ネットワーク ライセンスには、組織がインストールおよび実行するライセンスを保有している各製品の暗号パスコードが記載されています。ネットワーク サーバーのライセンス管理者またはシステム管理者は、ネットワーク ライセンス ファイルにアクセスしなければならない場合があります。
MATLAB® ソフトウェアをインストールするときに、インストーラーはネットワーク ライセンス ファイルの処理を次のように実行します。
サーバー上でインストーラーが次を行います。
license.dat
というネットワーク ライセンス ファイルのコピーを作成し、MATLAB インストール フォルダーの \etc
フォルダーに配置します。
ファイルに SERVER
行と DAEMON
行を追加します。SERVER
行はサーバー ホストとポート番号を識別します。DAEMON
行はネットワーク ライセンス マネージャー デーモンの名前を識別します。
処理したライセンス ファイルを matlabroot/etc
に保存します。ここで、matlabroot
は MATLAB インストール フォルダーです。
インストール時にオプション ファイルが作成されると、ライセンス ファイルの DAEMON
行に Options=
構文も追加されます。この構文はオプション ファイルのパス名を指定します。
たとえば、使用しているサーバー名が thunderball
で IP アドレスが 144.212.111.103 の場合、ライセンス ファイルの SERVER
行と DAEMON
行は次のようになります。
SERVER thunderball INTERNET=144.212.111.103 27000 DAEMON MLM "C:\Program Files\MATLAB\R2019b\etc\win64\MLM.exe" \ options="C:\Program Files\MATLAB\R2019b\etc\mlm.opt"
クライアント マシン上でインストーラーが次を行います。
指定したライセンス ファイルのコピーを network.lic
という名前で作成し、MATLAB クライアントのインストール フォルダーにある \licenses
フォルダーに配置します。
SERVER
行はそのまま残して、すべての INCREMENT
行と DAEMON
行をライセンス ファイルから削除します。また、ファイルにステートメント USE_SERVER
を追加します。この行はクライアントにサーバー上のネットワーク ライセンス ファイルを指定します。ファイルには製品のすべてのパスコードが記載されています。
MATLAB は起動時にライセンス ファイルを読み取り、製品のライセンスを確認します。MATLAB は次の場所を順番に検索してライセンス ファイルを見つけます。
MATLAB の起動コマンド ラインで、-c オプションを使用して指定されたライセンス ファイル。
環境変数 MLM_LICENSE_FILE
および LM_LICENSE_FILE
。
プログラムを起動したユーザーのプロファイル フォルダー
MATLAB インストールの \licenses
フォルダーにある license.dat
というファイル、または拡張子 .lic
をもつ任意のファイル。
ライセンス ファイルが見つかると、MATLAB は検索を停止します。
既定では、MATLAB はライセンス ファイルをクライアント マシン上の MATLAB クライアント インストール フォルダーにある \licenses
フォルダーにインストールします。ただし、次のいずれかの方法でこの場所を上書きすることができます。
MATLAB の起動時にコマンド ラインで -c
オプションを使用してライセンス ファイルのパスを指定します。MATLAB はこのパスを最初に検索します。
検索を行うパスの一覧を指定できます。-c
オプションを使用すると、環境変数の検索を明示的に禁止することになります。-c
オプションを使用するときには、次のことに注意してください。
ライセンス ファイルへのパスがスペースを含む場合は、パス名を引用符で囲みます。
複数のライセンス ファイルを指定する場合は、ライセンス ファイルの一覧全体を引用符で囲みます。
環境変数を設定します。MATLAB はこれらのパスを 2 番目に検索します。
MLM_LICENSE_FILE
- ライセンス ファイルの場所を指定しますが、MathWorks® 製品のみに適用されます (MathWorks 製品のみに影響するため推奨)。
MATLAB はこの環境変数を最初に検索します。
LM_LICENSE_FILE
- このサーバーでネットワーク ライセンス マネージャーを使用するすべてのアプリケーションのライセンス ファイルの場所を指定します。
ライセンスをユーザー 1 人に限定します。MATLAB はこのパスを 3 番目に検索します。
MATLAB は、プログラムを起動したユーザーのプロファイル フォルダーを検索します。特定ユーザーによる使用に制限されたライセンスの場合、アクティベーション アプリケーションによって、ライセンス ファイルは対象ユーザーのプロファイル内のフォルダに格納されます。
ネットワーク ライセンス ファイルとは特殊な形式の ASCII テキスト ファイルで、実行するライセンスのある各製品の暗号パスコードが記載されています。各製品のパスコードは、該当する製品で使用可能なライセンス キーの数を指定します。各製品に関連付けられているライセンス キーの使用状況に応じて、その製品へのアクセスを許可するか拒否するかがネットワーク ライセンス マネージャーによって決定されます。
各 INCREMENT
行は、製品、製品に対して使用可能なキーの数、その他の情報を指定します (この例に示されているすべての要素が実際のライセンス ファイルの INCREMENT
行に含まれているとは限りません)。
バックスラッシュまたは円記号 (\
) は、その行が次の行に続くことを示します。
シャープ記号 (#) で始まる行はコメント行です。MathWorks インストーラーは、インストール中のライセンス ファイル処理時に、これらのコメント行にあるライセンス サーバー ホストの ID またはインターネット アドレスなどの情報を使用します。
# BEGIN-------cut here-------CUT HERE-------BEGIN # MATLAB license passcode file. # LicenseNo: 12345 HostID: INTERNET=144.212.101.43 INCREMENT TMW_Archive MLM 18 01-sep-2015 0 \ BC9DE773A77D15AF8 VENDOR_STRING=83 HOSTID=DEMO SN=12345 INCREMENT MATLAB MLM 18 01-sep-2015 1 \ 4C9D3348561BE9E3B USER_BASED DUP_GROUP=U SN=12345 INCREMENT SIMULINK MLM 18 01-sep-2015 1 \ 1CD148466EF58DF8B USER_BASED DUP_GROUP=U SN=12345 INCREMENT Signal_Toolbox MLM 18 01-sep-2015 1 \ 6CF74B458BA143DC3 USER_BASED DUP_GROUP=U SN=12345 # END---------cut here-------CUT HERE-------END
一般に、サーバーやクライアント マシン上のネットワーク ライセンス ファイルを変更する必要はありません。ただし、次のような場合にはライセンス ファイルを編集しなければなりません。
ライセンス サーバーの名前を変更する場合 (たとえば、ライセンスを新しいサーバーでホストする場合など)。ネットワーク ライセンスの更新 を参照してください。
ポート番号を変更する場合 (たとえば、サーバーのポート アドレスが変更された場合など)。Migrate MATLAB Client Installations to New License Server を参照してください。
ネットワーク インストールを新しいライセンス ファイルで更新する場合。Update License File on License Server を参照してください。