入力信号のフィルター処理と時間微分の提供
特に陽的ソルバーを使用する際は、一部の入力信号の時間微分の提示が必要となる場合があります。必要な入力微分を求める 1 つの方法は、入力をローパス フィルターでフィルター処理することです。入力のフィルター処理では入力信号が平滑化され、通常はモデルのパフォーマンスが改善します。もうひとつの利点は、Simscape™ エンジンがフィルター処理された入力の時間微分を計算することです。1 次フィルターでは 1 つの導関数が提供され、2 次フィルターでは 1 次および 2 次導関数が提供されます。入力のフィルター処理を使用する場合は、フィルター時定数の値を適切に選択することが重要です。
フィルター時定数は入力信号のフィルター処理を制御します。フィルター処理された入力は本来の入力に対して遅れますが、平滑化され、選択した時定数とほぼ同じだけの遅れを伴います。時定数は、使用するシステムの最小時間間隔を超えない値に設定します。非常に小さい時定数を選択すると、フィルター処理された入力信号は本来の入力信号に近くなります。しかし、このフィルター処理された入力信号によりシステムの剛性が上昇し、シミュレーションの実行速度が遅くなります。
入力をフィルター処理する代わりに、入力信号の時間微分を追加の Simulink® 信号として直接提供することもできます。
区分的に一定な信号については、入力微分を明示的にゼロに設定することもできます。
各入力信号の時間微分を提供する方法を制御するには、入力信号に接続されている Simulink-PS Converter ブロックを以下のように構成します。
Simulink-PS Converter ブロックのダイアログ ボックスを開きます。
[入力の取り扱い] セクションを展開します。
新しい Simulink-PS Converter ブロックをモデルに追加する場合、入力の取り扱いの既定オプションは
[信号の提供]
と[入力のみ]
であり、ブロックには 1 つの Simulink 入力端子と 1 つの物理量信号出力端子があります。入力のフィルター処理をオンにするには、[フィルター処理と微分] パラメーターを
[入力のフィルター処理、微分の算出]
に設定します。[入力フィルター次数] パラメーターを使用して 1 次フィルターまたは 2 次フィルターを選択し、モデルに適した [入力フィルター処理時定数 (秒)] パラメーターの値を設定します。入力信号のフィルター処理を回避するには、[フィルター処理と微分] パラメーターを
[信号の提供]
のままにします。次に、[提供される信号] パラメーターの値を次のいずれかに設定します。入力と最初の微分
— このオプションを選択すると、追加の Simulink 入力端子が Simulink-PS Converter ブロックに表示され、入力微分を提供する信号を接続できるようになります。入力と最初の 2 つの微分
— このオプションを選択すると、追加の Simulink 入力端子が 2 つ Simulink-PS Converter ブロックに表示され、入力微分を提供する信号を接続できるようになります。
最後に、入力信号が区分的に一定 (ステップなど) である場合、[フィルター処理と微分] パラメーターに
[ゼロ微分 (区分定数)]
の値を選択し、入力微分を明示的にゼロに設定することもできます。