第1章
製造業におけるDXの課題
製造業では、既存システムの効率化や新たな価値の創造を目的として、AIを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が急速に進んでいます。
すでに持っているデータを活用しながら、従来のものづくりの現場でAIをどう運用し実装するのかが、DXの成功に不可欠です。
近年、なぜ多くの企業や組織がデジタルトランスフォーメーション (DX) に取り組んでいるのでしょうか?それには主に2つの要因があります。
- 既存のビジネスモデルを最適化するため(守りのDX)
- 稼働中の機械の性能を最適化
- システムのメンテナンス時期を予測
- 接続されたシステム全体の運用を管理
- 新たな価値(製品・サービス)を創造するため(攻めのDX)
- 新たな産業やマーケットに進出
- サービスのプラットフォーム全体の提供
- 顧客への独自の価値の提供
しかしながら、マッキンゼーの2018年の調査によると、想定していたDXの目標に到達している企業は、わずか20%以下です。DXに取り組む企業の多くは、企画やパイロットを立ち上げた後、製品やサービスの提供には辿り着いていないのです。
何がDXの実現を難しくしているのでしょうか?
その理由の1つは、DX実現へのアプローチにあります。以下に、よく見られるアプローチの2つの例をご紹介します。
- ビッグバンアプローチ
大規模なデータウェアハウスなど完成度の高いインフラを新たに構築することから始める手法です。組織や顧客に価値を提供できていないことが多く、またそのインフラは本来必要とされていたものではないこともあり、リスクの高い手法といえます。
- サイロ化されたアプローチ
社内の各組織が部分的に最適化を行う手法です。ある組織ではうまくいっていても、他の組織と連携する段階になると、途端に行き詰ってしまいます。