してください。