AUTOSAR C++14 Rule M5-0-7

There shall be no explicit floating-integral conversions of a cvalue expression.

説明

ルール定義

There shall be no explicit floating-integral conversions of a cvalue expression.

根拠

式を評価し、後でその結果を別の型にキャストする場合、そのキャストは評価の潜在型には影響しません。たとえば、この例では整数除算の結果を浮動小数点型にキャストしています。

short num;
short den;
float res;
res= static_cast<float> (num/den);

しかし、開発者またはコード レビュー担当者は、結果を後からキャストしたデータ型が評価で使用されていると考える可能性があります。たとえば、後からのキャストが原因で、浮動小数点除算であると見なされるおそれがあります。

トラブルシューティング

ルール違反が想定されるものの、Polyspace^® から報告されない場合は、コーディング規約違反が想定どおりに表示されない理由の診断を参照してください。

例

整数から浮動小数点への除算結果の変換

void func() {
     short num;
     short den;
     short res_short;
     float res_float;
     
     res_float = static_cast<float> (num/den); //Noncompliant
     
     res_short = num/den;
     res_float = static_cast<float> (res_short); //Compliant

}

この例では、除算結果に対する最初のキャストはルールに違反しますが、2 番目のキャストは違反ではありません。

• 最初のキャストは、潜在型に float を使用して式が評価されているという不適切な想定につながる可能性があります。

• 2 番目のキャストでは、潜在型に short を使用して式が評価されていることが明確になっています。その後、結果が float 型にキャストされます。

チェック情報

グループ: 式

カテゴリ: Required、Automated

バージョン履歴

R2019a で導入

R2022a: チェッカーが関数呼び出しを cvalue 式と見なさなくなった

ルール チェッカーは、関数呼び出しが cvalue 式になると見なさなくなりました。次に例を示します。

class A {
public:
	double memFunc() const;
	void foo();
};

void rateControl::foo() {
	static_cast<int>(memFunc());//Compliant
	//...	
} 

関数 foo() の本体では、A::memfunc() 呼び出しの戻り値が double になります。この戻り値は int にキャストされます。関数呼び出しは cvalue 式ではないため、ルール チェッカーはこの演算にフラグを設定しません。

参考

AUTOSAR C++14 をチェック (-autosar-cpp14)

トピック

• コーディング規約違反のチェックおよびレビュー