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リチウム パックのセル バランシング

この例では、リチウムイオン バッテリー パックのパッシブ セル バランシングを実装する方法を説明します。モジュール内でセル間の差異があると、セルの充電状態に不均衡が生じ、その結果電圧にも不均衡が生じます。この例で均衡化アルゴリズムは、バッテリー パックがアイドル状態のときに、セルの充電状態の差異が事前定義された特定値を上回ると開始されます。

モデルの概要

パラメーターと入力の概要

このモデルを使用して独自のバッテリー モジュールを作成するには、まず直列接続と並列接続のセル数を指定します。次に、Battery Module ブロックの [Choose cell type] パラメーターで次のいずれかのオプションを選択して、個々のセルすべてについてセルのタイプを指定します。

  • Pouch

  • Can

  • Compact cylindrical

  • Regular cylindrical

この例のバッテリー モジュールは、直列接続された 10 個のパウチ セルで構成されます。

2 つの出力端子 SOCTemp は、モジュール内の各セルの充電状態と温度に関する情報を提供します。熱端子 Amb は、シミュレーション中の周囲温度を定義するために使用されます。電気端子 posneg は、それぞれ電気的な正極端子と負極端子を定義します。2 つの入力端子 FlwRFlwT は、モジュールに入るバッテリー冷却液の流量制御値とモジュール入口温度を定義します。3 番目の入力端子 SW は、抵抗器を介して、パッシブ セル バランシングに対するスイッチの状態 (オンまたはオフ) を定義します。

以下の図は、Pouch および Can のバッテリー セルの構成例を示しています。

以下の図は、Compact cylindrical および Regular cylindrical のバッテリー セルの構成例を示しています。

バッテリー モジュールのパラメーターは次のとおりです。

  • 温度のベクトル、T — 温度変化するプロパティを表形式にしたときに、セルまたはモジュールのデータに対応する温度。ベクトルとして指定します。

  • Single cell Ahr rating, baseline[温度のベクトル、T] パラメーターで定義された温度におけるセル容量。ベクトルとして指定します。

  • Vector of state of charge values, SOC — セルの電気パラメーターが定義される 0 ~ 1 の値の範囲。ベクトルとして指定します。

  • Vector of coolant flowrates, L — セル冷却のルックアップ テーブルが定義されている冷却液の質量流量値。このパラメーターは、着目する流量範囲の複数の点に対応する必要があります。このパラメーターは [Effective rate of coolant heat transfer] パラメーターのサイズを定義するもので、ベクトルとして指定します。

  • No load voltage, V0[Vector of state of charge values, SOC] および [温度のベクトル、T] のさまざまな点におけるセルの開回路電位値。行列として指定します。

  • Terminal resistance, R0[Vector of state of charge values, SOC] および [温度のベクトル、T] のさまざまな点におけるセルのオーム抵抗値。行列として指定します。

  • Self-discharge — セルの自己放電オプション。この例では Disabled が選択されています。

  • Polarization resistance[Vector of state of charge values, SOC] および [温度のベクトル、T] のさまざまな点における分極抵抗値。行列として指定します。

  • 時定数[Vector of state of charge values, SOC] および [温度のベクトル、T] のさまざまな点における時定数。行列として指定します。

  • Cell thermal mass — 単一セルの熱質量。スカラーとして指定します。

  • Cell thermal conductivity — パウチ セルとユニット セルの場合はセルの面に垂直方向の伝導率、円筒型セルの場合は半径方向の伝導率。スカラーとして指定します。

  • Heat transfer coefficient to ambient — 熱伝達係数の値。スカラーとして指定します。

  • Number of series connected cells Ns — 直列のストリング数。整数として指定します。

  • Number of parallel connected cells Np — ストリング内の並列セルの数。整数として指定します。

  • Choose cell type — セルのタイプ。PouchCanCompact cylindrical または Regular cylindrical のいずれかとして指定します。

  • Cell height — セルの高さ。スカラーとして指定します。

  • Cell widthPouch および Can のセルの幅。スカラーとして指定します。

  • Cell thicknessPouch または Can のセルの厚さ。スカラーとして指定します。

  • Cell diameterCompact cylindrical または Regular cylindrical のセルの直径。スカラーとして指定します。

  • Number of cylindrical cells in a straight line — パッケージ化の目的で直線状に配置した円筒セルの数。整数として指定します。

  • Accessory total resistance — モジュール内のすべてのインライン抵抗を合わせた抵抗。スカラーとして指定します。この抵抗は、セル タブ、母線、ケーブルおよび/または溶接抵抗の合計です。スカラーとして指定します。

  • Cell balancing — セル バランス メソッド。none または passive のいずれかとして指定します。この例では、このパラメーターが passive に設定されています。セル バランシングに passive を選択すると、4 つのパラメーターが表示されます。これらのパラメーターは、Shunt resistorSwitch closed resistanceSwitch open conductanceSwitch operation threshold です。パッシブ セル バランシングの概要を以下の図に示します。

  • Effective rate of coolant heat transfer from each cell — バッテリー セルから冷却液への熱伝達の熱抵抗の推定値 (W/K)。スカラー値の 3 次元行列として指定します。3 次元行列のサイズは、[温度のベクトル、T][Vector of coolant flowrates, L] および [NsxNp] のパラメーターによって決まります。[NsxNp] パラメーターは、モジュール内のセルの合計数です。バッテリー冷却はサイズ [T,L,Ns*Np] のルックアップ テーブルまたは 3 次元行列として表され、その値は数値流体力学などの詳細な 3 次元手法を使用して計算されます。行列の値は、モジュール内の冷却システムまたは冷却板の実際のハードウェア設計によって決まります。この行列は、ファイル ee_lithium_pack_cellBalancing_ini.m の現在の例ではゼロに設定されています。

  • External heat — モジュール近くにある高温コンポーネントによる、モジュール内の各セルへの外部熱入力。ベクトルとして指定します。現在の例ではゼロに設定されています。

  • Vector of initial cell temperature — セルの初期温度。ベクトルとして指定します。

  • Vector of initial cell state of charge — セルの初期充電状態。ベクトルとして指定します。ファイル ee_lithium_pack_cellBalancing_ini.m で指定されているとおり、最初のセルは不均衡で、他のセルに比べて充電状態が最も低くなっています。

  • Cell Ahr rating variation — 各セルのすべての [温度のベクトル、T] 点におけるセル容量のセル間変動。スカラー値のベクトルとして指定します。この配列を 1 に設定すると、すべてのセル容量が同一になります。あるセルの配列の値に、[Single cell Ahr rating, baseline] パラメーターに指定された値を乗算すると、セルの実際の容量または定格のアンペア時が計算されます。

バッテリー冷却液の流量と温度を定義するには、次の入力を指定します。

  • FlwR — 0 ~ 1 の値。スカラーとして指定します。シミュレーション中は、[FlwR] の入力値を使用して、正しい流量値が動的に選択されます。[FlwR] の入力値は、モジュール内の実際の流量を定義します。[Vector of coolant flowrates L] パラメーターの [FlwR] が 0 に等しいことは流量ゼロを意味します。一方、[FlwR] が 1 に等しいことは最大流量値を意味します。この例では、[FlwR] は、低い値 0.001 に設定されています。

  • FlwT — 正値または負値であり、周囲温度に加算した値が冷却液の入口温度に等しくなります。[FlwT] の入力値が +15 で、端子 Amb が 273.15 K の場合、冷却液の入口温度は 273.15 + 15 = 288.15 K に等しくなります。[FlwT] の入力値が -15 で、Amb が 273.15 K である場合、冷却水の入口温度は 273.15 - 15 = 258.15 K に等しくなります。この例では、[FlwT] は 0 に設定されています。

この例では、バッテリー パックの初期周囲温度は摂氏 25 度です。バッテリー パックはアイドル状態で、電流は流れていません。セル バランシング アルゴリズムは、セルの充電状態の最小差異が 0.05% を超え、バッテリー パックがアイドル状態のときに有効になります。このアルゴリズムによる充電では、充電状態が最も低いセル以外のすべてのセルでスイッチが閉じられます。少量の電流が均衡化抵抗器を流れ、すべてのセルの充電状態が約 2400 秒でほぼ同じ値になります。

Simscape ログからのシミュレーション結果

以下のプロットは、バッテリー電流、充電状態、セルの充電状態の最大差異、および Balancing algorithm サブシステムで定義されたロジックに基づく切り替え操作を示しています。充電状態が最も低い最初のセルを除くすべてのセルで、スイッチが閉じられ、均衡化抵抗器を介してエネルギーが失われます。モジュールのすべてのセルは、45 分未満でほぼ同じ充電状態の値に達します。