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ハイブリッド電源のエネルギー管理システム (電気化の進んだ航空機のアプリケーション)

この例では、燃料電池ハイブリッド電源のエネルギー管理システムを説明します。

Souleman Njoya M., Louis-A. Dessaint (Ecole de technologie superieure, Montreal) and Susan Liscouet-Hanke (Bombardier Aerospace)

回路の説明

この例では、MEA (電気化の進んだ航空機) の燃料電池をベースにした緊急電力システムのシミュレーション モデルを説明します。MEA では着陸装置と飛行制御システムの電気化が進んでいるので、従来の緊急電力システム (ラム エア タービンまたは風力発電機) で見られる電気の最大負荷が増加しています。したがって、発電力がほぼゼロの低い飛行速度では、RAT (ラム エア タービン)/ADG (風力発電機) がオーバーロードになる潜在的な危険があります。MEA を確実に安全に着陸させるために、より信頼性の高い緊急電力システムが必要です。このモデルは、燃料電池、リチウムイオン電池、スーパーコンデンサからなる代替緊急電力システムを提示します。また、このデモでは、燃料電池ハイブリッド電源用の異なるエネルギー管理システムも説明します。

燃料電池ハイブリッド電力システムは、Bombardier 航空機の代表的な緊急時飛行プロファイルに基づいて設計されており、次の要素で構成されます。

  • 12.5 kW (ピーク時)、30 ~ 60 V の PEM (陽子交換膜) 燃料電池電源モジュール (FCPM)、定格電力 10 kW。

  • 48 V、40 Ah のリチウムイオン バッテリー システム。

  • 291.6 V、15.6 F のスーパーコンデンサ システム (48.6 V の電池 6 個が直列)。

  • 12.5 kW 燃料電池 DC/DC 昇圧コンバーター、出力電圧を調整し、入力電流を制限。

  • DC/DC コンバーター 2 個。バッテリー システムの放電用 (4 kW の昇圧コンバーター) と充電用 (1.2 kW の降圧コンバーター)。これらのコンバーターも、出力電圧が調整され、電流が制限されます。通常、電力システムの重量を低減するために、1 つの双方向 DC/DC コンバーターを使用することもできます。

  • 15 kVA、270 V DC 入力、200 V AC、400 Hz のインバーター システム。

  • 皮相電力と力率が可変の三相 AC 負荷。MEA の緊急時負荷プロファイルをエミュレートします。

  • 15 kW の保護抵抗。スーパーコンデンサとバッテリー システムの過充電を防止します。

  • エネルギー管理システム。指定されたエネルギー管理戦略に従って、電源間に配電します。次に示す 5 種類のエネルギー管理戦略が実装されています。

  1. ステート マシン制御戦略

  2. 古典的な PI 制御戦略

  3. 周波数デカップリングとステート マシンの制御戦略

  4. 等価消費最小化戦略 (ECMS)

  5. 外部エネルギー最大化戦略 (EEMS)

デモ

デモでは、5 分間の緊急着陸シナリオにおける、燃料電池ハイブリッド緊急電力システムのパフォーマンスを説明します。このシナリオでは、次のイベントで燃料電池ハイブリッド電力システムが不可欠の負荷を供給します。

  • 主発電機が喪失した直後 (RAT/ADG が完全に展開されるまで、通常は航空電子機器および APU 用のバッテリー システムが役割を担う)。

  • 緊急油圧ポンプの始動。

  • フラップ/スラットの動作と着陸装置の下降。

  • 地上走行と乗客の避難 (RAT/ADG が使用できなくなるため、この場合も通常は航空電子機器および APU 用 バッテリー システムが役割を担う)。

選択したエネルギー管理戦略の種類に従って、エネルギー管理システムは、燃料電池とバッテリーの DC/DC コンバーターの基準信号 (出力電圧と最大電流) を使用して各電源デバイスの電力を制御します。Energy Management System ブロックをダブルクリックし、たとえば State Machine Control Strategy を選択します。シミュレーションを開始します。Measurements ブロックをダブルクリックします。Power スコープ (270 V の DC 母線を参照して配電を表示する) と、Fuel CellBatterySuperCapLoad の各スコープを開きます。この緊急着陸シナリオのシミュレーションで発生する事象は次のとおりです。

t = 0 秒: 不可欠な負荷は主発電機が供給し、不測の事態である緊急着陸に備えて燃料電池ハイブリッド電力システムがオンになります。

t = 5 秒: 燃料電池がその最適電力 (約 1 kW) でバッテリーの充電を開始します。

t = 40 秒: すべての発電機が喪失します。燃料電池ハイブリッド電力システムが、不可欠な負荷を引き継ぎます。この時点で、必要な追加の負荷電力は即座にスーパーコンデンサがその高速ダイナミクスにより供給する一方、燃料電池の電力はゆっくり増加します。

t = 45 秒: スーパーコンデンサが DC 母線電圧で必要な電圧 (270 V) 未満になるまで放電しました。バッテリーが電力供給を開始して母線電圧を 270 V に戻します。

t = 48.5 秒: DC 母線またはスーパーコンデンサの電圧が 270 V に到達し、バッテリーの電力はゆっくりと 0 に減少します。燃料電池が合計負荷電力を供給し、スーパーコンデンサへの充電を継続します。

t = 60 秒: 緊急油圧ポンプが始動し、スーパーコンデンサが追加の過渡負荷電力を供給します。一方、燃料電池の電力がゆっくり増加します。

t = 61.5 秒: バッテリーがオンラインになり DC 母線電圧を 270 V に調整し、必要な追加の負荷電力を供給して燃料電池を支援します。

t = 70 秒: 燃料電池が最大電力に到達し (FCPM 電力は、DC/DC コンバーターの入力電圧範囲により 9 kW に制限されていた)、バッテリーが追加の負荷電力を供給します。

t = 110 秒: バッテリーも最大電力 (4 kW) に到達し、スーパーコンデンサが追加の負荷電力を供給します。

t = 125 秒: 負荷電力が燃料電池の最大電力未満に低下します。燃料電池のダイナミクスは低速であるため、過渡時の燃料電池の電力はスーパーコンデンサに送られます。

t = 126 秒: DC 母線電圧が 270 V に到達し、バッテリー電力が 0 に低下します。

t = 130 秒: 2 番目の緊急油圧ポンプがオンになります。燃料電池ハイブリッド電力システムの動作は、1 番目の緊急油圧ポンプがオンになったときと同様です。

t = 170 秒: 負荷電力が燃料電池の最大電力未満に低下し、燃料電池の余剰電力はバッテリーとスーパーコンデンサに送られます。

t = 180 秒: フラップ/スラットと着陸装置の動作により、負荷が急激に上昇します。再び、スーパーコンデンサが即座に応答し、追加の負荷電力を供給します。

t = 185 秒: バッテリーが放電して DC 母線電圧を調整し、必要な追加の負荷電力を供給して燃料電池を支援します。

t = 235 秒: 航空機が着陸し、負荷電力が急激に減少します。燃料電池の余剰電力は、バッテリーとスーパーコンデンサに充電されます。

t = 250 秒: 航空機が地上走行し、必要な合計負荷電力のほとんどを燃料電池が供給します。

t = 330 秒: 乗客が避難し、負荷電力が 0 に減少します。燃料電池の出力がゆっくり最適電力まで低下し、バッテリーを充電します。

メモ:

1.メモリの使用量を低減するために、Load スコープ (間引き係数 10 を使用) を除くすべてのスコープで間引き係数 100 を使用しています。

2.シミュレーションを高速化するために、DC/DC および DC/AC コンバーターには平均値モデルを使用しています。

3.Energy Management System ブロックで別のエネルギー管理戦略を選択し、水素消費量、使用した蓄電量 (バッテリー/スーパーコンデンサ)、全体の効率の観点でパフォーマンスを比較します。

参考文献

1.S. Njoya Motapon, L.A. Dessaint and K. Al-Haddad, "A Comparative Study of Energy Management Schemes for a Fuel Cell Hybrid Emergency Power System of More Electric Aircraft," IEEE Transactions on Industrial Electronics, 2013 (IEEE Early access).