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可変 DC リンク 6 ステップ インバーターを使用したブラシレス DC モーター ドライブの回転数調整

この例では、可変 DC リンク 6 ステップ インバーターを使用した、ブラシレス DC (BLDC) モーター ドライブの回転数調整について説明します。

説明

基本的な形式の BLDC モーターは、三相インバーターから電力が供給され、台形逆起電力をもつ永久磁石同期モーターで構成されます。回転子に取り付けられた位置センサーが、固定子電流と逆起電力との同期に必要な位置信号を提供するため、モーターは常に同期モーターとして動作します。電圧の大きさがモーターの回転数に比例するため、三相インバーターに接続された DC リンク電圧を変化させることにより回転数を調整できます。

電気モデル

DC/DC コンバーターは理想的な DC 電源から電力の供給を受け、その出力フィルターは DC リンク電圧を変化させることが可能です。DC 母線は三相 2 レベル コンバーターに接続されています。このコンバーターは、300 W、4000 rpm の BLDC モーターの作動に適切な三相電圧を生成します。

制御システム

この制御システムには次の主要コンポーネントがあります。

  1. 速度調整器 - この調整器は実際のモーター回転数を回転数指令値と比較し、DC 電圧指令値を生成します。

  2. 電圧レギュレーター - 測定された DC リンク電圧を指令値と比較します。得られた誤差がアンチワインドアップ PI 制御器に渡されます。誤差を修正するために、レギュレーターは必要なデューティ比 (D) の値を DC-DC コンバーターに出力します。

  3. 転流シーケンスとパルス生成 - 逆起電力は台形波状 (120° の平坦領域をもつ) であるため、逆起電力が一定である時間間隔に電流も一定に維持されている場合、最小リップルで最大トルクが発生します。この条件は、インバーターで同時に 2 相のみが通電する 6 ステップ動作を意味します。回転子の位置 (ホール効果センサーから取得) とモーターの回転方向に基づき、このブロックはモーターに電力を供給する三相インバーターに適切なパルスを生成します。

次の表は、モーターを反時計回りに回転させるときに起こり得る 6 つの転流シーケンスの一覧です。

次の図は、モーターを反時計回りに回転させるときに起こり得る 2 つの転流シーケンスを示しています。

BLDC モーターを適切に動作させるには、固定子磁束と回転子磁束の間の角度を 90 度付近に維持する必要があります。6 ステップ制御を使用すると、モーターは合計 6 つの固定子磁束ベクトルをもつ可能性があります。固定子磁束ベクトルは、特定の回転子位置で変更する必要があります。ただし、6 ステップ制御手法では、回転子磁束と固定子磁束の間の角度を 90 度に維持できません。実際の角度は 60 度から 120 度まで変化します。

[C- B+] シーケンスについて、図の左側のイメージから、固定子の北極からの回転子の北極の位置が 60 度から 120 度まで変化し、同じ極性をもつ各極間の斥力により反時計回りの回転が起こることを確認できます。同時に、固定子の北極までの回転子の南極の位置が 120 度から 60 度まで変化し、ここでも異なる極性をもつ各極間の引力によって反時計回りの回転が起こります。

シミュレーション

シミュレーションを実行し、Scope 1 で波形を観察します。最初に、モーターは無負荷で 4000 rpm で回転します。

0.1 秒で、負荷トルク 0.6 N.m がモーターに加えられます。モーター回転数を 4000 rpm に維持するために、制御システムは DC リンク電圧指令値を上昇させます。

0.25 秒で、回転数指令値が 1000 rpm に低下します。新しい回転数指令値に従うために、制御システムは DC リンク電圧指令値を大幅に低下させます。モーター相電流の周波数が低下していることに注目してください。

Scope 2 で、DC レギュレーターの出力 (D) および DC リンク電圧の変動を観察できます。

リアルタイム シミュレーション

Simulink Real-Time と Speedgoat ターゲット コンピューターがある場合は、このモデルをリアルタイムで実行できます。

  1. [コンフィギュレーション パラメーター] ウィンドウを開いて (または "Ctrl+E" を押す)、[コード生成] をクリックし、[システム ターゲット ファイル] を Simulink Real-Time モデルの STF に設定します。

  2. ターゲットに接続し、[リアルタイム] タブの [ターゲットで実行] をクリックします。

これにより、ターゲット上で自動的にモデルが作成、展開および実行されます。ターゲットのストリーミング帯域幅に応じて、ターゲットからホスト コンピューターにリアルタイムで転送される信号数を減らさなければならないことがあります。

参考文献

Musil, J. "3-Phase BLDC Drive Using Variable DC Link Six-Step Inverter." Freescale Czech Systems Laboratories.2006.

参考

Motor Control (Part 1): An Introduction to Brushless DC Motors, Melda Ulusoy, MathWorks https://www.mathworks.com/support/search.html/videos/brushless-dc-motors-introduction-1564728874059.html?fq=asset_type_name:video%20category:physmod/sps/index&page=1