主な機能

  • ベクター データおよびラスター データのインポートとエクスポート
  • Web Map Service (WMS) サーバーからのカスタム ラスター地図の取得
  • OpenStreetMap やその他のソースの動的ベース マップを使用した Web マップ表示
  • 2 次元地図と 3 次元地図の表示、カスタマイズ、操作
  • 数値地形/標高モデルの解析関数
  • 2 次元および 3 次元の座標変換、65 以上の地図投影など、幾何測地学の関数

Mapping Toolbox と MATLAB を使用することで、気象パターンの予測や、陸氷河の動きのモデリング、風力タービンの最適な設置場所の探索など、地理空間の問題に対して独自のソリューションを開発することができます。関数レベルでのツールボックス内の主要機能すべてへのアクセスと、高水準な MATLAB 言語により、革新的なアルゴリズムの開発や反復的な作業のワークフローを自動化することが可能です。

Blue Marble 画像。提供: NASA-JPL/Caltech

地理データのインポートとエクスポート

Mapping Toolbox では、さまざまな形式の GIS ファイルや地理空間ファイルをインポートし、ベクター データとラスター データの両方を MATLAB 環境に読み込むことができます。特定のファイル タイプについて、ファイルの一部を読み取り、使用前にダウンサンプリングすることができるため、アクセス時間の短縮やメモリ使用量の改善に役立ちます。オルソ画像、測位衛星の列、数値地形/標高モデル、各種のグローバル データ グリッドなど、ジオリファレンス画像や他のラスター データ グリッドがサポートされます。

Mapping Toolbox では、データをさまざまなファイル形式にエクスポートすることもできます。これにより、Google Earth™ や ArcGIS® などのアプリケーションとデータの共有が可能です。このツールボックスを MATLAB や Image Processing Toolbox™ と一緒に使用することで、さらに多くのファイル形式にアクセスできます。

Mapping Toolbox では、次のファイル形式とデータ プロダクトがサポートされています。

  • GeoTIFF、USGS DEM、DEM、DTED、Arc ASCII Grid、GTOPO30、ETOPO、worldfile などのラスター ファイル形式
  • ESRI® シェープファイル、KML、GPX、VMAP0、GSHHS などのベクター ファイル形式
  • AVHRR や EGM96 などの特定のデータ製品

関連するデータ形式として、MATLAB で次の形式がサポートされます。

  • TIFF、JPEG、PNG、JPEG2000 などの画像ファイル形式
  • NetCDF、HDF5、HDF4、HDF-EOS、マルチバンド ファイル (BIP、BIL、BSQ) などの科学データ形式
  • OPeNDAP URL アドレスを介したネットワーク データ アクセス

関連する画像ファイル形式として、Image Processing Toolbox で次の形式がサポートされています。

  • NITF および HDR

2 次元および 3 次元の地図表示

Mapping Toolbox には、カスタマイズした 2 次元および 3 次元の地図表示を生成するための表示関数とアプリが用意されています。単純なものから高度なものまで、用途に合わせた地図表示の調整が可能です。スケールが異なるラスター データセットとベクター データセットも、同じ表示内で簡単に結合することができます。たとえば、解像度や対象領域に関係なく、画像とデータ グリッドを正しい位置に表示し、その上にベクター地図の機能を重ねることが可能です。

このツールボックスの可視化関数を使用して、次のような処理が可能です。

  • ラスター データとベクター データを使用した 2 次元地図表示を作成する
  • ライティング、シェーディング、視点をカスタマイズした 3 次元地図表示を作成する
  • ラスターおよび位置情報グリッド データから等高線図を作成する
  • テーマ別の地図、3 次元表面のドレープ画像、表示地図を画像として作成する

地図表示は、さまざまな方法で定義およびカスタマイズし、注釈を付けることができます。以下を行うことができます。

  • 緯度経度の座標や各種の射影座標系を使用する
  • 円筒図法、円錐図法、方位図法に分類された 65 種類以上の地図投影法からいずれかを選択して使用する
  • 緯度と経度の範囲や原点など、地図の特性をカスタマイズする
  • スケール ルーラー、方位記号、等高線ラベル、凡例を追加する
  • ポイント データを散布、矢印、ステムなどの記号で表示する
  • 地図上のマーカーの記号、色、ライン スタイルを制御する
  • 多角形やラスター データ グリッドの透明性を変える
  • 等高線図、地形図、等深線図、行政地図にそれぞれ適したカラーマップを適用する

関数レベルでツールボックスの地図表示機能にアクセスすることにより、よく使用する地図表示の作成を自動化することが可能です。たとえば、バッチ モード処理を使用して、地理空間の時系列データセットを調べ、時間の経過に伴うデータの変化を示すアニメーションを作成できます。作成したアニメーションは、MATLAB の機能を使用して動画や GIF ファイルとして保存できます。

地球の表示に座標系の 3 次元機能を結合します。
スケール ルーラーと方位記号のついたマサチューセッツ州東部市街地の境界線と米国北東部の挿入図画像提供: Office of Geographic and Environmental Information (MassGIS)。

Web 地図表示


Web 地図表示の作成

Web 地図は、Web ベースのデータ ソースから取得したベースマップを使用して、豊富なコンテキストの背景を用いてデータを視覚的に表現する、対話型の動的な地図表示です。Mapping Toolbox では、OpenStreetMap、ESRI ArcGIS Online、MapQuest、各種の WMS サーバーなど、さまざまなソースから Web 地図表示を作成できます。地図のパン、ズームイン/ズームアウトによる高解像度/低解像度のベースマップ データの表示、表示する地理的領域の指定などの操作が可能です。名前や色などの関連する属性データで、マーカーや線のオーバーレイを作成できます。Web 地図表示では、データセット全体を MATLAB に読み込まなくても、高精度のベース マップを使用して簡単に地図を作成できます。

Blue Marble WMS レイヤーを使用した Web 地図表示。データ提供: NASA-JPL/Caltech。

Web Map Service (WMS) サーバーへのアクセス

Mapping Toolbox を使用すると、WMS サーバーから地図データを探して画像タイルとしてダウンロードできます。NASA、ESA、USGS、NOAA、ESRI、Microsoft など、多くの政府機関や企業が、WMS プロトコルに準拠して、地理参照データセットのレンダリング、再投影、提供をインターネット上で行っています。Mapping Toolbox を使用して、MATLAB の標高、海洋学、気象、衛星画像などのラスター データセットにアクセスできます。

用途に適した WMS データ レイヤーを特定できるように、このツールボックスには、あらかじめ限定された WMS サーバーおよびレイヤーのデータベースが用意されています。このデータベースから、レイヤー名、サーバー名、場所などの条件に基づいて適切なデータセットを探すことができます。また、このツールボックスの関数やクラスを使用すると、カスタムの地図要求を定義して地図を取得し、MATLAB で処理するために直接取り込むことができます。

3 ヶ月で崩壊した南極のラーセン棚氷の様子。Image Processing Toolbox を使用して元の海岸線を表示。画像提供: NASA/Goddard Space Flight Center Scientific Visualization Studio。

地形および標高の解析

Mapping Toolbox では、数値地形や数値海底地形、その他のグリッド データ製品など、3 次元データの可視化および解析をサポートしています。地形データを可視化したり、等高線などの注釈を追加したりするための関数が用意されており、ライティング、シェーディング、カラーマップなどの表示設定を制御することもできます。MATLAB のグラフィックス環境で、対話型のプログラミングにより、カメラの位置を変更してさまざまな視点からデータを表示できます。

このツールボックスには、勾配、傾斜、縦横比、視程範囲、可視領域を計算するための関数も含まれています。これらの関数は、眺望のきく複数の位置から見通し距離を計算して、最適な通信塔の位置を決める場合などに利用することができます。

また、Mapping Toolbox と一緒に Simulink 3D Animation™ を併用して、標高データから仮想現実世界を構築することができます。それらの地形データを他の製品の解析結果と組み合わせることも可能です。たとえば、Aerospace Blockset™ で仮想世界を操作して、地理データセット上に飛行経路を表示するなどの作業を実行できます。

Mapping Toolbox の関数を使用して作成したサンフランシスコの 3 次元合成地図。DEM データとオルソ画像の提供元: 米国地質調査所。

幾何測地学および地図投影


幾何測地学

Mapping Toolbox の幾何測地学の機能を使用して、地球などの惑星体の曲率を考慮した測地計算が行えます。球体や楕円体上の任意の多角形や四角形の表面積、幾何オブジェクトの交差部、球体や楕円体上の任意の 2 点間の距離、多角形の重なり合う部分の面積などを計算できます。ナビゲーション機能を使用すると、方向と対気速度または対地速度に基づいて、風速や流速のベクトルの計算や修正などが可能です。

北米大陸の衛星画像に気象データを重ねたもの。Image Processing Toolbox で全米の気象データから初期の暴風を区切り、Mapping Toolbox で測地計算を行って暴風域を特定。データ提供: NOAA (Iowa Environmental Mesonet の WMS サーバーから取得) および NASA-JPL/Caltech。

地図投影

Mapping Toolbox には、惑星体の曲面を 2 次元地図表示で表現するための、よく使用される主要な 65 種類以上の地図投影法が用意されています。これには、円筒図法、円錐図法、方位図法に分類された正積、正距、正角、それらの混合型の投影法が含まれます。また、PROJ.4 ライブラリおよび UTM/UPS システムでの投影もサポートしています。これらの投影法の多くは、地球などの惑星体の球体と楕円体の両方のモデルをサポートしています。

このツールボックスを使用すると、正投影と逆投影を適用して、地理座標系と投影座標参照系の間で位置および方向角または方位角を変換できます。ラスター データおよび画像データを可視化する地図に投影して、他のデータセットの座標系に対応させることが可能です。また、データを特定の緯度と経度の範囲にトリミングしたり、特定の地点の歪みパラメータを計算したり、Tissot の指示楕円やスケールの歪み等高線などの地図の歪みを可視化して、投影法のプロパティを検証することができます。

メルカトル図法、モルワイデ図法、正弦曲線図法 (上から順の時計回り)。画像提供: NASA-JPL/Caltech。

データ表現とデータ変換


ベクター データの表現

Mapping Toolbox では、ベクター データを X-Y ベクトルまたは緯度経度ベクトル、あるいは他のメタデータの維持管理が可能なオブジェクトとして扱うことができます。いずれの場合も、ツールボックスの機能を使用して、データ ポイントの分割、結合、並べ替えなどのデータ操作を簡単に行えます。また、ウェイポイント間の補間を行う機能や、複数の補間法によりデータのサンプル密度を向上させる機能も用意されています。

マサチューセッツ州コンコードのベクター データのオーバーレイ。データ提供: Office of Geographic and Environmental Information (MassGIS)。

座標変換

Mapping Toolbox では、複数のソースのデータを結合する際に必要となる一般的な測地系の変換に対応するさまざまな座標変換が可能です。地球に近い環境で 3 次元の幾何計算を行い、3 次元の測地座標系、地心座標系、局地 ENU (East-North-Up) 座標系、局地 NED (North-East-Down) 座標系、局地球面座標系の間で地点を変換することができます。これらの変換の中核となる機能には、3 次元データ変換 (ヘルマート変換とバルサ ウルフ変換) を実装することが可能で、たとえば WGS84 の参照データを古いデータに基づいて従来の地図と結合したりできます。


地理データのユーティリティ

さまざまな関数を使用して、ラスター データや画像データ、その他のグリッド ベースのデータを操作できます。たとえば、空間分解能を変更したり、ピクセル座標を地図座標に変換したり、サンプリングされた不規則なデータ ポイントをグリッドに外挿したりすることが可能です。また、Mapping Toolbox には、単位変換や角度変換、経度と方位角度のラップ、角度や距離の文字列の書式設定などを行うためのユーティリティ関数も用意されています。