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共振 LLC DC-DC コンバーターでのモンテ カルロ シミュレーションを使用した許容誤差の調査

この例では、LLC 共振 DC-DC コンバーターの一部のコンポーネントに許容誤差がある場合に、Simscape™ Electrical™ を使用してモンテ カルロ解析を実行し、コンバーターの設計を最適化する方法を説明します。

目的

電気システムを設計するとき、一部のコンポーネントのいくつかの主要パラメーター (インダクターのインダクタンスなど) に、一定の許容誤差が存在する場合があります。許容誤差が緩いコンポーネントのほうが通常はコストが低いため、それらを選択すると費用効果が高くなります。

ただし、コンポーネントの許容誤差はシステムの性能に影響し、一部の主要な仕様に変動性が生ずることになります。この例では、システム全体の変動性を最小限にする設計オプションの選択方法を説明します。

この例では、LLC 共振 DC-DC コンバーターが特定の許容誤差をもつコンデンサとインダクターで構成されており、目的のゲイン出力を提供する設計パラメーターにいくつかの選択肢があります。目的は、これらの設計の選択肢のうち出力ゲインの許容誤差、つまりグローバルなシステムの変動性が最小のものを見つけ出すことです。

モンテ カルロ法

コンポーネントの統計的変動性は、グローバルなシステムの統計的変動性に影響します。モンテ カルロ法は、統計的反復によってこの影響の推定を行うことで構成されます。特定の既知の分布によってコンポーネントのパラメーター値を生成し、その後シミュレーションを実行してシステム レベルの結果を取得します。シミュレーションは何度も繰り返されます。シミュレーションの回数が十分に多ければ、システムの出力分布は十分妥当に推定されます。

モデル

この特定の設計では、開ループでの固定スイッチング周波数という、非常に単純な制御システムが選択されています。

出力電圧ゲインの理論的近似

このコンバーターの場合、設計パラメーターから出力電圧ゲインを計算する第 1 次高調波の近似は次のとおりです。

$$ M = \frac{1}{ 2 \sqrt{\left( 1 + L_N - \frac{L_N}{f_N^2} \right)^2 +
Q^2 \left(f_N - \frac{1}{f_N} \right)^2 } } $$

ここで、$$ L_N $$$$ Q $$ はインダクタンス比と品質係数であり、この調査で関心対象となっているコンポーネントのインダクタンスと静電容量に直接依存します。

この公式を使用して、コンポーネントが完全な (許容誤差をもたない) ときに想定される出力ゲインに対する近似を計算します。

コンポーネントの許容誤差の指定

コンポーネントの許容誤差はブロック マスクで指定できます。たとえば、インダクターでは、特定範囲のインダクタンスに対して一様分布の許容誤差値を適用できます。

システムの許容誤差の調査 (Ln のみ)

許容誤差 (この例ではインダクターが 20 % でコンデンサが 7 %) を適用後、複数のシミュレーションを実行し、その間、インダクタンスと静電容量は t=0 において一様分布でランダムに生成されます。負荷で測定される出力ゲインは毎回変化します。許容誤差により、シミュレーションごとにシステムが異なるためです。設計の選択肢が固定されている (固定の $$ L_N $$ と固定の $$ Q $$) 場合は、モンテ カルロ シミュレーションを複数回繰り返すことで出力電圧の統計的分布が推定されます。

この節では、どの構成で出力電圧ゲインの変動性が低くなるかを確認するために、$$ Q $$ の値を固定し、調査の対象範囲で $$ L_N $$ の値を変更します。

This script will run 50 simulations.

システムの許容誤差の調査 (Ln および品質係数)

$$ L_N $$ および品質係数に対するシステムの許容誤差を調査するには、$$ Q $$ の値も変更します。その後、L_N と Q の値のグリッドが選択され、構成ごとに、モデルが繰り返しによって出力ゲインの分布を推定します。

This script will run 160 simulations.

並列計算の利点

数百回、数千回のシミュレーションは、計算コストが高く時間がかかります。計算時間を短縮するために、複数のシミュレーションを並列で実行できます。これは、独立したモンテ カルロ シミュレーションでは特に効果的です。

このワークフローでは、Parallel Computing Toolbox™ を使用してプロセスを高速化し、より多数のシミュレーションにスケール アップします。

ここまでこの例では、それぞれに 10 個のシミュレーションが含まれる 4x4 の構成のグリッドを扱ってきました。次の図は、同じワークフローを、それぞれ 100 個のシミュレーションを含む 17x17 の構成のグリッドにスケール アップしたアニメーションを示しています。

表面プロットは、各構成に関して見つかった最大許容誤差 (最悪の想定) を示しています。実行されるシミュレーションが増えるほど、表面プロットの形状はより信頼性の高い出力ゲインの許容誤差の分布を表すようになり、出力ゲインの許容誤差が 9% 前後と最も低くなる傾向にある特定の構成 ($$ Q = 0.8 $$ および $$ L_N = 0.3 $$) を見つけることができます。