covar
ホワイト ノイズによって励起されるシステムの出力および状態共分散
構文
P = covar(sys,W)
[P,Q] = covar(sys,W)
説明
関数 covar
は、ホワイト ガウス ノイズ入力 w によって励起される LTI モデル sys
の出力 y の定常共分散を計算します。この関数は、連続時間と離散時間の両方の場合を処理します。
P = covar(sys,W)
は、定常状態出力応答共分散を返します
その条件は、次のノイズ強度が与えられたときです。
[P,Q] = covar(sys,W)
も、定常状態の状態共分散を返します
その条件は、sys
が状態空間モデルであることです (それ以外の場合には、Q
は []
に設定されます)。
N
次 LTI 配列 sys
に適用されると、関数 covar
は多次元配列 P と Q を返します。
P(:,:,i1,...iN)
と Q(:,:,i1,...iN)
は、モデル sys(:,:,i1,...iN)
の共分散行列です。
例
次の離散 SISO システムの出力応答共分散を計算します。
強度 W = 5
のホワイト ガウス ノイズを適用するためには、次のように入力します。
sys = tf([2 1],[1 0.2 0.5],0.1); p = covar(sys,5)
このコマンドでは、以下の結果が出力されます。
p = 30.3167
関数 covar
のこの出力をシミュレーション結果と比較することができます。
randn('seed',0) w = sqrt(5)*randn(1,1000); % 1000 samples % Simulate response to w with LSIM: y = lsim(sys,w); % Compute covariance of y values psim = sum(y .* y)/length(w);
この結果、次のようになります。
psim = 32.6269
有限シミュレーション区間で比較しているので、2 つの共分散値 p
と psim
は、完全には一致しません。
アルゴリズム
伝達関数と零点-極-ゲイン モデルは、関数 ss
を使用して最初に状態空間に変換されます。
連続時間状態空間モデルの場合、
定常状態共分散 Q は、リアプノフ方程式を解くことにより取得されます。
離散時間では、状態共分散 Q は離散リアプノフ方程式を解きます。
連続時間と離散時間の両方で、出力応答共分散は P = CQCT + DWDT によって与えられます。不安定システム P と Q は無限です。非ゼロの直達をもつ連続時間システムでは、covar
によって出力共分散 P に対し Inf
が返されます。
参考文献
[1] Bryson, A.E. and Y.C. Ho, Applied Optimal Control, Hemisphere Publishing, 1975, pp. 458-459.
バージョン履歴
R2006a より前に導入