昇圧コンバーター シミュレーションとは?
シミュレーションを用いたデジタル コントローラーの設計により、DC-DC 昇圧コンバーターが、負荷電流と電源電圧の変化に応じて適切に電圧を制御しているか確認することができます。シミュレーションにより、電力段コンポーネントを適切に選択して、出力電圧リップルと許容電力損失を最小化することができます。電力段とコントローラーの閉ループ シミュレーションにより、パワー エレクトロニクスのエンジニアは、コントローラーが実装されてハードウェアが構築される前に設計の選択を評価して検証することができます。
電力コンバーターを設計するときには、次のようなタスクのシミュレーションを検討する必要があります。
- 電圧制御のためのフィードバック コントローラー設計
- コントローラー設計と同時に RLC 素子の最適化
- 半導体スイッチの定常状態と動的特性の推定
- 動特性と電力品質の解析
- 組み込みマイクロプロセッサーまたは FPGA でのデジタル コントローラーのプロタイピングと実装
Simulink® でのシミュレーションを用いた制御システム設計により、ハードウェアでのテスト時にコンバーターが意図したとおりに動作するよう、コンバーターを設計、検証、および実装することができます。以下を行うことができます。
- 標準回路コンポーネントを使用した電力段のモデル化、またはあらかじめ用意されている昇圧コンバーター ブロックの使用。
- さまざまな詳細度でのコンバーター モデルのシミュレーション: システム ダイナミクスの平均モデル、スイッチング特性のビヘイビアモデル、および寄生成分と詳細設計のための詳細な非線形スイッチングモデル。
- 電圧モード制御や電流モード制御など、異なったコントローラー アーキテクチャの設計、シミュレーション、および比較。
- AC 周波数スイープやシステム同定などによるスイッチングの影響を含めた非線形コンバーターモデルでの、ボード線図および根軌跡表示による対話方式のループ整形など、古典制御手法の適用。
- 自動調整ツールを用いた、単一または複数のフィードバックループでのコントローラー ゲインの自動調整。さまざまな操作点に対応するゲイン スケジューリング コントローラーの設計。
- 電源のスイッチング操作における、コンポーネントの許容誤差と故障イベントの影響をモデル化して評価。
- たとえばデジタル電源やグリッド接続された PV アレイなど、DC-DC 電力コンバーターがコンポーネントとなっている大規模システムの一部としてシミュレーションすることにより、昇圧コンバーターの電力品質を評価。
- リアルタイム ターゲット コンピューターを使用したラピッド プロトタイピング、またはマイクロコントローラーや FPGA での実装のため、制御アルゴリズムから C または HDL コードを生成。.
- ハードウェアインザループ シミュレーションを使用したコントローラーの検証のため、回路モデルから C または HDL コードをリアルタイム ターゲット コンピューターに生成。
シミュレーション ベースの制御設計は昇圧コンバーターに限らず、降圧、Cuk、フライバック、フォワード、およびプッシュプル コンバーターなど、他のコンバータタイプの開発に適用することができます。
使用例および使い方
ユーザー事例
記事
ソフトウェア リファレンス
参考: 昇圧コンバーター, MPPT アルゴリズム, Simscape Electrical, PID 制御, space vector modulation, Simulink でのモーター制御設計, Simulink でのパワー エレクトロニクス制御設計, パワー エレクトロニクスのシミュレーション, 磁界方向制御, BLDC モーター制御, Clarke-Park 変換, 力率の補正, small signal analysis