SimPowerSystems

主な機能

  • 一般的な AC および DC 電気駆動システム、フレキシブル交流送電システム (FACTS) および再生可能エネルギー システムのモデルを含むアプリケーション固有のモデルのライブラリ
  • 離散化およびフェーザ シミュレーション モードによるモデル実行の高速化
  • 理想的なスイッチング アルゴリズムによるパワー エレクトロニクス デバイスのシミュレーションの加速化
  • 回路の状態空間表現の取得とマシンの潮流計算のための解析方法
  • 主要な電気テクノロジーの開発のための基本モデル
  • Simscape 言語を使用してコンポーネント ライブラリを拡張可能
  • C コード生成のサポート
SimPowerSystems - Main image
SimPowerSystems による非同期モーターおよびディーゼル発電機の無停電電源装置 (UPS) のモデル (左)。Simulink の Scope ブロックで観測した非同期機の固定子電流と速度を表しています (右)。

SimPowerSystems は、自動車、航空機、製造工場および電力アプリケーションといった、複雑で独立した電力システムの開発をサポートします。作成したモデルは、ハードウェアインザループ シミュレーションを含む開発プロセス全体をサポートします。

電力システムのモデル化

SimPowerSystems は、電動機、変圧器および電力変換器をモデル化するためのライブラリを提供します。発電機、伝送線路、ブレーカー、モーターなどといったコンポーネントを接続して電力システムをモデル化することができます。アプリケーションに特化したライブラリが用意されていますので、電気駆動装置、航空機用電力網および再生可能エネルギーシステムをモデル化できます。これらのシステムを Simulink でモデル化された制御システムに接続することにより、統合された電力システムを単一の環境でテストすることが可能になります。

Simulink で使用される従来の入出力または信号フロー接続に加え、SimPowerSystems では電力を任意の方向に流せる物理的接続を使用します。物理的接続を使用して構築された電気システムのモデル (つまり非因果的モデル) は、それが表す回路網に類似しているため、わかりやすく共有も容易です。

各位相で個別接続を使用して三相接続を定義することにより、1 線地絡故障を投入するなどといったテストを実行することができます。三相が 1 つの線でわかりやすく表示されている 1 線図を作成することも可能です。SimPowerSystems コンポーネントは単位ごとのシステムを使用してパラメーター化されます。これは電力システム業界では広く使用されている手法であり、システムのパラメーター化と解析を簡略化します。

SimPowerSystems model of a permanent magnet synchronous motor and inverter sized for use in a typical hybrid vehicle.
通常のハイブリッド自動車で使用するサイズに調整された永久磁石同期モーターおよびインバーターの SimPowerSystems モデル (左)。モデルには、電気接続 (単相および三相) と信号フロー接続が含まれており、右側のスコープでは PMSM での固定子電流が示されています。

カスタム コンポーネントの作成

他の物理的モデリング製品からコンポーネントを SimPowerSystems モデルに追加することができます。Simscape の Foundation ライブラリには、油圧、熱、磁気、その他の物理領域のブロックが含まれています。これらの領域を物理的接続を使用して SimPowerSystems モデルに統合することにより、システムの他の側面を単一環境でモデル化しやすくなります。

Simscape 言語は、独自の物理的モデリング コンポーネントとライブラリを作成できる MATLAB に基づいたオブジェクト指向言語です。パラメーター化、物理的接続および非因果の暗黙的な微分代数方程式 (DAE) として表される方程式を備えたカスタム コンポーネントを定義できます。コンポーネントの Simscape 言語ファイル内で、MATLAB を使用してパラメーター値の解析、予備計算の実行、システム変数の初期化などを行うことができます。カスタム コンポーネント用の Simulink ブロックとダイアログ ボックスは、ファイルから自動作成されます。

Simscape 言語を使用すると、どの効果を物理コンポーネントのモデルで取り込むかを正確に制御できます。この手法によって、モデルの忠実度とシミュレーション速度とのトレードオフのバランスをとることが可能です。

Custom Simscape implementation of a permanent magnet synchronous motor, used as a generator.
永久磁石同期モーターを発電機として使用したカスタム Simscape 実装。MATLAB エディターは電気および力学方程式の Simscape 言語ソース コードを示し、スコープは負荷時の三相 AC および DC 電流を示しています。

モデルのシミュレーション

SimPowerSystems モデルは、電力システム網の 3 つの解法のいずれか、および高周波スイッチングを使用してシステムのシミュレーション性能を向上させる理想的なスイッチング アルゴリズムを使用して、シミュレーションすることができます。

連続メソッドでは、ステップ サイズを変化させてシステムのダイナミクスをとらえながら、電力システム モデルの高精度なシミュレーションを行います。離散メソッドでは、タイム ステップのサイズを選択してシミュレーションの精度を制御することができます。フェーザ シミュレーションは、回路網を表す微分方程式を固定周波数で一連の代数方程式に置き換えます。これにより、複数のマシンを有するシステムの過渡安定度を考察することができます。

SimPowerSystems での理想的なスイッチング アルゴリズムにより、パワー エレクトロニクス デバイスを含むシステムを高速かつ正確にシミュレーションすることができます。このアルゴリズムは、高インピーダンスのスナバをもつ電流ソースに依存するのではなく、システムの状態空間表現を計算するための改善されたメソッドを使用して、パワー エレクトロニクス デバイスをモデル化します。このメソッドにより、ソルバーをより柔軟に選択できるようになるので、シミュレーション時間の短縮につながります。

SimPowerSystems interface for selecting simulation options.
シミュレーション オプションを選択するための SimPowerSystems インターフェイス。シミュレーションを高速化するための理想的なスイッチング アルゴリズムを有効にするオプションと共に、連続、離散およびフェーザ シミュレーション モードがサポートされています。

モデルの解析

SimPowerSystems は、モデルの解析、シミュレーション結果の表示、詳細ブロック パラメーターの計算を行うためのツールを提供します。これにより、次を行うことができます。

  • 定常状態の電圧および電流の表示
  • 初期状態値の表示および変更
  • 負荷潮流およびマシン初期化の実行
  • 調和解析の実行
  • インピーダンスと周波数の測定値の表示

潮流計算エンジンは、同期機および非同期機の初期電流を計算します。回路で目的の定常状態マシン条件を指定すると、SimPowerSystems が潮流を計算します。計算結果である回転子の位置、初期電流および内部磁束は、マシンのパラメーターに自動的に入力されます。

SimPowerSystems を使用すると、シミュレーションを実行せずに電気回路網トポロジを解析して回路の同等の状態空間モデルを計算することができます。時間領域と周波数領域の応答を取得するために、状態空間モデルを Control System Toolbox™ の線形システム解析アプリへリンクできます。

The SimPowerSystems FFT analysis tool.
SimPowerSystems FFT 解析ツール。電圧波形の周波数スペクトルが表示されており、電力の質は全高調波ひずみを計算することによって測定されます。

モデルの配布

Simulink Coder™ で生成されたコードを使用して、SimPowerSystems モデルを配布することができます。生成されたコードでは、以下を行うことができます。

  • 他のハードウェアと直接連携するリアルタイム プロセッサ上へ SimPowerSystems プラント モデルを配布して、ハードウェアインザループ (HIL) シミュレーションを実行する
  • C プログラム、または他の MATLAB および Simulink モデルに統合できる SimPowerSystems モデルのスタンドアロン実行可能ファイルをビルドする
  • C コードをコンパイルしてシミュレーション速度を改善する
  • 知的財産を公開せずにモデルを共有する

モデルの共有

SimPowerSystems を購入していない Simscape ユーザーと SimPowerSystems モデルを共有することができます。Simscape ユーザーは、Simscape 編集モードを利用して、SimPowerSystems モデル内のパラメーター値の表示、 シミュレート、変更を行うことができます。その結果、Simscape を使用する多数のエンジニアと SimPowerSystems モデルを共有できるようになります。

SimPowerSystems モデルでの操作

タスク モデル開発者
(Simscape および SimPowerSystems を購入)
モデル ユーザー
(Simscape を購入)
シミュレーション
データのログまたは可視化の変更
数値パラメーターの変更
Simulink Coder によるコード生成
ブロックのパラメーター化オプションの変更  
物理的接続の作成および解除  

教育分野での SimPowerSystems の活用

SimPowerSystems を使用して、理論が電気回路網の挙動にどのように関わるのかを教えることができます。学生は大型で複雑なシステムを解析し、SimPowerSystems シミュレーションからのシミュレーション結果によって実際の電気回路網では何が発生するかをよりよく理解することができます。ヒステリシスなどの効果が SimPowerSystems モデルによって表される電気システムに与える影響を実演するため、これらの効果の方程式を Simscape 言語で実装することができます。

学生は、シミュレーションを使用して仮想環境でプロトタイプを作成することができ、その後、新しい設計を試したり、パラメーター空間全体を探索することができます。シミュレーションにより、学生は研究プロジェクトや学生競技会で設計を最適化することができます。

SimPowerSystems は、自動車、航空宇宙、ロボット工学を初めとする多様な業界で広く使用されているため、このマルチボディ シミュレーション ツールの使用経験のある学生の需要が高まっています。

学生によるモデル化とシミュレーションの体験について詳しく知る。

SimPowerSystems テクノロジー

SimPowerSystems には、第 2 世代および第 3 世代のテクノロジーが含まれています。電気モデルの作成およびシミュレーションを行うときに、第 2 世代または第 3 世代のテクノロジーのどちらを使用するかを選択できます。

第 3 世代のテクノロジーは Simscape テクノロジーを完全に使用しており、コンポーネント モデルは Simscape 言語で記述されています。これらのモデルを Simscape Foundation ライブラリからのコンポーネントおよび他の物理的モデリング製品からのコンポーネントに直接接続することができます。

第 2 世代のテクノロジーは、電力システムのモデル化に特化されて最適化されています。第 2 世代のブロック ライブラリには、独自の電気領域を使用する多数のモデルが含まれています。これらのブロックを Simulink 信号を通して他の Simscape 要素に接続することができます。

この 2 つのテクノロジーの違いについての詳細は、SimPowerSystems ドキュメンテーション およびリリースノートを参照してください。

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