Main Content

このページの翻訳は最新ではありません。ここをクリックして、英語の最新版を参照してください。

リチウム パックの短絡回路

この例では、リチウムイオン バッテリー モジュール内の短絡回路をモデル化する方法を説明します。バッテリー モジュールは 30 個のセルで構成され、並列の 3 個のセルからなるストリングが 10 個直列に接続されています。各バッテリー セルは、Simscape Electrical の Battery (Table-Based) ブロックを使用してモデル化されています。この例では、初期温度と充電状態はすべてのセルで同一です。この例では冷却水の流れはモデル化されません。バッテリー モジュールは、0.1 mΩ の抵抗器で短絡されます。突入電流が発生し、その後セルが急速に放電して温度が上昇します。セルが熱暴走とセル開放のトリガー温度に達すると、電気回路が切断されて電気シミュレーションが停止します。

モデル

パラメーターと入力の定義

このモジュールを使用して独自のバッテリー モジュールを作成するには、まず直列接続するセルと並列接続するセルの数を指定します。次に、Battery Module ブロックの [Choose cell type] パラメーターで次のいずれかのオプションを選択し、個々のセルすべてについてセルのタイプを指定します。

  • Pouch

  • Can

  • Compact cylindrical

  • Regular cylindrical

この例では、パウチタイプのセルを使用します。モジュール A、B および C は、8 個の直列接続セルと 2 個の並列接続セルで構成されます。モジュール D は、12 個の直列接続セルと 2 個の並列接続セルで構成されます。

2 つの出力端子 SOCTemp は、モジュール内の各セルの充電状態と温度に関する情報を提供します。熱端子 Amb は、シミュレーション中の周囲温度を定義するために使用されます。電気端子 posneg は、それぞれ電気的な正極端子と負極端子を定義します。2 つの入力端子 FlwRFlwT は、モジュールに入るバッテリー冷却液の流量制御値とモジュール入口温度を定義します。

以下の図は、Pouch および Can のバッテリー セルの構成例を示しています。

以下の図は、Compact cylindrical および Regular cylindrical のバッテリー セルの構成例を示しています。

バッテリー モジュールのパラメーターは次のとおりです。

  • 温度のベクトル、T — 温度変化するプロパティを表形式にしたときに、セルまたはモジュールのデータに対応する温度。ベクトルとして指定します。

  • Single cell Ahr rating, baseline[温度のベクトル、T] パラメーターで定義された温度におけるセル容量。ベクトルとして指定します。

  • Vector of state of charge values, SOC — セルの電気パラメーターが定義される 0 ~ 1 の値の範囲。ベクトルとして指定します。

  • Vector of coolant flowrates, L — セル冷却のルックアップ テーブルが定義されている冷却液の質量流量値。このパラメーターは、着目する流量範囲の複数の点に対応する必要があります。このパラメーターは [Effective rate of coolant heat transfer] パラメーターのサイズを定義するもので、ベクトルとして指定します。

  • No load voltage, V0[Vector of state of charge values, SOC] および [温度のベクトル、T] のさまざまな点におけるセルの開回路電位値。行列として指定します。

  • Terminal resistance, R0[Vector of state of charge values, SOC] および [温度のベクトル、T] のさまざまな点におけるセルのオーム抵抗値。行列として指定します。

  • Polarization resistance[Vector of state of charge values, SOC] および [温度のベクトル、T] のさまざまな点における分極抵抗値。行列として指定します。

  • 時定数[Vector of state of charge values, SOC] および [温度のベクトル、T] のさまざまな点における時定数。行列として指定します。

  • Cell thermal mass — 単一セルの熱質量。スカラーとして指定します。

  • Cell thermal conductivity — パウチ セルとユニット セルの場合はセルの面に垂直方向の伝導率、円筒型セルの場合は半径方向の伝導率。スカラーとして指定します。

  • Heat transfer coefficient to ambient — 熱伝達係数の値。スカラーとして指定します。

  • Number of series connected cells Ns — 直列のストリング数。整数として指定します。

  • Number of parallel connected cells Np — ストリング内の並列セルの数。整数として指定します。

  • Choose cell type — セルのタイプ。PouchCanCompact cylindrical または Regular cylindrical のいずれかとして指定します。

  • Cell height — セルの高さ。スカラーとして指定します。

  • Cell widthPouch および Can のセルの幅。スカラーとして指定します。

  • Cell thicknessPouch または Can のセルの厚さ。スカラーとして指定します。

  • Cell diameterCompact cylindrical または Regular cylindrical のセルの直径。スカラーとして指定します。

  • Number of cylindrical cells in a straight line — パッケージ化の目的で直線状に配置した円筒セルの数。整数として指定します。

  • Accessory total resistance — モジュール内のすべてのインライン抵抗を合わせた抵抗。スカラーとして指定します。この抵抗は、セル タブ、母線、ケーブルおよび/または溶接抵抗の合計です。スカラーとして指定します。

  • Cell balancing — セル バランス メソッド。none または passive のいずれかとして指定します。この例では、このパラメーターが none に設定されています。

  • Effective rate of coolant heat transfer from each cell — バッテリー セルから冷却液への熱伝達の熱抵抗の推定値 (W/K)。スカラー値の 3 次元行列として指定します。3 次元行列のサイズは、[温度のベクトル、T][Vector of coolant flowrates, L] および [NsxNp] のパラメーターによって決まります。[NsxNp] パラメーターは、モジュール内のセルの合計数です。バッテリー冷却はサイズ [T,L,Ns*Np] のルックアップ テーブルまたは 3 次元行列として表され、その値は数値流体力学などの詳細な 3 次元手法を使用して計算されます。行列の値は、モジュール内の冷却システムまたは冷却板の実際のハードウェア設計によって決まります。冷却板のパフォーマンスの制御には、入力値 FlwR および FlwT が使用されます。

  • External heat — モジュール近くにある高温コンポーネントによる、モジュール内の各セルへの外部熱入力。ベクトルとして指定します。

  • Vector of initial cell temperature — セルの初期温度。ベクトルとして指定します。

  • Vector of initial cell state of charge — セルの初期充電状態。ベクトルとして指定します。

  • Cell Ahr rating variation — 各セルのすべての [温度のベクトル、T] 点におけるセル容量のセル間変動。スカラー値のベクトルとして指定します。この配列を 1 に設定すると、すべてのセル容量が同一になります。あるセルの配列の値に、[Single cell Ahr rating, baseline] パラメーターに指定された値を乗算すると、セルの実際の容量または定格のアンペア時が計算されます。

バッテリー冷却液の流量と温度を定義するには、次の入力を指定します。

  • FlwR — 0 ~ 1 の値。スカラーとして指定します。シミュレーション中は、[FlwR] の入力値を使用して、正しい流量値が動的に選択されます。[FlwR] の入力値は、モジュール内の実際の流量を定義します。[Vector of coolant flowrates L] パラメーターの [FlwR] が 0 に等しいことは流量ゼロを意味します。一方、[FlwR] が 1 に等しいことは最大流量値を意味します。この例の [FlwR] は、低い値 1e-3 に設定されています。

  • FlwT — 正値または負値であり、周囲温度に加算した値が冷却液の入口温度に等しくなります。[FlwT] の入力値が +15 で、端子 Amb が 273.15 K の場合、冷却液の入口温度は 273.15 + 15 = 288.15 K に等しくなります。[FlwT] の入力値が -15 で、Amb が 273.15 K である場合、冷却水の入口温度は 273.15 - 15 = 258.15 K に等しくなります。この例の [FlwT] は 0 に設定されています。

Simscape ログからのシミュレーション結果

Switch operation logic サブシステムの回路のスイッチが 30 秒の時点で閉じます。回路が完結し、0.1 mΩ の抵抗によりシステムが短絡します。高電流がモジュール内のすべてのセルを流れるため、セル温度が上昇し、急速に熱暴走とガス放出のトリガー温度に達します。これでセルが故障状態になるため、スイッチが開いて電気回路を切断します。