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ジョイント接続のモデル化

モデルにおけるジョイントの役割

ジョイントは、ボディ間に、ボディ同士が互いに対しどのように動けるかを決定する主要な運動学的拘束を課します。ジョイントは、線形油圧アクチュエータのケースとシャフト間のような物理的接続である場合も、地球と月の間のようなバーチャルな接続である場合もあります。Simscape™ Multibody™ では、どちらの接続タイプもジョイント ブロックを使用してモデル化します。

ボディ間の物理的接続とバーチャル接続の例

ギア ブロックと拘束ブロックも、ボディ間に運動学的な拘束を課します。ジョイント ブロックはこれらとどのように違うのでしょうか。ギア ブロックと拘束ブロックは、DoF によりボディ間が取り除かれるという観点からパラメーター化されますが、ジョイント ブロックは、ジョイント プリミティブと呼ばれるモジュールを通して DoF が与えられるという観点からパラメーター化されます。

ジョイントの自由度

それぞれのジョイント ブロックはちょうど 2 つのボディを接続します。そうした接続によって、隣接するボディ同士が共有できる最大自由度 (DoF) が決まります。DoF は、Weld Joint ブロックにおける 0 から、6-DOF Joint ブロックや Bushing Joint ブロックにおける 6 (並進が 3、回転が 3) までの幅があります。並進は位置の変更に対応し、回転は向きの変更に対応します。

ジョイントの DoF は、ジョイントの可動性の度合いです。モデル内の他の拘束を除外すると、DoF の多いジョイントほど、それに隣接するボディ間の運動の自由度が高くなります。ジョイントの DoF には数学的な解釈もあります。シミュレーション中の各タイム ステップで、ジョイントの構成を完全に決定するために必要な状態変数の最小数です。

直角ジョイントを考えます。平面上の並進が可能であるため、このジョイントには各空間次元に 1 つずつ、計 2 つの並進 DoF があります。それぞれのタイム ステップにおいて、ジョイントの構成は 2 つの状態変数、つまり運動平面上の位置座標 [x(t), y(t)] によって完全に決定されます。これはすなわち、たとえば 2 つの位置入力信号を使用して、このジョイントにおける運動を完全に指定できることになります。

次の表は、さまざまなジョイント ブロックで提供される DoF をまとめたものです。

ジョイントにおける実際の DoF は、多くの場合、ジョイント単体が許容する数より少なくなります。これは、モデル内の他の場所における運動学的拘束によって、隣接するボディの相対運動が制限される場合に起こります。そうした拘束は、噛み合った歯車、閉じた運動学的ループの他のジョイントにより妨げられた DoF、ボディ間の距離や角度の固定など、さまざまな要因から生じます。

ジョイント プリミティブ

ジョイント ブロックはジョイント プリミティブを組み合わせたものです。ジョイント プリミティブとは、基本的ながら完全である各種のジョイントであり、たとえば、親ねじジョイントにおける回転と並進の連動のように、少なくとも機能を失わずにはそれ以上分解できないものです。ジョイント プリミティブの数は、Weld Joint ブロックの 0 から Bushing Joint ブロックの 6 までの幅があります。5 つのジョイント プリミティブがあります。

  • 直進 — 単一の標準軸 (x、y または z) に沿った並進を可能にします。ジョイント ブロックは、並進 DoF ごとに 1 つ、最大 3 つの直進ジョイント プリミティブを含むことができます。直進プリミティブには P* というラベルが付きます。アスタリスクは、Px、Py、Pz などのように、運動の軸を表します。

  • 回転 — 単一の標準軸 (x、y または z) を中心とした回転を可能にします。ジョイント ブロックは、回転 DoF ごとに 1 つ、最大 3 つの回転ジョイント プリミティブを含むことができます。回転プリミティブには R* というラベルが付きます。アスタリスクは、Rx、Ry、Rz などのように、運動の軸を表します。

  • 球面 — 任意の 3 次元軸 [x, y, z] の周りの回転を可能にします。ジョイント ブロックには球面プリミティブを 1 つしか含めることができず、これを回転プリミティブと組み合わせて使うことはできません。球面プリミティブには S というラベルが付きます。

  • 親ねじプリミティブ — 1 つの標準軸 (たとえば z) に沿った、回転と並進の連動を可能にします。このプリミティブでは、一端での回転と他端での並進の間に変換が行われます。ジョイント ブロックには親ねじプリミティブを 1 つしか含めることができません。親ねじプリミティブには LS* というラベルが付きます。アスタリスクは運動の軸を表します。

  • 等速ジョイント — 任意の向きで交差するシャフト間で、一定速度の回転を可能にします。ジョイント ブロックには等速プリミティブを 1 つしか含めることができません。等速プリミティブには CV というラベルが付きます。

次の表は、各種のジョイント ブロックで提供されるジョイント プリミティブと DoF をまとめたものです。

なぜ球面プリミティブでジョイント ブロックを使用するのでしょうか。3 つの回転プリミティブをもつジョイント ブロックは、ジンバル ロックの影響を受けることがあります。これは、2 つの回転軸が揃ったときに回転 DoF が 1 つ失われる、自然ではあるものの多くの場合は望ましくない現象です。ジンバル ロックは、数値的な特異点によるシミュレーション エラーの原因となります。球面プリミティブでは、四元数と呼ばれる 4 次元数量を使って 3 次元の回転を表すことにより、ジンバル ロック エラーのリスクが取り除かれます。

ジョイントの慣性

Simscape Multibody のジョイントは理想化されています。慣性がないという点で、実際のジョイントとは異なります。システム ダイナミクスに対するジョイントの慣性の影響は無視できることが多いため、ほとんどのモデルでは適切な近似となります。たとえば、自動車の動力伝達装置の等速ジョイントでは、ジョイントの慣性がシャフトの慣性よりはるかに小さいため、これが該当します。

モデルでジョイントの慣性が重要な場合は、Solid ブロックまたは Inertia ブロックを使用してこれを見なすことができます。ブロックの基準座標系端子を適切なジョイント座標系に接続して、ブロックのダイアログ ボックスでジョイントの慣性特性を指定します。ジョイントの質量や密度、慣性乗積、慣性モーメントおよび重心を指定できます。慣性を指定する方法の詳細については、固体の慣性の表現を参照してください。