Main Content

このページの内容は最新ではありません。最新版の英語を参照するには、ここをクリックします。

スチーム タービンと調速機での分数調波共振

この例では、直列補償付の回路網におけるスチーム タービンと調速機での分数調波共振 (SSR) を示します。

R. Champagne and L. Dessaint (Ecole de Technologie Superieure, Montreal)

説明

このシステムは、直列補償付き電力システムにおける分数調波共振と、特に故障後のトルク増幅現象を調べるために使用する IEEE® ベンチマーク [1] です。このシステムは、一方が直列補償により力率が 55% 改善される 2 つの送電線を経由して無限大母線に接続され、他方は 1 台の発電機 (600 MVA/22 kV/60 Hz/3600 rpm) に接続されています。三相送電線の故障の発生および解消後に補償コンデンサによって誘導される分数調波モードによって、多質点系の振動ねじれモードが生じ、トルク増幅現象を確認できます。この機械システムは、次の 3 つの質点でモデル化されます: 質点 1 = 発電機、質点 2 = 低圧タービン (LP)、質点 3 = 高圧タービン (HP)。

シミュレーション

1.定常状態でシミュレーションを開始するため、'Machine Initialization' ツールを使用して同期機のパラメーターを初期化します。Powergui を開き、[Machine initialization] を選択します。[Bus Type] は既に [P & V generator] として初期設定されています。また、同期機の A-B 相の端子電圧 [Terminal voltage UAB (Vrms)] と有効電力 [Active power (watts)] の値を設定することで、同期機のパラメーターの初期化が実行されます。次のパラメーターを入力して、目的の値を指定します。

*A-B 相の端子電圧 Terminal voltage U AB (Vrms) = 22000、Active power (Watts) = 0 *

[Compute and Apply] ボタンを押します。

同期機の A-B 相の端子電圧 (Uab)、B-C 相の端子電圧 (Ubc)、C-A 相の端子電圧 (Uca)、および、A、B、C 相に流れる電流 (Ia、Ib、Ic) のフェーザ (大きさと位相) の値が更新されます。同期機の無効電力 Q (Vars)、機械動力 Pmec (W)、および界磁電圧 Vr (pu) は、次のように表示されます: Q = 1.54 Mvar, field voltage Vf = 1.0043 pu。同期機のブロックのメニューを開くと、同期機のパラメーターの初期値が更新されていることが確認できます。

2.スチームタービンと調速機に相当する STG (Steam Turbine and Governor) が接続されているシステムで、定常状態でシミュレーションを開始するには、この STG サブシステム内の状態量をもつ Simulink® ブロックが適切に初期化されていなければなりません。この初期化は、Constant ブロックもしくは Machine ライブラリ (HTG、STG または Excitation System) の制御ブロックのいずれかを、マシンの Pm と Vf の入力に接続している場合に、自動的に実行されます。STG ブロックのメニューを開き、機械動力および発電機の回転子角度の初期値が、自動的に Pm0=2.98e-8 pu (有効電力がゼロで、固定子巻線の非常に低い抵抗損失に対応) および th0 = -120 度に設定されていることを確認します。同期機の界磁電圧 Vf [pu] の入力に接続された定数ブロック Vf は自動的に 1.0046 pu に更新されます。

3.STG モデルに接続された Scope を開きます。シミュレーションを実行します。Scope ブロックの上側のグラフで速度偏差を確認し、下側のグラフでシャフトの質点間のトルクの伝達を確認します。質点 1 (発電機) と質点 2 (LP タービン) 間の T2 [pu] について、4 pu 以上のピーク トルクを確認できます。トルクと速度偏差で確認される振動の周波数は約 27 Hz です。ここで得られたピーク値は [1] で得られる値と一致します。

参考文献

[1] IEEE Sub-synchronous resonance working group, "Second benchmark model for computer simulation of sub-synchronous resonance," IEEE Transactions on Power Apparatus and Systems, vol. PAS-104, no. 5, 1985, pp. 1057-1066.