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エラー ベクトル振幅 (EVM)

エラー ベクトル振幅 (EVM) は損失発生時に変調または復調性能を測定したものです。EVM は本質的に、理想的な (伝送) 信号と測定された (受信) 信号間の所定の時間におけるベクトルの差です。これらの測定値は正しく使用すれば、次の信号劣化の原因を特定するのに役立ちます。位相ノイズ、I/Q 不均衡、振幅の非線形、フィルターの歪みなど。

これらのタイプの測定値は、通信アプリケーションのシステム パフォーマンスを判断する場合に役立ちます。たとえば EDGE システムが 3GPP 無線伝送規格に準拠しているかどうかを判断するには、正確な RMS、EVM、ピーク EVM、および EVM 測定値の 95 番目の百分位数が必要です。

EVM オブジェクトを作成する方法は 2 種類あります。これらの方法とは、既定のオブジェクトを使用するか、パラメーターと値のペアを定義する方法です。3GPP 規格で定義されているとおり、RMS、最大、および百分位数の EVM 測定値の測定単位は百分位数 (%) になります。詳細は、EVM Measurement または comm.EVM のヘルプ ページを参照してください。

変調器の精度の測定

概要

Communications Toolbox™ には、変調器の精度の測定に使用できる 2 つのブロックである EVM MeasurementMER Measurement が用意されています。

この例では、EVM 測定を使用して EDGE 受信機にシステム設計による損失がないかどうかをテストします。この例では、EVM Measurements ブロックは理想的な基準信号と測定した信号を比較してから、RMS EVM、最大 EVM、および百分位 EVM 値を計算します。EDGE 規格 [1] によると、送信された波形に相対的に計算された受信信号のエラー ベクトル振幅は、次の値を超えてはいけません。

EDGE 規格標準仕様 [2]

Measurements移動局ベーストランシーバ基地局
 ノーマル極端な値ノーマル極端な値
RMS9%10%7%8%
ピーク EVM30%30%22%22%
95 番目の百分位 EVM15%15%11%11%

この例では、以下のモデルを使用します。

このモデルを開くには、MATLAB® コマンド ラインに doc_evm と入力します。

構造

モデルには基本的には 3 つの部分が含まれます。

  • 送信機

  • 受信機側の損失

  • EVM 計算

チュートリアルの次の節には、モデルの各部分についての説明が含まれています。

送信機-  送信機を構成するブロックは次のとおりです。

Random Integer Generator ブロックはランダム データの生成をシミュレートします。EDGE 規格に沿って、送信機はバーストの有効時にテール ビットを除いて少なくとも 200 点を超えるバーストの測定を実行します。このモードでは、送信機はバーストあたり 435 個のシンボルを生成します (9 個の追加シンボルはフィルター遅延を考慮します)。Phase Offset ブロックは信号に連続的な 3π/8 位相回転を与えます。同期目的で、Upsample ブロックは信号を係数 4 でオーバーサンプリングします。

Discrete FIR Filter ブロックは、GMSK 変調のローラン分解において主要な成分である GMSK パルス線形化を提供します [3]。補助関数はフィルター係数を計算し、直接型 FIR フィルターを使用してパルス整形の効果を作成します。フィルターの正規化は、メイン タップ部で単位ゲインを提供します。

I/Q Imbalance ブロックは送信機障害をシミュレートします。このブロックは、信号に回転を加え、テスト中の送信機の欠陥をシミュレートします。[I/Q amplitude imbalance]0.5 dB で、[I/Q phase imbalance]1° です。

受信機側の損失-  このモデルでは、Receiver Thermal Noise ブロックは受信機側の損失を表します。このモデルでは、熱ノイズが 290 K であると仮定します。つまり、テスト中のハードウェアに欠陥があると仮定します。

EVM 計算-  EVM 計算には次のブロックを使用します。

EVM Measurement ブロックは理想的な基準信号と劣化した信号との間のベクトルの差を計算します。FIR フィルターの出力は、EVM ブロックの Reference 入力を指定します。Noise Temperature ブロックの出力は、EVM ブロックの Input 端子で劣化した信号を指定します。

ブロックではさまざまな正規化オプションを利用できますが、EDGE 規格では [Average reference signal power] を使って正規化する必要があります。この例では説明目的のため、EVM ブロックは RMS、最大、および百分位測定値を出力します。

モデルを試す

  1. Simulink モデル ウィンドウの [開始] ボタンをクリックして、モデルを実行します。

  2. EVM ブロックの出力を確認し、測定値を EDGE 規格標準仕様テーブルの制限値と比較します。

    この例では、EVM Measurement ブロックは次の値を計算します。

    • バーストあたりの最悪の場合の RMS EVM: 9.77%

    • ピーク EVM: 18.95%

    • 95 番目の百分位 EVM: 14.76%

    この結果、このシミュレートした EDGE 送信機は、極端な状況下で移動局の EVM テストにパスします。

  3. I/Q Imbalance ブロックをダブルクリックします。

  4. 2[I/Q Imbalance (dB)] に入力し、[OK] をクリックします。

  5. Simulink モデル ウィンドウの [開始] ボタンをクリックします。

  6. EVM ブロックの出力を調べます。次に、測定値を EDGE 規格標準仕様テーブルの制限値と比較します。

    この例では、EVM Measurement ブロックは次の結果を計算します。

    • バーストあたりの最悪の場合の RMS EVM: 15.15%

    • ピーク EVM: 29.73%

    • 95 番目の百分位 EVM: 22.55%

    これらの EVM 値は、EDGE 規格によると明らかに許容範囲外の値です。他の I/Q 不均衡値を試し、計算に与える影響を調べ、表に示された値と比較できます。

参考文献

[1] 3GPP TS 45.004, “Radio Access Networks; Modulation,” Release 7, v7.2.0, 2008-02.

[2] 3GPP TS 45.005, “Radio Access Network; Radio transmission and reception,” Release 8, v8.1.0, 2008-05.

[3] Laurent, Pierre. “Exact and approximate construction of digital phase modulation by superposition of amplitude modulated pulses (AMP).” IEEE Transactions on Communications. Vol. COM-34, #2, Feb. 1986, pp. 150-160.