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ttest

1 標本およびペア標本 t 検定

説明

h = ttest(x) は、1 標本 t 検定を使用して、x のデータの派生元は、平均がゼロで分散が未知の正規分布であるという帰無仮説の検定の判定を返します。対立仮説は、母集団分布にはゼロの平均がないというものです。検定で帰無仮説が有意水準 5% で棄却された場合、結果 h1、それ以外の場合は 0 になります。

h = ttest(x,y) は、2 標本 t 検定を使用して、平均がゼロで分散が未知の正規分布に x – y のデータが由来しているという帰無仮説の検定の判定を返します。

h = ttest(x,y,Name,Value) は、1 つ以上の名前と値のペア引数で指定された追加オプションを使用して、2 標本 t 検定の検定の判定を返します。たとえば、有意水準を変更したり、片側検定を実行することができます。

h = ttest(x,m) は、xのデータの派生元は、平均が m で分散が未知の正規分布であるという帰無仮説の検定の判定を返します。対立仮説は、平均が m ではないということです。

h = ttest(x,m,Name,Value) は、1 つ以上の名前と値のペア引数で指定された追加オプションを使用して、1 標本 t 検定の検定の判定を返します。たとえば、有意水準を変更したり、片側検定を実行することができます。

[h,p] = ttest(___) は、前の構文グループの入力引数のいずれかを使用して、検定の p 値である p も返します。

[h,p,ci,stats] = ttest(___) は、x またはペアの t 検定の場合は x – y の平均に対する信頼区間 ci と、検定統計量に関する情報を含む stats 構造体も返します。

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標本データを読み込みます。株式収益データの 3 列目を含むベクトルを作成します。

load stockreturns
x = stocks(:,3);

標本データが、平均がゼロの母集団から派生しているという帰無仮説を検定します。

[h,p,ci,stats] = ttest(x)
h = 1
p = 0.0106
ci = 2×1

   -0.7357
   -0.0997

stats = struct with fields:
    tstat: -2.6065
       df: 99
       sd: 1.6027

戻り値 h = 1 は、ttest が有意水準 5% で帰無仮説を棄却することを示します。

標本データを読み込みます。株式収益データの 3 列目を含むベクトルを作成します。

load stockreturns
x = stocks(:,3);

有意水準 1% において、標本データの派生元は平均がゼロの母集団であるという帰無仮説を検定します。

h = ttest(x,0,'Alpha',0.01)
h = 0

戻り値 h = 0 は、ttest が有意水準 1% で帰無仮説を棄却しないことを示します。

標本データを読み込みます。2 つの試験における学生の採点データを表すデータ行列の 1 列目と 2 列目を含むベクトルを作成します。

load examgrades
x = grades(:,1);
y = grades(:,2);

データ ベクトル xy 間のペアワイズ差分の平均はゼロあるという帰無仮説を検定します。

[h,p] = ttest(x,y)
h = 0
p = 0.9805

h = 0 の戻り値は、ttest が既定の有意水準 5% で帰無仮説を棄却しないことを示します。

標本データを読み込みます。2 つの試験における学生の採点データを表すデータ行列の 1 列目と 2 列目を含むベクトルを作成します。

load examgrades
x = grades(:,1);
y = grades(:,2);

有意水準 1% において、データ ベクトル xy 間のペアワイズ差分の平均はゼロであるという帰無仮説を検定します。

[h,p] = ttest(x,y,'Alpha',0.01)
h = 0
p = 0.9805

h = 0 の戻り値は、ttest が有意水準 1% で帰無仮説を棄却しないことを示します。

標本データを読み込みます。学生の試験採点データの 1 列目が含まれているベクトルを作成します。

load examgrades
x = grades(:,1);

標本データの派生元は、平均 m = 75 の分布であるという帰無仮説を検定します。

h = ttest(x,75)
h = 0

h = 0 の戻り値は、ttest が有意水準 5% で帰無仮説を棄却しないことを示します。

標本データを読み込みます。学生の試験の採点データの 1 列目を含むベクトルを作成します。

load examgrades
x = grades(:,1);

試験採点データのヒストグラムをプロットし、正規密度関数を当てはめます。

histfit(x)
xlabel("Grade")
ylabel("Frequency")

Figure contains an axes object. The axes object with xlabel Grade, ylabel Frequency contains 2 objects of type bar, line.

右側 "t" 検定を使用して、データの派生元は、平均が 65 の母集団であるという帰無仮説を、平均が 65 より大きいという対立仮説に対して検定します。

[h,~,~,stats] = ttest(x,65,"Tail","right")
h = 1
stats = struct with fields:
    tstat: 12.5726
       df: 119
       sd: 8.7202

h = 1 の戻り値は、ttest が、平均が 65 より大きい母集団からデータが派生しているという対立仮説を優先して、既定の有意水準 5% で帰無仮説を棄却することを示します。

対応するスチューデントの "t" 分布、返された "t" 統計量、および棄却限界 "t" 値をプロットします。tinv を使用して、既定の信頼水準 95% における棄却限界 "t" 値を計算します。

nu = stats.df;
k = linspace(-15,15,300);
tdistpdf = tpdf(k,nu);
tval = stats.tstat
tval = 12.5726
tvalpdf = tpdf(tval,nu);
tcrit = tinv(0.95,nu)
tcrit = 1.6578
plot(k,tdistpdf)
hold on
scatter(tval,tvalpdf,"filled")
xline(tcrit,"--")
legend(["Student's t pdf", "t-Statistic", ...
    "Critical Cutoff"])

Figure contains an axes object. The axes object contains 3 objects of type line, scatter, constantline. These objects represent Student's t pdf, t-Statistic, Critical Cutoff.

オレンジ色のドットは "t" 統計量を表し、棄却限界 "t" 値を表す黒い破線の右側にあります。

入力引数

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標本データ。ベクトル、行列または多次元配列として指定します。ttest は、各列に t 検定を個別に実行し、結果のベクトルを返します。y の標本データを指定する場合、xy のサイズは同じでなければなりません。

データ型: single | double

標本データ。ベクトル、行列または多次元配列として指定します。y の標本データを指定する場合、xy のサイズは同じでなければなりません。

データ型: single | double

仮定された母集団平均。スカラー値として指定します。

データ型: single | double

名前と値の引数

オプションの引数のペアを Name1=Value1,...,NameN=ValueN として指定します。ここで Name は引数名、Value は対応する値です。名前と値の引数は他の引数の後ろにする必要がありますが、ペアの順序は関係ありません。

R2021a より前では、名前と値をそれぞれコンマを使って区切り、Name を引用符で囲みます。

例: 'Tail','right','Alpha',0.01 は、有意水準 1% で右裾仮説検定を実行します。

仮説検定の有意水準。'Alpha' と、(0,1) の範囲内のスカラー値で構成されるコンマ区切りのペアとして指定します。

例: 'Alpha',0.01

データ型: single | double

平均を検定する入力行列の次元。'Dim' と正の整数値で構成されるコンマ区切りのペアとして指定します。たとえば、'Dim',1 を指定すると列の平均が検定され、'Dim',2 では行の平均が検定されます。

例: 'Dim',2

データ型: single | double

評価する対立仮説のタイプ。'Tail' と以下のいずれかで構成される、コンマ区切りのペアとして指定します。

  • 'both' — 母集団平均は m ではないという対立仮説を検定します。

  • 'right' — 母集団平均は m より大きいという対立仮説を検定します。

  • 'left' — 母集団平均は m より小さいという対立仮説を検定します。

ttest は、母集団平均は m であるという帰無仮説を、指定された対立仮説に対して検定します。

例: 'Tail','right'

出力引数

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1 または 0 として返される仮説検定の結果。

  • h = 1 の場合、有意水準 Alpha で帰無仮説が棄却されることを示します。

  • h = 0 の場合、有意水準 Alpha で帰無仮説が棄却できなかったことを示します。

検定の p 値。[0,1] の範囲のスカラー値として返されます。p は、帰無仮説に基づく観測値と同様に、極端な検定統計量、またはより極端な検定統計量が観測される確率です。p の値が小さい場合、帰無仮説の妥当性に問題がある可能性があります。

真の母集団平均の信頼区間。100 × (1 – Alpha)% の信頼区間の下限と上限を含む 2 要素ベクトルとして返されます。

検定統計量。以下を含む構造体として返されます。

  • tstat — 検定統計量の値。

  • df — 検定に対する自由度。

  • sd — 母標準偏差の推定値。ペアの t 検定の場合、sdx – y の標準偏差です。

詳細

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1 標本 t 検定

1 標本 t 検定は、母標準偏差が未知の場合の、位置パラメーターのパラメトリック検定です。

検定統計量は次のようになります。

t=x¯μs/n,

ここで、x¯ は標本の平均、μ は仮定の母集団の平均、s は標本の標準偏差、n は標本のサイズです。帰無仮説では、検定統計量は自由度が n – 1 のスチューデント t 分布です。

多次元配列

多次元配列は、3 つ以上の次元をもつ配列です。たとえば、x が 1 x 3 x 4 の配列の場合、x は 3 次元配列です。

大きさが 1 でない最初の次元

大きさが 1 でない最初の次元とは、配列の次元のうちサイズが 1 ではない最初の次元です。たとえば x が 1 x 2 x 3 x 4 の配列の場合、x の大きさが 1 でない最初の次元は 2 番目の次元です。

ヒント

  • sampsizepwr を使用して以下を計算します。

    • 指定された検出力およびパラメーター値に対応する標本サイズ

    • 真のパラメーター値が与えられた場合に特定の標本サイズに対して達成される検出力

    • 指定された標本サイズおよび検出力で検出できるパラメーター値

拡張機能

バージョン履歴

R2006a より前に導入