ブロック線図の更新とシミュレーションの実行
信号データ型やサンプル時間など、ブロック線図の多数の属性は指定しないままでもかまいません。その場合、Simulink® ソフトウェアは、ユーザーが指定するブロックの接続と属性に基づいてブロック線図の属性の値を推測します。Simulink が使用するプロセスは "ブロック線図の更新" と呼ばれます。
Simulink は、指定しない属性に対して最も適切な値を推測しようとします。Simulink が属性を推測できない場合は、更新が停止され、エラーが表示されます。
Simulink は、シミュレーションの開始時にブロック線図を更新します。更新されたブロック線図は、ユーザーがモデルに加えた最新の変更結果をシミュレーションに提供します。
モデルのシミュレーションと結果の表示
シミュレーションでは、モデルのブロックと具体的な構成で指定された演算を実行し、結果を生成します。モデルのシミュレーションの設定方法などの詳細については、シミュレーションを参照してください。
以下のいずれかの方法を使用してモデルのシミュレーションを実行します。
Ctrl + T を押します。
[実行]
をクリックします。
この例では、シミュレーションを既定の設定である 10 秒間実行します。
両方の Scope ブロックをダブルクリックして開き、結果を確認します。
次の図は、両方の結果を示したものです。2 つ目のプロットでは、正弦波の絶対値が常に正になっています。
編集中のブロック線図の更新
モデルの作成中はいつでもブロック線図の更新も行えます。ブロック線図を定期的に更新することで、モデルの開発を進めながら潜在的なシミュレーションの問題の特定とその修正がしやすくなります。この方法により、一連の直近の変更に集中することで問題の原因の特定が容易になります。また、ブロック線図の更新は、シミュレーションの実行よりも所要時間が短いので、問題をより迅速に特定することが可能になります。
ブロック線図を更新するには、[モデル化] タブで、[モデルの更新] をクリックします。または、Ctrl+D キーを押します。
ブロック線図を更新した場合の影響を確認するには、次のようにします。
[デバッグ] タブで、[情報のオーバーレイ] 、 [基本データ型] を選択します。
ブロックの出力端子のデータ型が表示されます。端子のデータ型は既定値の
double
です。Abs ブロックをダブルクリックします。
[ブロック パラメーター] ダイアログ ボックスの [信号属性] タブで、[出力データ型] を
single
に設定し、[OK] をクリックします。ブロック線図のデータ型のオーバーレイに、この変更は反映されません。
[モデル化] タブで、[モデルの更新] をクリックします。
更新されたブロック線図には、Abs ブロックおよび Gain ブロックの出力データ型に対する変更が反映されます。
Gain ブロックの出力データ型は入力信号と [ゲイン] パラメーターのデータ型に基づいているため、Gain ブロックのデータ型が変更されます。この例では、ブロックは入力信号と同じデータ型を使用します。