プロジェクトの作成
MATLAB® でプロジェクトを作成して、作業を整理したり、管理したり、他のユーザーと共有したりできます。プロジェクトは、設定と環境を標準化し、さまざまなユーザーやオペレーティング システム間で一貫性を維持するのに役立ちます。
プロジェクトとは
プロジェクトとは MATLAB および Simulink® のファイル、データ ファイル、要件、レポート、スプレッドシート、テストおよび生成されたファイルを 1 か所でまとめて管理できる拡張性のある環境です。
設計が拡大するにつれて、参照ファイルと依存関係の管理が複雑化します。プロジェクトを使用すると、大規模なフォルダー階層の管理の複雑さが軽減され、作業や共同作業が促進されます。プロジェクトを使用して、次のことができます。
プロジェクトが開いているときに、MATLAB 検索パスと依存関係を管理する。
依存関係アナライザー アプリを使用して、プロジェクトに必要なすべてのファイルと依存関係を検出する。
起動時とシャットダウン時に実行されるタスクの自動化と、頻繁に実行するタスクのショートカットを使用して、ファイルと設定を管理および共有する。
設計を最新リリースにアップグレードする。
整合性チェックを実行し、優先順位の低いファイルおよび変更が保存されていないファイルを特定する。
他のユーザーと共同作業する。
MATLAB ソース管理統合 (Git™ および SVN) を使用する。
分類ラベルを使用してファイルを整理し、テスト ファイルにラベルを付ける。テスト ラベルにより、テスト スイートを簡単に識別し、CI サーバー上で簡単にテストを実行できます。
比較ツールを使用して、同僚がユーザーの作業を確認する。
参照プロジェクトを使用してコードを再利用し、モジュール型開発と個々のコンポーネントのリリースを可能にする。
設計を追跡、共有、パッケージ化、および展開する。
プロジェクト テンプレートを作成してプロジェクト フォルダー階層を標準化する。
既存フォルダーからのプロジェクトの作成
既存のフォルダーからプロジェクトを作成するには、次の手順に従います。
[ホーム] タブで、[新規] 、 [プロジェクト] をクリックします。あるいは、[プロジェクト] パネルから [新規プロジェクト] をクリックします。
サイドバーに [プロジェクト] パネルがない場合は、サイドバーの [パネルをさらに開く] ボタン (
) を使用して追加します。
[プロジェクトを作成] ダイアログ ボックスで、プロジェクト名を入力し、プロジェクトを作成する既存のフォルダーを選択して、[OK] をクリックします。
MATLAB はすべてのファイルとフォルダーを新しいプロジェクトに追加します。
空のフォルダーを選択すると、MATLAB は空のプロジェクトを作成します。プロジェクトにファイルを追加するには、プロジェクトへのファイルの追加を参照してください。
既定では、MATLAB は、[ファイル] パネルで現在開いているフォルダーを [フォルダー] フィールドに事前入力します。プロジェクトの基本設定で、新しいプロジェクトを作成する既定のフォルダーを指定できます。詳細については、Configure Global MATLAB Projects Settingsを参照してください。
プロジェクト定義ファイル
resources/project
または .SimulinkProject
フォルダー内のファイルは、最初にプロジェクトを作成または変更する際に生成されるプロジェクト定義ファイルです。プロジェクト定義ファイルは、プロジェクトに追加されたファイルを指定します。プロジェクト定義ファイルでは、ショートカット、ラベル、プロジェクトの説明への変更など、メタデータの変更も指定します。
プロジェクト定義ファイルを直接表示する必要があるのは、ソース管理ツールでマージが必要となる場合だけです。それらのファイルは表示されるので、ソース管理システムにコミットされているすべてのファイルについて把握できます。
プロジェクトに対して行った変更により、
resources/project
フォルダー内に変更が生じます。これらのファイルは、形式が変更される可能性のある XML ファイルにプロジェクトの定義を格納します。ソース管理を使用してプロジェクト ファイルを追跡する場合は、プロジェクト定義ファイルへの変更をコミットする必要があります。
R2020b 以降、既定のプロジェクト定義ファイル タイプは [複数のプロジェクト ファイルを使用 (固定のパスの長さ)] です。プロジェクト定義ファイルの管理をプロジェクト作成時に選択したタイプから変更するには、
matlab.project.convertDefinitionFiles
を使用します。matlab.project.convertDefinitionFiles
はプロジェクトのソース管理履歴を保持します。警告
マージの問題を防ぐために、1 つのプロジェクトで定義ファイルのタイプを複数回変換しないでください。
プロジェクトでのフォルダーの管理を停止し、
resources/project
フォルダーを削除するには、matlab.project.deleteProject
を使用してください。
プロジェクトの設定
プロジェクトを作成するか開くと、[プロジェクト] パネルが開き、プロジェクトのルート フォルダーの下にあるすべてのファイルとフォルダーが表示されます。ポップアウトは、プロジェクトの設定に役立ちます。
[プロジェクトの設定] をクリックし、プロジェクトの設定を開始します。設定ガイドに従って、プロジェクトの名前と説明の更新、プロジェクト パスと起動およびシャットダウン アクションの設定など、推奨される最小限の設定を行います。
プロジェクトを開くたびに、プロジェクトの設定ガイド ダイアログ ボックスが表示されます。プロジェクトの設定ガイドを完全に無効にするには、[ホーム] タブの [環境] セクションで [設定] をクリックします。[MATLAB] 、 [プロジェクト] セクションで、[プロジェクトを開いた後に「ようこそ」ダイアログを表示] をオフにします。
メモ
プロジェクトを設定する準備ができ、プロジェクトの設定ガイド ダイアログ ボックスを閉じたら、[プロジェクト] ツールストリップで [設定] をクリックします。プロジェクトの設定の詳細については、Manage Project Settings, Path, Labels, and Startup and Shutdown Tasksを参照してください。
手順 1/4 では、プロジェクト名を編集し、説明を追加できます。他のプロジェクト ユーザーと共有する情報を含めます。次に [次へ] をクリックします。
手順 2/4 で、プロジェクト パスに追加するフォルダーを選択できます。プロジェクト フォルダーをプロジェクト パスに追加することで、プロジェクトのすべてのユーザーはそのフォルダー内のファイルに必ずアクセスできるようになります。MATLAB は、プロジェクトを開くときにこれらのフォルダーを検索パスに追加し、プロジェクトを閉じるときにそれらを削除します。
プロジェクト フォルダー内のすべてのフォルダーをフォルダー パスに追加するには、[サブフォルダーも追加] をクリックし、すべてのサブフォルダーを含むルート プロジェクト フォルダーを選択します。
プロジェクト パスを指定してから、[次へ] ボタンをクリックして続行します。
プロジェクト パスは、[プロジェクトの設定] でいつでも編集できます。詳細については、Specify Project Pathを参照してください。
手順 3/4 で、起動ファイルおよびシャットダウン ファイルを指定できます。起動ファイルを使用してプロジェクトの環境を設定できます。シャットダウン ファイルを使用して、完了時に環境をクリーンアップできます。シャットダウン ファイルを使用して、起動ファイルで発生したセットアップを元に戻します。
[追加] ボタンおよび [削除] ボタンを使用して、起動ファイルとシャットダウン ファイルのリストを管理します。ファイルは上から下の順に実行されます。ファイルが実行される順序が重要である場合、矢印ボタンを使用してリスト内でファイルを上下に移動します。
プロジェクトの起動タスクとシャットダウン タスクを指定してから、[次へ] ボタンをクリックして続行します。
起動ファイルとシャットダウン ファイルは、[プロジェクトの設定] でいつでも指定できます。詳細については、Automate Startup and Shutdown Tasksを参照してください。
手順 4/4 で、設定を新しいプロジェクトで有効にするために、[セットアップの終了] をクリックします。
[OK] をクリックしてダイアログ ボックスを閉じます。
プロジェクトへのファイルの追加
空のプロジェクトを作成すると、[プロジェクト] パネルには、resources
フォルダーに保存されているプロジェクト定義ファイルのみが表示されます。
プロジェクトで新しいファイルまたはフォルダーを作成するには、[プロジェクト] パネルで空白を右クリックし、[新規] の下の利用可能なオプションから選択します。MATLAB により、ファイルまたはフォルダーが作成され、プロジェクトに追加されます。
既存のファイルをプロジェクトに追加するには、次のいずれかのオプションを使用します。
ファイル ブラウザーからファイルをコピーして [プロジェクト] パネルに貼り付ける。このアクションにより、ファイルがプロジェクトに自動的に追加されます。
[ファイル] パネルからフォルダーおよびファイルを [プロジェクト] パネルにドラッグする。[プロジェクト] パネルで、追加するファイルとフォルダーを選択する。次に、右クリックし、[プロジェクトに追加] または [プロジェクトに追加 (子ファイルを含む)] を選択する。
ヒント
[ファイル] パネルと [プロジェクト] パネル間のファイル操作を容易にするには、パネルをグループ化します。パネルをグループ化するには、サイドバーで、[プロジェクト] アイコンを [ファイル] アイコンにドラッグします。
プロジェクト ファイルをプログラムにより追加および削除するには、関数 addFile
を使用します。
一部のファイルをプロジェクトに含めないようにする場合もあります。たとえば、コード生成ファイルやフォルダーなど、プロジェクトのルート フォルダー内の派生ファイルを除外することが必要な場合があります。どのファイルをプロジェクトに含める必要があるかを確認するには、プロジェクトの依存関係の解析を参照してください。
プロジェクトを開く
既存のプロジェクトを開くには、[ホーム] タブで [開く] をクリックし、既存のプロジェクトの .prj
ファイルを参照します。あるいは、[ファイル] パネルで、プロジェクトの .prj
ファイルをダブルクリックします。
メモ
競合を避けるために、一度に開くことができるプロジェクトは 1 つだけです。別のプロジェクトを開くと、現在開いているプロジェクトが閉じます。
最近使用したプロジェクトを開くには、次のいずれかの方法を使用します。
[ホーム] タブで、[開く] 矢印をクリックして [最近使用したプロジェクト] リストのプロジェクトを選択する。
[プロジェクト] パネルで、[最近使用したプロジェクト] リストのプロジェクトを選択する。サイドバーに [プロジェクト] パネルがない場合は、サイドバーの [パネルをさらに開く] ボタン (
) を使用して追加します。
Simulink エディターで、開いているモデル、ライブラリ、またはチャートがプロジェクトに属している場合は、[シミュレーション] タブで、[プロジェクト] 、 [プロジェクトを表示] を選択する。
プロジェクトを開くと、プロジェクト モデル ファイルよりも読み込んだファイルを優先するかどうか尋ねるプロンプトが表示されます。誤ったファイルで作業することを回避するには、優先順位の低いファイルを閉じます。詳細については、優先順位の低い変更未保存 (ダーティ) のモデル ファイルや他のプロジェクト ファイルの管理 (Simulink)を参照してください。
MATLAB Online™ の [MATLAB Home] で、[最近使用した項目] セクションの [プロジェクト] リストからプロジェクトを選択する。
安全ではないコンテンツに関する警告
不明なソースからのプロジェクトを初めて開くときに、コンテンツが安全ではない可能性があるという警告が MATLAB から出されます。不明なソースからのプロジェクトには、リモート リポジトリからクローンしたプロジェクト、ダウンロードしたプロジェクト、アーカイブとして受け取ったプロジェクトがあります。
プロジェクトは、起動時に自動的にコードを実行したり、MATLAB パスを変更したりするように構成できます。悪意のある攻撃から保護するために、プロジェクトを開く前に、プロジェクトの送信者または作成者が信頼できることを確認してください。
プロジェクトを初めて開いた後は、MATLAB が選択内容を記憶するため、同じプロジェクトに対して警告を再び表示しなくなります。他のプロジェクトを参照しているプロジェクトを開いて信頼した場合、MATLAB は階層内のすべてのプロジェクトを信頼します。
このような警告をまとめて無効にするには、[ホーム] タブの [環境] セクションで [設定] をクリックします。[MATLAB] 、 [プロジェクト] セクションで、[不明なソースからプロジェクトを開く場合に警告する] をクリアします。
プロジェクトを作成するその他の方法
プロジェクトを作成する別の方法にはいくつかあります。以下の操作を実行できます。
アーカイブ プロジェクトからプロジェクトを作成する。詳細については、アーカイブ プロジェクトからのプロジェクトの作成を参照してください。
依存関係アナライザーのグラフからプロジェクトを作成する。詳細については、依存関係グラフからのプロジェクトの作成を参照してください。
既存のソース管理リポジトリからプロジェクトをクローンする。詳細については、MATLAB プロジェクトでのソース管理の使用を参照してください。
Simulink テンプレートを使用してプロジェクトを作成する。
Simulink を所有している場合、Simulink テンプレートを使用して標準のプロジェクト構造を作成し再利用できます。詳細については、テンプレートを使用した新しいプロジェクトの作成 (Simulink)を参照してください。
Simulink モデルからプロジェクトを作成する。
Simulink をお持ちの場合は、Simulink モデルとそのモデルに必要なすべてのファイルからプロジェクトを作成できます。詳細については、モデルからのプロジェクトの作成 (Simulink)を参照してください。
アーカイブ プロジェクトからのプロジェクトの作成
一部のプロジェクトはアーカイブ プロジェクトとして共有されます。アーカイブ プロジェクトは、接続したソース管理ツールにアクセスできないユーザーと共有する場合に便利です。アーカイブ プロジェクトの内容を表示および編集するには、アーカイブ プロジェクトから新しいプロジェクトを作成します。
アーカイブ プロジェクトから新しいプロジェクトを作成するには、次の手順に従います。
[ファイル] パネルで、MLPROJ アーカイブ プロジェクト ファイルをダブルクリックします。
[プロジェクトの抽出先] ダイアログ ボックスで新しいプロジェクトの場所を指定し、[フォルダーの選択] をクリックします。たとえば、
C:\
などです。WorkSpace\myNewProject
あるいは、[ファイル] パネルで MLPROJ アーカイブ プロジェクト ファイルを右クリックし、[ここに抽出] を選択します。
新しいプロジェクトが自動的に開きます。現在のフォルダー C:\
には、インポートされたプロジェクト フォルダーおよびファイルが含まれています。WorkSpace\myNewProject
アーカイブ プロジェクトに参照プロジェクトが含まれている場合、MATLAB は参照プロジェクトもインポートし、メイン プロジェクト フォルダーを基準とした相対フォルダーに保存します。たとえば、C:\
などです。WorkSpace\ReferencedProject
依存関係グラフからのプロジェクトの作成
フォルダーまたはファイルの依存関係の分析を実行すると、依存関係グラフからすべての依存関係を含むプロジェクトを作成できます。
依存関係アナライザーを開きます。MATLAB で、[アプリ] タブの [MATLAB] にある [依存関係アナライザー] アイコン
をクリックします。
[フォルダーを開く] ボタンおよび [ファイルを開く] ボタンを使用して、分析するファイルまたはフォルダーを選択します。
依存関係グラフに表示されているすべてのファイルからプロジェクトを作成するには、[依存関係アナライザー] ツールストリップの [エクスポート] セクションで [プロジェクトを作成] をクリックします。[プロジェクトを作成] ウィンドウで [OK] をクリックします。依存関係アナライザーにより、プロジェクトが作成され、グラフが再読み込みされます。
グラフ内のファイルのサブセットからプロジェクトを作成することもできます。ファイルを選択し、[プロジェクトを作成] をクリックします。依存関係アナライザーには、プロジェクト内の選択されたファイルとそのすべての依存関係が含まれます。
参考
openProject
| matlab.project.createProject
| matlab.project.extractProject
| addFile
| addFolderIncludingChildFiles
| addPath
| addStartupFile
| addShutdownFile
参考
トピック
- プロジェクト ファイルの管理
- プロジェクトの依存関係の解析
- プロジェクトの共有
- MATLAB プロジェクトでのソース管理の使用
- テンプレートを使用した新しいプロジェクトの作成 (Simulink)
- モデルからのプロジェクトの作成 (Simulink)
- プロジェクトのプログラムによる作成と編集