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OLTC 制御用変圧器 (フェーザ モデル)

この例では、負荷時タップ切換装置 (OLTC) 制御用変圧器の 2 つのモデルの動作を示します。

Gilbert Sybille (Hydro-Quebec)

説明

並列に接続された 30 km の配電フィーダー 3 本から構成される 25 kV 配電ネットワークが、36 MW /10 Mvar の負荷 (0.964 PF 遅れ) に、120 kV 1000 MVA のシステムおよび 120 kV/25 kV OLTC 制御用変圧器から電力を供給します。無効電力補償は、15 Mvar のコンデンサ バンクによって負荷母線で提供されます。2 つの異なった OLTC 変圧器モデルの性能を比較するために、同じ回路が複製されています。

  • Model 1 は詳細モデルで、すべての OLTC スイッチと変圧器の特性が表現されています。このモデルは Powergui の [Simulation type] の項目で [Continuous]、[Discrete] モードを使用して、詳細な波形を求めることができます。あるいは、[Phasor] (フェーザ法) を使用して、フェーザ電圧および電流の変化を観察することができます。Model 1 を連続または離散モードでシミュレーション実行するには、例から Model 2 を削除しなければなりません。

  • Model 2 は簡略化されたフェーザ モデルで、変圧器と OLTC は電流源によってシミュレーションが実行されます。このモデルは、Powergui の [Simulation type] の項目で [Phasor] を選択したときだけ、使用することが可能です。これは実行速度がずっと速く、こうしたデバイスがいくつか同じシステムで使用される場合は、過渡安定性を調べるために望ましいモデルです。

どちらの OLTC 変圧器モデルも、47 MVA、120 kV/25 kV を定格とする Y 結線/Δ 結線の三相制御用変圧器が実装され、OLTC は高電圧側 (120 kV) に接続されています。OLTC 変圧器は、25 kV の母線 B2 および B4 でシステム電圧を制御するために使用されます。

電圧制御は、変圧器の巻数比を変えることにより実行します。これは、各相で、タップ付き巻線 (制御巻線) を各 120/sqrt(3) kV 巻線と直列に接続して実現します。9 つの OLTC スイッチにより、8 つの異なるタップ位置の選択が可能になります (1 から 8 までのタップ位置と、定格の 120kV/25 kV の比を与えるタップ位置 0)。OLTC に含まれる反転スイッチで制御用巻線の接続を反転し、これによって加算的 (正のタップ位置) または減算的 (負のタップ位置) に接続することができます。25 kV に固定された二次電圧に対し、各タップにより +/-0.01875 pu、すなわち定格電圧 120 kV +/-1.875% の電圧補正が提供されます。したがって、タップ位置 0 を含む合計 17 のタップ位置により、0.85 pu (102 kV) から 1.15 pu (138 kV) まで、0.01875 pu (2.25 kV) 間隔の異なった電圧が得られます。

母線 B2 および B4 で測定される正相電圧は、電圧レギュレーターへの入力として提供されます (Transformer ブロックの入力 "Vmeas")。2 つの Transformer ブロックのメニューを開き、それらのパラメーターを確認します。電圧レギュレーターは稼動しています ("Voltage regulator" パラメーター = "on")基準電圧は 1.04 pu に設定されています。25 kV の電圧を母線 B2 および B4 で 1.04 pu に近づけてシミュレーションを開始するため、初期のタップ位置は -4 に設定され、変圧器で電圧を 1/(1-4*0.01875)=1.081 倍に上げます。

詳細モデルは固定のタップ位置の番号 (8) を用いて作成されます。フェーザ モデルはより柔軟で、一次巻線と二次巻線の接続 (Y または Δ) の選択やタップ数の変更、OLTC を一次側と二次側のどちらかで使用するかなどを決めることができます。

変圧器モデルの構造を確認するには、マスク内を表示します。詳細モデルは 3 つの Multi-Winding Transformer ブロックと 3 つの OLTC サブシステムから作成されており、後者には、タップ選択と制御巻線の反転を行うスイッチが含まれています。タップの切り替えは、2 つの隣接するタップを抵抗器を通して一時的に短絡して実行します (ブロック メニューでの指定に従い、5 Ω の抵抗と 60 ms の切り替え時間)。フェーザ モデルは、変圧器インピーダンスをエミュレートする電流源を用いて作成され、このインピーダンスは巻線抵抗、漏れリアクタンスおよびタップ位置によって変わります。どちらのモデルでも電圧レギュレーターを使用し、これによって "Up" または "Down" 出力でパルスを生成して、正方向または負方向へのタップ変更を指令します。電圧の制御は、指定された不感帯 (DB = 電圧ステップの 2 倍、すなわち 0.0375 pu) に左右されます。これは、母線 B2 および B4 での電圧の最大誤差は 0.01875 pu となることを意味します。タップ位置の番号が最大値 (-8 または +8) に達しない限り、電圧は次の範囲に留まります( Vref-DB/2< V<1.04+DB/2 ) = (1.021< V< 1.059)。

シミュレーション

タップ選択は比較的遅い機械的プロセスなので (ブロック メニューの [Tap selection time] パラメーターでタップあたり 4 秒と指定)、シミュレーションの終了時間は 2 分 (120 秒) に設定されています。Three-Phase Programmable Voltage Source を使用して、OLTC のパフォーマンスを観察するために 120 kV のシステム電圧を変化させます。まず、電源により定格電圧が生成されます。次に、電圧が下げられ (t = 10 秒で 0.95 pu)、続いて上げられます (t = 50 秒で 1.10 pu)。

シミュレーションを開始し、OLTC の動作を Scope ブロック で観察します。

  • トレース 1 はタップの位置を示します。

  • トレース 2 は、120 kV の母線 B1 (黄色)、25 kV の母線 B2 (赤紫色) および母線 B4 (シアン色) での正相電圧を重ね合わせて示します。

  • トレース 3 と 4 は、120 kV 側 (母線 B1 および B3) で測定された有効電力と無効電力を示します。

シミュレーションが開始するとき、OLTC は位置 -4 であり、結果として母線 B2 および B4 で得られる電圧は 1.038 pu となります。t=10 秒で、電源の内部電圧は突然 0.95 pu に下がります。このため、25 kV の電圧は 0.986 pu に下がり、これは電圧の許容範囲 (1.021< V<1.059) 外となります。電圧レギュレーターはさらに電圧を上げるよう指令し、OLTC は tap=-6 (V=1.025 pu) で安定化します。t=50 で、電源の内部電圧は突然 1.10 pu に上がり、25 kV の電圧は今度は 1.19 pu に達します。これに対し電圧レギュレーターは、タップを上方に動かすことで電圧を下げ始め、OLTC は tap=+1 (V=1.043 pu) で安定化します。

フェーザ モデルだけのシミュレーション

フェーザ モデルによるシミュレーション速度の向上を評価するために、詳細変圧器モデルを削除して、フェーザ モデルの複製で置き換えます。再度、シミュレーションを実行してください。モデルはおよそ 2.5 倍の速さで実行されます。これは主に、詳細モデルの OLTC スイッチがシミュレートされないからです。

メモ: 電源電圧が急降下し (t=10 秒) 急上昇する (t=50 秒) 際にフェーザ モデルで観察される電圧の急変は無視できます。これは、代数ループを回避するためにモデル内部で使用される 1 次伝達関数 (1 サイクルの時定数) によって引き起こされるものです。