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manova1

1 因子多変量分散分析

構文

d = manova1(X,group)
d = manova1(X,group,alpha)
[d,p] = manova1(...)
[d,p,stats] = manova1(...)

説明

d = manova1(X,group) は、group によってグループ化された X の列の多変量平均を比較するために、1 因子多変量分散分析 (MANOVA) を実行します。X はデータ値が含まれている mn 列の行列であり、各行は 1 つの観測値に対する n 個の変数の測定値のベクトルです。group は、カテゴリカル変数、ベクトル、文字配列、string 配列、または文字ベクトルの cell 配列として定義されたグループ化変数です。2 つの観測が group 配列に同じ値をもつ場合、同じグループ内に属します。各グループの観測は、母集団からの標本を表しています。

関数は、グループ平均を含んでいる空間の次元の推定値 d を返します。manova1 は、各グループの平均は同じ n 次元の多変量ベクトルで、標本 X で観測された差は偶然に起因するという帰無仮説を検定します。d = 0 である場合、この仮説を棄却する証拠はありません。d = 1 である場合、5% の水準で帰無仮説を棄却できますが、同じ線上に多変量平均があるという仮説は棄却できません。同様に、d = 2 である場合、多変量平均は、n 次元空間で同じ平面上にある可能性はありますが、同じ線上ではありません。

d = manova1(X,group,alpha) は、有意水準 alpha を制御します。戻り値 d は、p > alpha となる最小の次元になります。ここで p は、平均がその次元の空間に存在するかどうかを検定するための p 値です。

[d,p] = manova1(...) は、平均が 0、1 などの次元空間にあるかどうかを検定するための p 値のベクトルである p も返します。可能な最大次元は、空間の次元、またはグループの数より小さい次元のいずれかです。最大は含まずに、最大までの各次元に対して、p の 1 つの要素があります。

i 番目の p 値が 0 に近い場合、グループ平均が i-1 次元の空間にあるという仮説に疑問が生じます。結果が統計的に有意であると判断するかどうかを決めるための棄却限界値 p の選択は解析者に委ねられ、入力引数 alpha の値で指定されます。p 値が 0.05 または 0.01 未満の場合、一般的に有意な結果であると言えます。

[d,p,stats] = manova1(...) は、MANOVA の付加的な結果を含む構造体である stats も返します。構造体は、次のフィールドを含みます。

フィールドコンテンツ
W

グループ内二乗和およびクロス積行列

B

グループ間二乗和およびクロス積行列

T

二乗総和およびクロス積行列

dfW

W の自由度

dfB

B の自由度

dfT

T の自由度

lambda

平均が 0、1 などの次元をもつかどうかを検定するための、ウィルクスのラムダ検定統計量の値のベクトル

chisq

lambda の近似カイ二乗分布への変換

chisqdf

chisq の自由度

eigenval

W-1B の固有値

eigenvec

W-1B の固有ベクトル。これらは、正準変数 C に対する係数で、正準変数のグループ内の分散は 1 にスケーリングされています。

canon

正準変数 C は、XC*eigenvec と等しいもので、XC は、X の列の中心から平均を引いたものです。

mdist

各点から、そのグループの平均までのマハラノビス距離から生成されるベクトル

gmdist

グループ平均の各ペアの間のマハラノビス距離の行列

正準変数 C は、グループ間の分離を最大化するために選ばれた、オリジナル変数の線形結合です。特に、C(:,1) は、グループ間を最大に分離するような X の列の線形結合です。つまり、あらゆる可能な線形結合の中で、1 因子分散分析における最も有意な F 統計をもつ結合です。C(:,2)C(:,1) に直交している状態で分離が最大になります。他についても同様です。

解析を補うために他の関数と共に manova1 の結果を使用すると有効です。たとえば、gplotmatrix を使用して、元の変数のグループ化された散布図行列の表示から開始することもできます。最初の 2 つの正準変数を使用してグループの分離を可視化するために、gscatter を使用できます。グループ平均の中のクラスターを示し、系統樹を表示するために、manovacluster を使用できます。

仮定

MANOVA 検定では、X 内のデータについて次のように仮定します。

  • 各グループの母集団が正規分布であること。

  • 分散共分散行列が各母集団に対して同じであること。

  • すべての観測が互いに独立していること。

4 つの自動車特性の平均において、自動車の生産国により定義されるグループの中で、違いがあるかどうかを決定するために、manova1 を使用できます。

load carbig
[d,p] = manova1([MPG Acceleration Weight Displacement],...
                Origin)
d =
   3
p =
     0
  0.0000
  0.0075
  0.1934

入力行列には、4 つの次元があります。したがってグループの平均は、4 次元空間内になければなりません。manova1 は、平均が 3 次元部分空間内にあるという仮説を棄却できないことを示します。

代替機能

manova1 を使用する代わりに、関数 manova を使用して manova オブジェクトを作成してから、オブジェクト関数 barttest を使用してグループ平均を含んでいる空間の次元を計算できます。関数 manova を使用する利点は次のとおりです。

  • 2 因子および N 因子の MANOVA のサポート

  • 因子と応答のデータに対する table のサポート

  • 当てはめられる MANOVA モデルの係数、誤差の自由度、応答の共分散行列などについての manova オブジェクトのプロパティ

参考文献

[1] Krzanowski, W. J. Principles of Multivariate Analysis: A User's Perspective. New York: Oxford University Press, 1988.

バージョン履歴

R2006a より前に導入