データシートからの指数ダイオードのパラメーター化
例 1 では、ダイオードの電流と電圧の指数的関係に区分的線形近似を使用しています。これによりシミュレーションの効率が上がりますが、ブロック パラメーター値の設定に一定の考慮が必要となります。代わりの方法は、より広い範囲の電圧値と電流値で有効な、より複雑なモデルを使用することです。この例では、Diode ブロックの [指数]
パラメーター化オプションを使用します。
このモデルには、ダイオードの電流と電圧の関係から得られる 2 つのデータ点か、基礎となる方程式の係数の値 (すなわち、飽和電流 IS と放出係数 N) が必要です。BZX384-B4V3 データシートには前者の値しか記載されていません。データシートによっては、どちらのケースについても必要なデータが記載されていないことがあり、その場合、代わりに例 1 または例 3 の処理に従わなければなりません。
以下の表にある 2 つのデータ点は、BZX384-B4V3 データシートの電流電圧曲線から得たものです。
ダイオードの順電圧 VF | 0.7 V | 1 V |
ダイオードの順電流 IF | 5 mA | 250 mA |
Exponential Diode ブロックのパラメーターを次のように設定します。
電流 [I1 I2]。[5 250] mA に設定します。
電圧 [V1 V2]。[0.7 1.0] V に設定します。
逆ブレークダウン電圧。データシートの使用電圧値である 4.3 V に設定します。
オーム抵抗、RS。0.01 Ω に設定します。これは、データシートから決定できないパラメーターの例です。しかし、値をゼロに設定するのは必ずしも好ましいとは言えません。小さい値は、一部の回路トポロジでシミュレーションの収束に役立つことがあるためです。物理的には、この項は接続抵抗のためゼロにはなりません。
接合容量。データシートのダイオード静電容量値である 450 pF に設定します。
指数方程式オプションをもつ Diode コンポーネントには、より複雑な静電容量モデルも使用できます。しかし、データシートには必要なデータが指定されていません。そのうえ、この回路の動作は電圧依存の静電容量効果に対して十分な感度がなく、追加の詳細を保証できません。