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運動エネルギー回生システム

この例では、フォーミュラ 1 カーの運動エネルギー回生システム (KERS) の動作を説明します。モデルでは、そのメリットを調べることができます。ブレーキをかけると、エネルギーがリチウムイオン電池とウルトラコンデンサの組み合わせに保存されます。最大出力 60 KW で、1 ラップあたり最大 400 KJ のエネルギーを供給するものと仮定します。設計パラメーターは、バッテリー、ウルトラコンデンサ、およびモーター発電機の重量です。これらのパラメーターをすべて 0.01 kg というごく小さい値に設定すると、ラップ タイムは 95.0 秒となりますが、これは、KERS のない車に対応します。ここで設定した既定値では、利用可能な電力をブレーキをかけていないときに使用すると、ラップ タイムがおよそ 1/4 秒縮まります。選択したコーナーのみに KERS を適用する場合、有意なメリットを示すには、より大きなウルトラコンデンサが必要です。

このモデルは、Simscape™ Electrical™ と Simscape を使用してシステムレベルの設計を支援する方法を示します。KERS のパフォーマンスは、3 つのメイン コンポーネント (電池、ウルトラコンデンサ、モーター発電機) の質量と、エネルギー管理戦略の間の複雑なトレードオフです。KERS システムによって質量が増えるため、エンジンによる加速は抑えられます。ブレーキによって保存される電気エネルギーは、これを補って余りあるものでなければなりません。リチウムイオン電池は、単位質量あたりのエネルギーが非常に大きい一方で、単位質量あたりの電力は小さくなっています。逆に、ウルトラコンデンサは単位質量あたりのエネルギーが比較的小さい一方で、単位質量あたりの電力が非常に大きいため、ここでの用途に適しています。

モデル

PMSM Drive サブシステム

Battery and Ultracapacitor サブシステム

Predict Speed at Corner If Maximum Braking Used サブシステム

Simscape ログからのシミュレーション結果

以下のプロットは、1 回のラップにおける車両速度を示しています。運転者はコースのコーナーで車両が走行すべき最高速度がわかっているので、コーナーでその速度になるようブレーキをかけます。

以下のプロットでは、加速時に電気駆動装置を使用する 2 つの戦略を比較しています。一方の戦略ではすべてのコーナーで電気パワートレインを使用し、もう一方では選択したコーナーでのみ使用します。この違いは、モーター トルクのプロットで最も見やすくなっており、コーナーを選択する戦略の場合、ラップのいくつかのコーナーでモーターのトルクがゼロになっています (急減速と急加速)。

リアルタイム シミュレーションの結果

この例は、Intel® 3.5 GHz i7 マルチコア CPU を搭載した Speedgoat Performance リアルタイム ターゲット マシンでテストされました。このモデルは、400 マイクロ秒のステップ サイズでリアル タイム実行できます。