MUSIC と固有ベクトル解析法
関数 pmusic
および peig
は、関連する 2 つのスペクトル解析法を提供します。
どちらの手法も自己相関行列の固有解析をベースにした周波数推定手法です。このタイプのスペクトル解析は、情報を信号部分空間またはノイズ部分空間のいずれかに割り当てて、相関行列またはデータ行列の中で情報を分類します。
固有解析の概要
ホワイト ノイズの中に含まれる数組の複素正弦波を考えましょう。このシステムの自己相関行列 R は、信号の自己相関行列 (S) とノイズの自己相関行列 (W) の和 (R = S + W) として記述できます。信号の自己相関行列の固有ベクトルと信号およびノイズのそれぞれの部分空間との間には、密接な関係があります。S の固有ベクトル v は、信号ベクトルと同じ信号部分空間をその範囲とします。システムが、M 個の複素正弦波を含み、自己相関行列の次数が p の場合、vM+1 から vp+1 までの固有ベクトルは、自己相関行列のノイズ部分空間をその範囲とします。
周波数推定子関数
周波数推定を作成するために、固有解析法は、信号部分空間とノイズ部分空間で、ベクトルの関数が計算されます。MUSIC 法とEV 法共に、入力信号の中で、正弦波の周波数の一つを無限大方向 (分母を 0 方向) に移動します。デジタル理論を使用して、結果の推定は、対象の周波数にシャープなピークを見ることができます。これは、ベクトルの中に無限大値が存在していないことを意味しています。
MUSIC 推定は、次の式で与えられます。
ここで、vk はノイズ部分空間の固有ベクトルで、e(f) は複素正弦波のベクトルです。
ここで、v は入力信号の相関行列の固有ベクトルを表し、vk は k 番目の固有ベクトルです。H は共役転置演算子です。和において使用される固有ベクトルはその最小の固有値に対応し、そのノイズ部分空間を範囲とします (p は、信号部分空間のサイズ)。
式 vkHe(f) は、フーリエ変換と等価です (ベクトル e(f) は、複素指数です)。各 vk に対して FFT が計算され、さらに 2 乗した大きさを加算できるため、この型は数値計算に使用できます。
EV 法は、相関行列の固有値で和に重み付けします。
関数 pmusic
および peig
は、最初の入力を信号行列または相関行列 ('corr'
入力フラグが付けられた場合) として解釈します。信号行列の場合は、その特異値分解を使用して信号部分空間とノイズ部分空間を決定します。相関行列の場合は、その固有値分解を使用して信号部分空間とノイズ部分空間を決定します。