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ガンマ スターリング エンジン

この例では、気体、熱、機械の Simscape™ コンポーネントおよびドメインを使用してガンマ スターリング エンジンをモデル化する方法を説明します。

スターリング エンジンは、外部ソースから熱を吸収し、その一部を機械動力に変換し、残りを低温の熱シンクに放散します。熱源が外部であることが、システム内部の気体の燃焼反応から熱を生成する内燃エンジンとの主な違いです。スターリング エンジンでは、気体は不活性です (この場合は空気など)。

モデルの概要

スターリング エンジンの最も典型的な設計は、アルファ、ベータ、およびガンマの各構成です。この例では、2 つのピストンが 1 本の流路パイプで接続されているガンマ構成のみをモデル化します。

最初のピストンはディスプレーサーと呼ばれる複動式シリンダーです。2 つのチャンバーを備えており、その一方は炎から熱を吸収するヒーターで、もう一方は周囲に熱を放散するクーラーです。ピストン ヘッドの動きに従って、クーラーからヒーター、またはその逆に気体が流れますが、ディスプレーサー ピストンの全体的な体積は一定です。両者間の流れは、いわゆる熱交換器を通ります。熱交換器は、ディスプレーサー ピストン内のクーラーとヒーター間の流れを可能にするパイプです。通常は、漏れを許容するように、シリンダーより半径が小さいピストン ヘッドとして実装されます。

2 つ目のピストンは、パワー ピストンという名前の可変体積の単動式シリンダーで、流路パイプを介してディスプレーサーに接続されています。このピストンはトルクと動力を生成します。

ディスプレーサー ピストンとパワー ピストンはいずれも、2 つのスライダークランク機構を介してフライホイールに接続されています。ディスプレーサー クランクには、パワー ピストンから 90 度の遅延があります。

ディスプレーサー ピストン:

熱交換器:

熱交換器は、ヒーターからクーラーへの熱伝導も行います。

パワー ピストン:

スライダークランクとフライホイール:

トルクのインパルスでエンジンを始動して定常状態まで加速させるか、あるいは角速度を強制するかを、トルク源と角速度源のコメント化とコメント解除によって選択することができます。

Flame サブシステムと Ambient サブシステムには、温源と熱対流が含まれています。

パラメーター化

この例の Simscape™ ブロックにあるパラメーターのほとんどは、簡単に変更できるように、スクリプト ssc_stirling_engine_params に変数として保存されています。パラメーター値を変更するにはスクリプトを編集します。

シミュレーション結果

t = 5 秒でインパルスを適用してフライホイールの初期運動を設定することにより、モデルはスターリング エンジンの始動を 15 秒間シミュレートします。

熱力学サイクルの P-V 図

エンジン設計で考慮すべき重要なグラフは、熱力学サイクルの P-V 図です。フライホイールの回転中に、パワー ピストン内における気体の圧力と体積がプロットされます。定常状態では、この曲線は閉じていて周期的です。曲線で囲まれた領域は、1 サイクル中に提供される機械の仕事量です。曲線の下の合計領域は、1 サイクル中に吸収される熱です。この 2 つ間の比率が、サイクルの熱力学効率です。1 サイクルあたりの仕事量 (1 サイクル当たりの熱) を 1 秒あたりのサイクル数で乗算すると、機械動力 (吸収された熱動力) が得られます。

Work per cycle: 1.3318J
Heat absorption per cycle: 11.404J
Thermodynamic efficiency: 11.68%
Mechanical power: 37.7835W
Thermal power absorbed: 323.5447W
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動力とトルクの曲線

もう 1 つの重要な性能指標は、動力-rpm 曲線とトルク-rpm 曲線です。

設計の最適化

パラメーター化された物理モデルをもつ大きな利点は、最適化アルゴリズムを使用して最適な設計パラメーターを検出できることです (効率や動力を最大限にする)。最適化が可能な設計変数の 1 つは、パワー ピストンのクランク半径です。この節では、パワー ピストンのクランク半径の 2 つの値を比較します。

1st crank radius
Work per cycle: 1.3318J
Heat absorption per cycle: 11.404J
Thermodynamic efficiency: 11.68%
Shaft speed: 1702.2624rpm
Mechanical power: 37.7835W
Thermal power absorbed: 323.5447W
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2nd crank radius
Work per cycle: 1.2677J
Heat absorption per cycle: 8.048J
Thermodynamic efficiency: 15.75%
Shaft speed: 1590.8993rpm
Mechanical power: 33.6131W
Thermal power absorbed: 213.3936W
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クランク半径の 2 番目の値を使うとシャフト速度と動力は低下しますが、熱力学効率は上昇します。このアプローチは、多変数の最適化プロセスで、遺伝的アルゴリズムによりグローバルな最適設計を見つける場合などに使用できます。