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オフライン高調波解析用の Simscape Electrical 関数の選択

高調波歪み

非線形負荷は、電力歪みを高調波の形で作成します。つまり、電圧と電流が基本周波数の倍数になります。高調波波形により、放熱によるエネルギー損失や、電力品質の低下が発生する場合があります。また、機器の誤動作や損傷の原因になることがあります。IEEE (電気電子技術者協会、Institute of Electrical and Electronics Engineers) や IEC (国際電気標準会議、International Electrotechnical Commission) などの標準開発団体は、電力系統における高調波成分の推奨限界を定義しています。

高調波解析関数

Simscape™ Electrical™ のシミュレーション関数と解析関数を使用すると、オフライン、すなわちシミュレーション後の解析を実行し、モデル内の高調波歪みを調べることができます。関数 ee_plotHarmonics は、棒グラフを生成します。関数 ee_getHarmonics および ee_calculateThdPercent は、高調波データを数値形式で提供します。

高調波解析に使用する関数とワークフローを決定するには、目的について検討します。次の表では、高調波関数と一般的な高調波解析を、関数が出力するデータとタスクに必要なデータに従って相互参照させています。

目的ee_plotHarmonicsee_getHarmonicsee_calculateThdPercent
相対総合高調波歪みの評価
  • 基本振幅の割合を示す棒グラフ

  • 基本ピーク値

  • THD (全高調波歪み) の割合

  
高調波歪みと標準制限値との比較 
  • 基本周波数

  • 高調波の次数

  • 高調波の振幅

THD (全高調波歪み) の割合

高調波歪みをフィルター処理するパラメーターの決定 
  • 基本周波数

  • 高調波の次数

  • 高調波の振幅

 

相対総合高調波歪みの評価

このワークフローを使用して、電力系統の波形歪みを詳細に理解します。

  1. Simscape データ ログを有効にします。

  2. 記録された電圧または電流データを変数に保存します。

  3. 関数 ee_plotHarmonics を使用して、高調波割合の棒グラフを作成し、ピーク基本振幅と THD (全高調波歪み) の割合をプロット タイトルに表示します。

高調波歪みと標準制限値との比較

このワークフローを使用して、IEEE または IEC に対する電力系統の適合性評価に用いる値を取得します。

  1. Simscape データ ログを有効にします。

  2. 記録された電圧または電流データを変数に保存します。

  3. 関数 ee_getHarmonics を使用して、高調波次数、次数ごとの振幅、基本周波数を取得します。

  4. 基本ピークを新しい変数に保存します。

  5. 次数ごとに、電圧または電流の実効値を計算します。

  6. 個々の高調波について、高調波歪み割合を計算します。

  7. 関数 ee_calculateThdPercent を使用して、THD (全高調波歪み) を取得します。

  8. 次数ごとの割合データと THD 割合を、標準制限値と比較します。

パッシブ フィルターを使用した高調波歪みの最小化

このワークフローを使用して、パッシブ フィルターによって波形歪みをフィルター処理するためのパラメーターを決定します。特定の高調波次数には、個別の直列同調フィルターを使用します。より高い次数のフィルター処理には、単一のハイパス フィルターを使用します。

  1. Simscape データ ログを有効にします。

  2. 記録された電圧または電流データを変数に保存します。

  3. 関数 ee_getHarmonics を使用して、高調波次数、次数ごとの振幅、基本周波数を取得します。

  4. フィルター処理する高調波次数を特定します。

  5. 各フィルターについて次の操作を行います。

    1. 無効電力補償の観点からフィルター サイズを指定し、フィルター品質を指定します。

    2. 調整された高調波次数におけるコンデンサのリアクタンスを計算します。

    3. フィルターの静電容量を計算します。

    4. 調整された高調波次数におけるインダクタのリアクタンスを計算します。

    5. フィルターのインダクタンスを計算します。

    6. フィルターの抵抗を計算します。

オンライン高調波解析の結果の検証

Simscape Spectrum Analyzer ブロックを使用すると、モデル内の高調波歪みをオンラインで、すなわちシミュレーション中に調べることができます。Spectrum Analyzer ブロックからの結果を検証するには、次を行います。

  1. モデル内の THD を求めるために、オンライン解析を実行します。詳細については、Simscape Spectrum Analyzer ブロックを使用したオンライン高調波解析の実行を参照してください。

  2. 関数 ee_getHarmonics および関数 ee_calculateThdPercent を使用して、モデル内の THD を求めます。

  3. オンライン解析とオフライン解析の THD 値を比較します。結果が異なる場合は、Spectrum Analyzer ブロックを再構成してください。

参考

ブロック

関数

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