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内挿を使用した、正確性とシミュレーション速度の向上

この例では、Powergui で内挿法を使用して、よりタイム ステップの大きなシミュレーションでモデルの正確性を維持する方法を説明します。

説明

この例では、200 V の電源から RC 負荷を供給する DC-DC 降圧コンバーターを説明します。PWM 周波数は 5 kHz に設定され、デューティ比は 0.1 から 0.8 の間で変動します。この 5 kHz の PWM 周波数では、標準の離散化手法 (Tustin 法または後退オイラー法) を使用してデューティ比の 0.5% 分解能を得るために必要なサンプル時間は Ts = 1e-6 秒 (1 MHz サンプリング周波数 = 200 x PWM_freq -> 解像度 = 1/200 = 0.5 %) です。この例は、内挿の使用により、モデルの正確性を維持しながらはるかに大きいタイム ステップ (Ts = 20e-6 秒) でモデルを実行できることを示しています。また、この例では、Specialized Power Systems のスイッチング デバイスにおけるタイム スタンプ付きゲート信号の概念も示します。

シミュレーション

既定では、サンプル時間は 20e-6 秒に初期化されます ([モデル プロパティ]、[PreloadFcn] コールバック内)。Powergui ブロックを開き、[基本設定] タブで、[Discrete solver] パラメーターが Tustin に設定されていること、および [Interpolate switching events] オプションが有効になっていることを確認します。また、[Use time-stamped gate signals] オプションが無効になっていることも確認します。シミュレーション データ インスペクターが有効になり、Vload 信号がログに記録されます。

1) 内挿を有効にして 1 回目のシミュレーションを実行します。Time-Stamping System という名前のサブシステムはコメント スルーされているため、PWM Generator ブロックのパルス信号は IGBT ブロックに直接渡されることに注意してください。

2) 次に、Powergui ブロックで [Use time-stamped gate signals] オプションを有効にして、Time-Stamping System のコメントを解除します。これで、このサブシステムでパルス信号の遅延オンと遅延オフが計算されるようになります。3 種類の信号 (パルス、遅延オン、遅延オフの各信号) が、IGBT ブロックに渡されるようになります。シミュレーションを実行し、シミュレーション結果が同じであることを確認します。

3) 次に、内挿を無効にし、コマンド ウィンドウで Ts = 1e-6 と指定します。Time-Stamping System をコメント スルーし、[Use time-stamped gate signals] オプションを無効にします。3 回目のシミュレーションを実行します。

4) Powergui の [Solver] タブで、[Simulation Type] を [Continuous] に設定します。連続モデルを使用して、4 回目のシミュレーションを実行します。

5) データ インスペクターを使用して、4 回のシミュレーション実行結果を比較します。2 回目と 3 回目の実行 (内挿ありで Ts = 20e-6 秒、内挿なしで Ts = 1e-6 秒) から得られた Vload 電圧は、連続シミュレーションの結果と非常に近い値になります。

6) 内挿ソルバーが連続ソルバーに一致し、標準の離散化ソルバーよりさらに正確であることに注目してください。

7) 離散モデル同士のシミュレーション速度を比較します (内挿ありで Ts = 20e-6 秒、内挿なしで Ts = 1e-6 秒)。意味のあるシミュレーション時間を得るには、シミュレーションの停止時間を 0.5 秒に増やします。診断ビューアーには、各シミュレーションの実行の終了時におけるシミュレーション時間が表示されます。内挿法によって速度は約 4 倍増加します。