単ループのフィードバック/プレフィルターの補償器設計
この例では、制御システム デザイナーを使用して、複数の補償器 (フィードバックとプレフィルター) を調整して単一ループを制御する方法を説明します。
モデルを開く
エンジン速度制御モデルを開き、少し時間をとってモデルを調べます。
open_system('scdspeedctrl')
設計の概要
この例では、フィードバック補償器とプレフィルター補償器の両方をもつ単一ループ制御システムの設計プロセスを紹介します。設計の目標は、次のとおりです。
Simulink ステップ ブロック
scdspeedctrl/Speed Reference
からの基準信号を追跡。設計要件は、整定時間が 5 秒未満であることと、ステップ基準入力に対する定常偏差がゼロであることです。サブシステム
scdspeedctrl/External Disturbance
で指定されている、未測定の出力外乱を抑制。設計要件は、ピーク偏差を 190 RPM まで減らすことと、ステップ外乱入力に対する定常偏差をゼロとすることです。
この例では、PID 補償器 scdspeedctrl/PID Controller
を設計することで、フィードバック ループの安定化と出力外乱の抑制を行います。プレフィルター scdspeedctrl/Reference Filter
は、設定値追従の変更に対するフィードバック システムの応答を調整するのに使用されます。
制御システム デザイナーを開く
この例では制御システム デザイナーを使用してフィードバック システムの補償器を調整します。制御システム デザイナーを開くには、次を行います。
モデルの左下隅にあるサブシステムをダブルクリックして、事前に構成されている制御システム デザイナー セッションを起動します。
次の手順に従って制御システム デザイナーを構成します。
新規設計の開始
制御システム デザイナーを開くには、Simulink モデル ウィンドウの [アプリ] ギャラリーで、[制御システム デザイナー] をクリックします。
制御システム デザイナーが起動すると [アーキテクチャの編集] ダイアログ ボックスが開きます。
[アーキテクチャの編集] ダイアログ ボックスの [ブロック] タブで、[ブロックの追加] をクリックして、調整する以下のブロックを選択します。
scdspeedctrl/Reference Filter
scdspeedctrl/PID Controller
[信号] タブで、Simulink モデルで定義されている解析ポイントが [位置] として自動的に追加されます。
入力:
scdspeedctrl/Speed Reference
出力端子 1
入力
scdspeedctrl/External Disturbance/Step Disturbance
出力端子 1
出力
scdspeedctrl/Speed Output
出力端子 1
[線形化オプション] タブの [操作点] ドロップダウン リストで、[モデルの初期条件] を選択します。
コントローラーの調整中にステップ応答が表示される新しいプロットを作成します。制御システム デザイナーで [新規プロット] をクリックし、[新規ステップ] を選択します。[プロットする応答の選択] ドロップダウン メニューで [新規の入出力伝達の応答] を選択します。応答を次のように構成します。
応答を表示するには [プロット] をクリックします。
同様に、外乱の抑制を表示するステップ応答プロットを作成します。[プロットする新規 Step] ダイアログ ボックスで、応答を次のように構成します。
補償器の調整
制御システム デザイナーには、制御システムを調整する方法がいくつか含まれています。
補償器エディターを使用して、各補償器のパラメーターを手動で調整する。詳細については、補償器エディターを使用した Simulink ブロックの調整 (Simulink Control Design)を参照してください。
開/閉ループ ボード線図、根軌跡またはニコルス線図の各エディター プロットを使用して、補償器の極、零点、ゲインをグラフィカルに調整する。[調整法] をクリックし、[グラフィカルな調整] の下でエディターを選択します。
時間領域と周波数領域の両方の設計要件を使用して補償器のパラメーターを最適化する (Simulink Design Optimization™ ソフトウェアが必要)。[調整法] をクリックし、[最適化ベースの調整] を選択します。詳細については、Enforcing Time and Frequency Requirements on a Single-Loop Controller Design (Simulink Design Optimization)を参照してください。
閉ループ時定数などのパラメーターに基づく自動調整を使用して、初期の補償器パラメーターを計算する。[調整法] をクリックし、[PID 調整]、[内部モデル コントロール (IMC) の調整]、[ループ整形] (Robust Control Toolbox™ ソフトウェアが必要)、[LQG 合成] のいずれかを選択します。
完了した設計
以下の補償器パラメーターは設計要件を満たしています。
scdspeedctrl/PID Controller
にあるパラメーター:
P = 0.0012191 I = 0.0030038
scdspeedctrl/Reference Filter
:
Numerator = 10 Denominator = [1 10]
閉ループ システムの応答は以下のとおりです。
Simulink モデルの更新
補償器のパラメーターを Simulink モデルに書き込むには、[ブロックの更新] をクリックします。その後、非線形モデルで設計をテストできます。
bdclose('scdspeedctrl')