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誤点弧を起こす同期整流式降圧コンバーターの解析

この例では、同期整流式降圧コンバーターの誤点弧のメカニズムを解析します。Low 側の MOSFET Q2 がオフのときに High 側の MOSFET Q1 がオンになると、Q2 のドレインとソースの間の電圧勾配 dv/dt により、Q2 のゲート-ドレイン静電容量を介して電流が流れます。この電流は、Q2 のゲートとソースの間に電圧を誘起します。この電圧がしきい値電圧を超えると、Q2 は誤ってオンになります。この例では、MOSFET のパラメーターが誤点弧のメカニズムに与える影響と、その防止方法を説明します。

同期整流式降圧コンバーターの概要

出力電圧と誤点弧のシミュレーション

以下のプロットは、降圧コンバーターの出力電圧を示すもので、Q2 の誤点弧のメカニズムを表しています。モデルのデューティ比は 50% に等しくなっています。この例では、誤点弧現象を示すためにゲート抵抗が非常に高くなっています。Q2 は、Q1 のゲート ソース電圧の立ち上がりエッジで誤点弧を起こします。

High 側の MOSFET Q1 のゲート抵抗の効果

Q1 がオンになると、そのゲート抵抗が Q2 のドレイン-ソース電圧の勾配に影響します。ゲート抵抗が高いほどドレイン-ソース電圧の勾配率が小さくなり、Q2 の誤点弧の発生が減少します。

Low 側の MOSFET Q2 のゲート抵抗の効果

Q2 のゲート抵抗は、そのゲートのピークと、ゲート電荷の放電に要する時間に直接比例します。

Low 側の MOSFET Q2 のゲート ドレイン静電容量の効果

Q2 のゲート-ドレイン静電容量 Cgd を通して流れる電流は、ゲート-ドレイン静電容量の値に比例します。Cgd を小さくすると、Low 側の MOSFET の誤点弧メカニズムの防止に役立ちます。

Low 側の MOSFET Q2 のゲート ソース静電容量の効果

ゲート-ソース静電容量 Cgs を高い値にすると、Q2 のゲート ソース電圧のピークが減少し、ゲート電荷の放電に要する時間が増加します。Q2 のゲート-ソース電圧は Cgd/(Cgs+Cgd) に比例するため、誤点弧メカニズムを防止するには、Cgd/Cgs 比の低い MOSFET を使用します。ただし、ゲート-ソース静電容量の値を高くすると、スイッチング速度が低下します。

誤点弧メカニズムを防止する方法

MOSFET の誤点弧メカニズムを防止するには、しきい値電圧が高く、ゲート ドレイン静電容量が低く、ゲート ドレインとゲート ソースの静電容量比が小さい MOSFET を実装します。MOSFET のゲートとソースの間にコンデンサを追加して、Cgd/Cgs 比をさらに低下させることができます。