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このモデルでは、Communications System Toolbox™ のブロックを使用して衛星リンクを示し、次の損失をシミュレートします。

  • 無記憶非線形性

  • 自由空間パス損失

  • ドップラー誤差

  • 受信機の熱ノイズ

  • 位相ノイズ

  • 同相および直交不平衡

  • DC オフセット

モデルは、必要に応じてこれらの損失のほとんどを修正します。

リンクのゲインおよび損失をモデル化することによって、このモデルは、ダウンリンクを所定のビット誤り率 (BER) で閉じることができるかどうかを判断するリンク バジェット計算を実装します。Free Space Path Loss ブロックおよび Receiver Thermal Noise ブロックを含むゲインおよび損失ブロックは、加法性ホワイト ガウス ノイズ チャネルのリンクで対応可能なデータ転送速度を調べます。

例の構造

この例では、衛星リンク モデルとその信号スコープの両方を示します。このモデルは、衛星ダウンリンク送信機、ダウンリンク パス、および地上局ダウンリンク受信機で構成されています。

これらの各セクションに相当するブロックは次のとおりです。

衛星ダウンリンク送信機

  • Bernoulli Binary Generator – ランダムなバイナリ データ ストリームを生成します。

  • Rectangular QAM Modulator Baseband – データ ストリームを 16-QAM コンスタレーションにマップします。

  • Raised Cosine Transmit Filter – ルート レイズド コサイン パルス整形を使用して変調信号をアップサンプリングして整形します。

  • HPA Nonlinearity with Optional Digital Predistortion (ハイ パワー増幅器) - Memoryless Nonlinearity の Saleh model オプションを使用した進行波管増幅器 (TWTA) をモデル化し、オプションで Digital Predistortion ブロックにより AM/AM および AM/PM を補正します。

  • Gain (Tx ディッシュ アンテナ ゲイン) – 送信機のパラボラ アンテナのゲインを適用します。

ダウンリンク パス

  • Free Space Path Loss (ダウンリンク パス) – 自由空間パス損失で信号を減衰します。

  • Phase/Frequency Offset (ドップラー誤差) – 信号を回転させてリンクのドップラー誤差をモデル化します。

地上局ダウンリンク受信機

  • Gain (Rx ディッシュ アンテナ ゲイン) – 受信機のパラボラ アンテナのゲインを適用します。

  • Receiver Thermal Noise (衛星受信機システム温度) – 受信機の有効システム温度を表すホワイト ガウス ノイズを追加します。

  • Phase Noise – 1/f ノイズまたは位相フリッカー ノイズから発生するランダム位相摂動を取り込みます。

  • I/Q Imbalance – DC オフセット、増幅の不平衡、位相の不平衡を信号に投入します。

  • LNA (低ノイズ増幅器)- 低ノイズ増幅器のゲインを適用します。

  • DC Blocking - I/Q Imbalance ブロックで DC オフセットを補正します。

  • AGC - 信号強度を目的のレベルに設定します。

  • I/Q Imbalance Correction - ブラインド適応アルゴリズムによって I/Q 不均衡を推定して信号から排除します。

  • Doppler Correction - Carrier Synchronizer ブロックを使用して、ドップラーによる搬送周波数オフセットを補正します。

  • Raised Cosine Receive Filter – ルート レイズド コサイン パルス整形を使用して、整合フィルターを変調信号に適用します。

  • Rectangular QAM Demodulator Baseband – データ ストリームを 16-QAM コンスタレーション スペースからマッピング解除します。

例の検証

モデルのパラメーター設定を表示するには、Model Parameters というラベルの付いたブロックをダブルクリックします。これらのパラメーターはすべて調整可能です。モデルの実行時にパラメーターを変更するには、ダイアログでパラメーターを適用し、Ctrl+D キーを使用してモデルを更新します。パラメーターは以下のとおりです。

Satellite altitude (km) - 衛星と地上局の間の距離。このパラメーターを変更すると、Free Space Path Loss ブロックが更新されます。既定の設定値は 35600 です。

Frequency (MHz) - リンクの搬送周波数。このパラメーターを変更すると、Free Space Path Loss ブロックが更新されます。既定の設定値は 4000 です。

Transmit and receive antenna diameters (m) – ベクトルの最初の要素は送信アンテナの直径を表し、Tx Dish Antenna Gain ブロックでゲインの計算に使用されます。2 番目の要素は受信アンテナ直径を表し、Rx Dish Antenna Gain ブロックでゲインを計算するために使用されます。既定の設定値は [.4 .4] です。

Noise temperature (K) – 4 つの有効受信機システムのノイズ温度の中から選択します。選択したノイズ温度によって、Receiver Thermal Noise ブロックの Noise Temperature ブロックが変更されます。既定の設定値は 20 K です。選択肢は次のとおりです。

  • 0 (no noise) – ノイズの摂動の影響を排除して他の RF 損失を表示するには、この設定を使用します。

  • 20 (very low noise level) – 他の RF 損失と組み合わされている場合、ノイズが低水準であっても、リンクの性能が低下する様子を簡単に表示するにはこの設定を使用します。

  • 290 (typical noise level) – 一般的な静かな衛星受信機の動作を表示するにはこの設定を使用します。

  • 500 (high noise level) - この設定を使用して、システムのノイズ指数が 2.4 dB でアンテナのノイズ温度が 290 K の時の受信機の動作を表示します。

HPA backoff level – 3 つのバックオフ レベルから選択できます。このパラメーターは、衛星のハイ パワー アンプが飽和状態にどれだけ近いかを判断するために使用されます。選択されたバックオフは、Memoryless Nonlinearity ブロックの入力および出力ゲインを設定するために使用されます。既定の設定値は 30 dB (negligible nonlinearity) です。以下を選択できます。

  • 30 dB (negligible nonlinearity) – 平均入力パワーを、増幅器の飽和 (ゲイン曲線が平坦になる点) を引き起こす入力パワーを下回る 30 デシベルに設定します。これにより、わずかな AM-to-AM 変換および AM-to-PM 変換を引き起こします。AM-to-AM 変換は、変調の非線形性が信号の振幅によってどのように変化するかの指標となります。AM-to-PM 変換は、位相の非線形性が信号の振幅によってどのように変化するかの指標となります。

  • 7 dB (moderate nonlinearity) – 平均入力パワーを、増幅器の飽和を引き起こす入力パワーを下回る 7 デシベルに設定します。これにより、中程度の AM-to-AM 変換および AM-to-PM 変換が発生します。これは、デジタル歪み補償により訂正可能です。

  • 1 dB (severe nonlinearity) – 平均入力パワーを、増幅器の飽和を引き起こす入力パワーを下回る 1 デシベルに設定します。これにより、大きな AM-to-AM 変換および AM-to-PM 変換が発生し、デジタル歪み補償による訂正ができません。

Doppler error - ドップラーの 2 つの値のいずれかを選択できます。この選択肢では、Phase/Frequency Offset (Doppler Error) ブロックが更新されます。既定の設定は 0 Hz です。以下を選択できます。

  • 0 Hz – リンクにドップラーを適用しません。

  • 3 Hz - 3 Hz の搬送周波数オフセットを追加します。

Phase noise – 受信機の位相ノイズの 3 つの値からいずれかを選択します。この選択肢では、Phase Noise ブロックが更新されます。既定の設定は Negligible (-100 dBc/Hz @ 100 Hz) です。以下を選択できます。

  • Negligible (-100 dBc/Hz @ 100 Hz) – ほとんど位相ノイズを適用しません。

  • Low (-55 dBc/Hz @ 100 Hz) – スペクトルおよび I/Q ドメインの両方で十分な位相ノイズを表示し、熱ノイズまたはその他の RF 損失と組み合わされている場合にビット誤りを表示します。

  • High (-48 dBc/Hz @ 100 Hz) – 熱ノイズや他の RF 損失を追加することなく、十分な位相ノイズでエラーを表示します。

I/Q imbalance and DC offset – 受信機の同相不平衡および直交不平衡の 5 つのタイプから選択します。この選択肢では、I/Q Imbalance ブロックが更新されます。既定の設定は None です。以下を選択できます。

  • None – 不平衡を適用しません。

  • Amplitude imbalance (3 dB) – 1.5 dB ゲインを同相信号に、-1.5 dB ゲインを直交信号に適用します。

  • Phase imbalance (20 deg) – 同相信号を 10 度、直交信号を -10 度回転させます。

  • In-phase DC offset (2e-6) – 2e-6 の DC オフセットを同相信号振幅に追加します。このオフセットによって、受信信号のコンスタレーション ダイアグラムが変更されますが、熱ノイズまたは他の RF 損失と組み合わされない限り、リンクにエラーを発生させません。

  • Quadrature DC offset (1e-5) – 1e-5 の DC オフセットを直交信号振幅に追加します。このオフセットによって、熱ノイズまたは他の RF 損失と組み合わされていない場合でもリンクにエラーを発生させます。また、このオフセットでは、受信信号スペクトルで DC スパイクを発生させます。

Digital predistortion - Digital Predistortion サブシステムを有効または無効にすることができます。既定の設定は Disabled です。

DC offset correction – DC Blocking サブシステムを有効または無効にします。既定の設定は Disabled です。

Doppler correction - Doppler Correction サブシステムを有効または無効にすることができます。既定の設定は Disabled です。

I/Q imbalance correction - I/Q Imbalance Correction サブシステムを有効または無効にすることができます。既定の設定は Disabled です。

結果と表示

このモデルの実行時には、次の表示が有効になっています。

Power Spectrum – この Open Scopes ブロックをダブルクリックすると、復調 (青) 前の変調された/フィルター処理された信号 (黄) と受信信号のスペクトルを表示できます。

この 2 つのスペクトルを比較すると、次の RF 損失の影響を表示できます。

  • Memoryless Nonlinearity ブロックによって発生した HPA 非線形性によるスペクトル再成長

  • Receiver Thermal Noise ブロックによって発生した熱ノイズ

  • Phase Noise ブロックによる位相フリッカー (つまり 1/f ノイズ)

HPA AM/AM and AM/PM – この Open Scopes ブロックをダブルクリックすると、HPA 後の AM/AM および AM/PM 変換を表示できます。これらのプロットによって、Digital Predistortion ブロックと HPA が信号の線形性に与える影響を表示できます。

Constellation Before and After HPA – この Open Scopes ブロックをダブルクリックすると、HPA の前と後のコンスタレーションを表示できます。これらのプロットによって、HPA 非線形性とデジタル プリディストーションの両方の影響を表示できます。

End to End Constellation – この Open Scopes ブロックをダブルクリックすると、基準 16-QAM コンスタレーション (赤色) と復調 (黄色) 前の受信 QAM コンスタレーションを比較できます。これらのコンスタレーション ダイアグラムを比較すると、受信信号に対するすべての RF 損失の影響と補正の有効性を表示できます。

Bit error rate (BER) display – モデルの右下隅に、モデルの BER が表示されます。BER の計算は、緑色の [Double-click to reset BER] ボタンをダブルクリックすることで、手動でリセットできます。これにより、モデルの実行中にパラメーターの変更の影響を表示できます。

例を試す

この節では、いくつかの方法でモデルのパラメーターを変更して、RF I mpairments ライブラリのブロックやモデル内の他のブロックの影響を実験する方法について説明します。このモデルで "Model Parameters" というラベルの付いたブロックをダブルクリックし、下記のシナリオのいくつかを試してみましょう。

リンクのゲインと損失[Noise temperature]290 (typical noise level)0 (no noise) または 500 (high noise level) に変更します。[Satellite altitude (km)] または [Satellite frequency (MHz)] パラメーターの値を変更して自由空間パス損失を変更します。また、受信信号の電力を増減するには、[Transmit and receive antenna diameters (m)] パラメーターを増減させます。受信信号のコンスタレーション ダイアグラム スコープでの受信コンスタレーションの変更、およびスペクトル アナライザーでの受信電力の変更を表示できます。

ルート レイズド コサイン パルス整形 – [Noise temperature] が [0 (no noise)] に設定されます。Constellation Before and After HPA スコープを有効にします。ルート レイズド コサイン フィルター処理によって符号間干渉 (ISI) が発生することを観察します。これによって、理想的なコンスタレーション点の周りに点が緩やかに分散されます。これは HPA 後のコンスタレーション ダイアグラムで表示できます。受信機のルート レイズド コサイン フィルターが送信フィルターと共に ISI を制御します。これは、受信信号のコンスタレーション ダイアグラムで表示できます。

HPA AM-to-AM 変換および AM-to-PM 変換 – [HPA backoff level] パラメーターを [7 dB (moderate nonlinearity)] に変更し、送信 RRC フィルター信号コンスタレーション ダイアグラムを HPA 後の RRC 信号のコンスタレーション ダイアグラムと比較することによって、AM-to-AM 変換および AM-to-PM 変換を観察します。AM-to-AM 変換がさまざまな信号振幅に従って変化する様子に注意してください。受信信号のコンスタレーション ダイアグラムで、受信信号に対するこの変換の影響を表示できます。また、受信信号のスペクトル アナライザーでスペクトル再成長を観測できます。また、受信信号のコンスタレーション ダイアグラム スコープで、受信信号の位相の変化を表示できます。

Digital predistortion [Digital predistortion] チェック ボックスをチェックすることにより、[HPA backoff level] パラメーターを 30 dB (negligible nonlinearity)7 dB (moderate nonlinearity)、および 1 dB (severe nonlinearity) に変更して、HPA 非線形性に対するデジタル プリディストーションの効果を表示できます。

位相ノイズを加えた AM-to-AM 変換 – [Phase Noise] パラメーターを [High] に設定し、受信信号のコンスタレーション ダイアグラムで接線方向に分散が増したことを観察します。また、このレベルの位相ノイズは、誤差が発生しそうのないチャネルでも誤差を引き起こすのに十分であることにも注意してください。

DC オフセットおよび DC オフセット補正 – [I/Q imbalance and DC offset] パラメーターを [In-phase DC offset (2e-6)] に設定し、受信信号のコンスタレーション ダイアグラムでコンスタレーションのシフトを表示します。[DC offset correction] を Enabled に設定し、受信信号のコンスタレーション ダイアグラムを表示して、DC offset ブロックがどのように DC オフセット値を予測して信号からこの値を削除するかを確認します。[DC offset compensation] を Disabled に設定し、[I/Q imbalance] を [Quadrature DC offset (1e-5)] に変更します。受信信号のスペクトルで、大きな DC オフセットおよび DC スパイクの受信信号のコンスタレーション ダイアグラムの変化を表示します。[DC offset compensation] を Enabled に設定し、受信信号のコンスタレーション ダイアグラムとスペクトル アナライザーを表示して DC 成分がどのように削除されるかを確認します。

振幅の不均衡[I/Q imbalance correction] が無効の状態で、I/Q Imbalance and DC offset パラメーターを Amplitude imbalance (3 dB) に設定して、受信信号のコンスタレーション ダイアグラムにおける不均衡な I および Q のゲインの影響を表示します。[I/Q imbalance correction] を有効にすると、振幅の不均衡が補正されます。

ドップラーおよびドップラー補正 - [Doppler correction] チェック ボックスをオフにして、ドップラー補正を無効にします。[Doppler error] を [3 Hz] に設定し、受信信号のコンスタレーション ダイアグラムにおける未補正のドップラーの影響を示します。[Doppler correction] を有効にし、キャリア同期装置が受信コンスタレーションを復元することを示します。I/Q 不均衡と DC オフセットを変えて演習を繰り返します。

参考文献

[1] Saleh, Adel A.M., "Frequency-Independent and Frequency-Dependent Nonlinear Models of TWT Amplifiers," IEEE® Transactions on Communications, Vol. COM-29, No. 11, November 1981.

[2] Kasdin, N.J., "Discrete Simulation of Colored Noise and Stochastic Processes and 1/(f^alpha); Power Law Noise Generation," The Proceedings of the IEEE, Vol. 83, No. 5, May, 1995.

[3] Kasdin, N. Jeremy, and Todd Walter, "Discrete Simulation of Power Law Noise," 1992 IEEE Frequency Control Symposium.

[4] Sklar, Bernard, Digital Communications: Fundamentals and Applications, Englewood Cliffs, N.J., Prentice Hall, 1988.