Motor Control Blockset 

モーター制御アルゴリズムの設計と実装

弱め界磁または弱め磁束とは、トルクを低下させて電気モーターの速度を定格以上に上げる技術です。弱め界磁は、自動化アプリケーションのモーター制御と、電気自動車および機関車のトラクションモーター制御に使用されており、トルクが低下しても許容される場合に、モーターの速度を引き上げることができます。

永久磁石同期モーター (PMSM) は、その高い電力密度、高速性、高速な動的応答により、こうしたアプリケーションでよく利用されています。 ただし、固定子端子電圧がインバーターの出力限界に達すると、PMSM の速度が制限されます。 このため、PMSM は、シャフト速度を設計定格よりも引き上げるために弱め界磁を必要とします。 モーター速度を引き上げる方法の 1 つは、インバーターのパワーエレクトロニクスを調整して、固定子の d 軸と q 軸の電流を操作し、回転子の磁石が生成するエアギャップ磁束に対抗することです。

弱め界磁制御には、永久磁石 (\(\lambda_{pm}\)) に関連付けられた、結果として得られるエアギャップ磁束鎖交の効果を下げることで、結果として得られる d 軸磁束 (\(\lambda_{d}\)) を減少させることが含まれます。これは、下の図 1 に示すように、PMSM で負の磁化 d 軸固定子電流のコンポーネントを駆動することで実行されます。

図 1 結果として得られる d 軸磁束 λd のベクトル表現

図 1 結果として得られる d 軸磁束 λd のベクトル表現

図 2 のトルク速度特性曲線は、モーターの逆起電力 (固定子電圧) がモーター速度に比例して上昇することを示しています。この動作は、PMSM の定トルク領域で発生します。この領域では、ベクトル制御 (FOC) が、モーターを調整する一般的な方法です。しかし、速度が上昇し続けると、印加電圧が最大に達し、逆起電力の電圧が印加電圧を超え、モーターの速度は上昇しなくなります。モーター速度をベース速度よりも上昇させるには、一定の出力電力 (トルクとモーター速度の積) を維持しながら弱め界磁モードを使用します。弱め界磁の間、モーターは最大利用可能電圧で回転速度を上昇させられますが、最大トルクは減少します。

図2 PMSM のトルクと速度特性

図2 PMSM のトルクと速度特性

図 3 は、固定子電流 (id、iq) 平面の左側にある電圧制限楕円と電流制限円が重なる領域として、弱め界磁制御の動作を示しています。

図 3 PMSM の電圧と電流の制限

図 3 PMSM の電圧と電流の制限

弱め界磁を理解するには、弱め界磁領域 OABC の境界となる軌跡を使用して、電流ベクトル軌跡を評価します。OA に沿った軌跡 I は、アンペアあたりの最大トルク (MTPA) 曲線です。MTPA は、電流ベクトル軌跡を操作して OA 曲線に一致させることで達成できます。軌跡 II は、A から B までの電流制限円に従います。電流制限は、DC 母線とパワーエレクトロニクスの制約によって定義されます。軌跡 III は、ボルトあたりの最大トルク (MTPV) 曲線である BC に沿った深い弱め界磁を表します。 MTPV の動作中、モーターは、DC 母線によって制限される電圧制約楕円内で許容される最大速度とトルクを生成します。 トルク過渡応答に関係なく、最適化された弱め界磁軌跡または動作点は、常に灰色の領域内にあります。

図 4 は、Simulink® における PMSM の弱め界磁制御のシステムレベルブロック線図を示します。外側の速度制御ループは、MTPA 弱め界磁制御ブロックの入力としてトルクコマンドを生成します。内側の電流ループは、Clarke-Park 変換空間ベクトルジェネレーターで構成されています。

図4 PMSM の弱め界磁制御の概要

図4 PMSM の弱め界磁制御の概要

Motor Control Blockset™ には、弱め界磁制御と、Simulink を使用して弱め界磁制御を実装する上で役立つコード生成の展開を示す参照例が用意されています。

モーター制御アルゴリズムの設計および実装方法の詳細については、Motor Control Blockset および Simscape Electrical™ を参照してください。

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