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compare

クラス: LinearMixedModel

線形混合効果モデルの比較

構文

  • results = compare(lme,altlme)
  • results = compare(___,Name,Value)
  • [results,siminfo] = compare(lme,altlme,'NSim',nsim)
  • [results,siminfo] = compare(___,Name,Value)

説明

results = compare(lme,altlme) は、線形混合効果モデル lmealtlme を比較する尤度比検定の結果を返します。どちらのモデルも近似で同じ応答ベクトルを使用しなければならず、理論的尤度比検定を有効にするためには lmealtlme の入れ子にしなければなりません。常に、小さい方のモデルを最初に入力し、次に大きい方のモデルを入力します。

compare は次の帰無仮説と対立仮説を検定します。

H0: 観測された応答ベクトルは、lme によって生成されています。

H1: 観測された応答ベクトルは、モデル altlme によって生成されています。

モデルを比較する前に、ML (最尤) 法を使用して lmealtlme を近似することが推奨されます。REML (制限付き最尤) 法を使用する場合は、両方のモデルに含まれる固定効果の計画行列を同じにしなければなりません。

固定効果を検定するには、lmealtlme を ML で近似してシミュレーションされた尤度比検定compare を使用するか、fixedEffectsanova または coefTest メソッドを使用します。

results = compare(___,Name,Value) も、線形混合効果モデル lmealtlme を比較する尤度比検定の結果を返しますが、1 つ以上の Name,Value ペア引数で指定する追加オプションがあります。

たとえば、最初の入力モデルが 2 番目の入力モデルに入れ子になっているかどうかを調べることができます。

[results,siminfo] = compare(lme,altlme,'NSim',nsim) は、線形混合効果モデル lmealtlme を比較するシミュレーションされた尤度比検定の結果を返します。

lmealtlme は ML または REML を使用して近似できます。また、lmealtlme の入れ子にする必要はありません。REML (制限付き最尤) 法を使用してモデルを近似する場合は、両方のモデルが同じ固定効果計画行列をもっていなければなりません。

[results,siminfo] = compare(___,Name,Value) も、線形混合効果モデル lmealtlme を比較するシミュレーションされた尤度比検定の結果を返しますが、1 つ以上の Name,Value ペア引数で指定する追加オプションがあります。

たとえば、シミュレーションされた尤度比検定の実行に関するオプションを変更したり、p 値の信頼区間の信頼度を変更したりできます。

入力引数

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lme — 線形混合効果モデルLinearMixedModel オブジェクト

LinearMixedModel オブジェクトとして返される線形混合効果モデル。

このオブジェクトのプロパティとメソッドについては、LinearMixedModel を参照してください。

altlme — 代替線形混合効果モデルLinearMixedModel オブジェクト

代替線形混合効果モデルは同じ応答ベクトルに近似しますが、モデル仕様が異なっており、LinearMixedModel オブジェクトとして指定されます。lmealtlme で入れ子になっていなければなりません。すなわち、lme は一部のパラメーターを 0 などの固定値に設定して、altlme から取得する必要があります。線形混合効果オブジェクトは、fitlme または fitlmematrix を使用して作成できます。

nsim — シミュレーションの反復数正の整数

シミュレーションされた尤度比検定でのシミュレーションの反復数。正の整数値として指定します。シミュレーションされた尤度比検定を実行するには nsim を指定しなければなりません。

例: 'NSim',1000

データ型: double | single

名前/値のペアの引数

オプションの Name,Value の引数ペアをコンマ区切りで指定します。ここで、Name は引数名で、Value は対応する値です。Name は単一引用符 (' ') で囲まなければなりません。Name1,Value1,...,NameN,ValueN のように、複数の名前と値のペアの引数を任意の順番で指定できます。

'Alpha' — 信頼度0.05 (既定値) | 0 ~ 1 の範囲のスカラー値

信頼度。'Alpha' と、0 ~ 1 の範囲内のスカラー値で構成されるコンマ区切りのペアとして指定します。値が α の場合、信頼度は 100*(1–α)% です。

たとえば、99% の信頼区間の場合は、次のように信頼度を指定できます。

例: 'Alpha',0.01

データ型: single | double

'Options' — シミュレーションされた尤度比検定を実行するためのオプション構造体

シミュレーションされた尤度比検定を実行するためのオプション。'Options' と、statset('LinearMixedModel') によって作成される構造体で構成される、コンマ区切りのペアとして指定します。

compare は次のフィールドを使用します。

'UseParallel'
  • 逐次計算の場合は False。既定の設定。

  • 並列計算の場合は True

'UseSubstreams'
  • 各反復に対して乱数発生器の個別のサブストリームを使用しない場合は False。既定の設定。

  • 各反復に対して乱数発生器の個別のサブストリームを使用する場合は True。このオプションは、サブストリームをサポートする乱数ストリーム タイプでのみ使用できます。

'Streams'
  • 'UseSubstreams'True の場合、'Streams' は単一の乱数ストリームであるか、単一のストリームを含むスカラー セル配列でなければなりません。

  • 'UseSubstreams'False の場合は、次のようになります。

    • 'UseParallel'False の場合は、'Streams' は単一の乱数ストリームであるか、単一のストリームを含むスカラー セル配列でなければなりません。

    • 'UseParallel'True の場合、'Streams' は使用されるプロセッサ数と等しくなければなりません。並列プールが開いている場合、'Streams' は並列プールのサイズと同じ長さです。'UseParallel'True の場合、並列プールは自動的に開いている可能性があります。ただし、'Streams' を使用されるプロセッサの数と等しくしなければならないので、parpool コマンドを使用してプールを明示的に開き、次に 'UseParallel','True' オプションを指定して compare を呼び出すのが最善の方法です。

コマンド ラインで並列統計計算の詳細を表示するには、次のように入力します。

help parallelstats

データ型: struct

'CheckNesting' — 2 つのモデルの間の入れ子を調べるためのインジケーターfalse (既定値) | true

2 つのモデルの間の入れ子を確認するためのインジケーター。'CheckNesting' と以下のいずれかで構成されるコンマ区切りのペアとして指定します。

false既定の設定。確認しません。
truecompare は、小さい方のモデル lme が大きい方のモデル altlme に入れ子になっているかどうかを確認します。

理論的尤度比検定を有効にするためには、lme を代替モデル altlme で入れ子にしなければなりません。入れ子要件が満たされていない場合、compare はエラー メッセージを返します。

どちらの検定に対しても有効ですが、シミュレーションされた尤度比検定の方が入れ子の要件は弱くなります。

例: 'CheckNesting',true

データ型: single | double

出力引数

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results — 尤度比検定またはシミュレーションされた尤度比検定の結果データセット配列

尤度比検定またはシミュレーションされた尤度比検定の結果。2 行のデータセット配列として返します。1 行目は lme に対応し、2 行目は altlme に対応しています。results の列は、検定が尤度比検定かシミュレーションされた尤度比検定かに依存します。

  • 尤度比検定を使用している場合は、results に以下の列が含まれます。

    Modelモデルの名前
    DF自由度、つまりモデル内の自由パラメーターの数
    AICモデルの赤池情報量基準
    BICモデルのベイズ情報量基準
    LogLikモデルの最大化された対数尤度
    LRStataltlmelme を比較するための尤度比検定統計
    deltaDFaltlmeDF から lmeDF を引いた値
    pValue尤度比検定の p 値

  • シミュレーションされた尤度比検定を使用している場合は、results に以下の列が含まれます。

    Modelモデルの名前
    DF自由度、つまりモデル内の自由パラメーターの数
    LogLikモデルの最大化された対数尤度
    LRStataltlmelme を比較するための尤度比検定統計
    pValue尤度比検定の p 値
    LowerpValue の信頼区間の下限
    UpperpValue の信頼区間の上限

siminfo — シミュレーション出力構造体

シミュレーション出力。以下のフィールドを含む構造体として返します。

nsimnsim の値セット。
alpha'Alpha' の値セット。
pValueSimシミュレーション ベースの p 値。
pValueSimCIpValueSim の信頼区間。ベクトルの最初の要素は下限であり、ベクトルの 2 番目の要素は上限です。
deltaDFaltlme の自由パラメーターの数から lme の自由パラメーターの数を引いた値。altlmeDF から lmeDF を引いた値。
THOモデル lme によって観測済みの応答ベクトル y が生成されたという帰無仮説の下でシミュレーションされた尤度比検定統計のベクトル。

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変量効果の検定

標本データを読み込みます。

load flu

データセット配列 flu には、変数 Date と、インフルエンザ推定罹患率を含む 10 個の変数が含まれます (Google® 検索から推定される 9 地域の値と、CDC による全国の推定値)。

線形混合効果モデルを近似するには、データが適切な形式のデータセット配列になっていなければなりません。インフルエンザ罹患率を応答とし、地域を予測子変数として線形混合効果モデルを近似するには、地域に対応する 9 個の列を 1 つの高さ配列にまとめます。新しいデータセット配列 flu2 には、応答変数 FluRate、各推定の元になっている地域を示すノミナル変数 Region およびグループ化変数 Date が含まれなければなりません。

flu2 = stack(flu,2:10,'NewDataVarName','FluRate',...
    'IndVarName','Region');
flu2.Date = nominal(flu2.Date);

地域ごとに切片と勾配を変化させ、Date でグループ化して、線形混合効果モデルを近似します。

altlme = fitlme(flu2,'FluRate ~ 1 + Region + (1 + Region|Date)');

地域に対する固定効果と、Date で変化するランダム切片で、線形混合効果モデルを近似します。

lme = fitlme(flu2,'FluRate ~ 1 + Region + (1|Date)');

2 つのモデルを比較します。また、lme2lme の入れ子になっているかどうかを調べます。

compare(lme,altlme,'CheckNesting',true)
ans = 


    Theoretical Likelihood Ratio Test

    Model     DF    AIC        BIC        LogLik     LRStat    deltaDF    pValue
    lme       11     318.71     364.35    -148.36                               
    altlme    55    -305.51    -77.346     207.76    712.22    44         0   

p 値は小さく、0 となっています。これは、モデル altlme が単純なモデル lme と比べて非常にすぐれていることを示しています。

固定効果と変量効果の検定

標本データが含まれたフォルダーに移動します。

cd(matlabroot)
cd('help/toolbox/stats/examples')

標本データを読み込みます。

load fertilizer

このデータセット配列には土壌の種類に基づいて土壌が 3 つのブロックに分けられている分割プロット試験のデータが含まれています。土壌の種類は砂質、シルトおよび粘土質です。各ブロックは 5 つのプロットに分割され、5 種類のトマトの苗木 (チェリー、エアルーム、グレープ、枝付き、プラム) がランダムにこれらのプロットに割り当てられます。その後、プロット内のトマトの苗木はサブプロットに分割され、それぞれのサブプロットが 4 つの肥料の中の 1 つにより処置されます。このデータは、シミュレーションされたものです。

実用目的でこのデータを ds という名前のデータセット配列に保存し、TomatoSoil および Fertilizer をカテゴリカル変数として定義します。

ds = fertilizer;
ds.Tomato = nominal(ds.Tomato);
ds.Soil = nominal(ds.Soil);
ds.Fertilizer = nominal(ds.Fertilizer);

線形混合効果モデルを近似します。Fertilizer および Tomato は固定効果変数であり、平均収穫量はブロック (土壌の種類) とブロック内のプロット (土壌の種類の中のトマトの種類) によって独立して変化します。

lmeBig = fitlme(ds,'Yield ~ Fertilizer * Tomato + (1|Soil) + (1|Soil:Tomato)');

交互作用項 Tomato:Fertilizer および変量効果の項 (1 | Soil) を削除した後、モデルを再近似します。

lmeSmall = fitlme(ds,'Yield ~ Fertilizer + Tomato + (1|Soil:Tomato)');

シミュレーションされた尤度比検定を 1000 反復で使用して 2 つのモデルを比較します。この検定を使用して、固定効果の項と変量効果の項の両方を検定しなければなりません。両方のモデルを既定の近似法 ML を使用して近似することに注意してください。したがって、固定効果計画行列に対して制限はありません。REML (制限付き最尤) 法を使用する場合は、両方のモデルが同じ固定効果計画行列をもっていなければなりません。

[table,siminfo] = compare(lmeSmall,lmeBig,'nsim',1000)
table = 


    Simulated Likelihood Ratio Test: Nsim = 1000, Alpha = 0.05

    Model    DF    AIC       BIC       LogLik     LRStat    pValue     Lower      Upper 
    lme2     10    511.06       532    -245.53                                          
    lme      23    522.57    570.74    -238.29    14.491    0.54845    0.51702    0.5796


siminfo = 

           nsim: 1000
          alpha: 0.0500
      pvalueSim: 0.5485
    pvalueSimCI: [0.5170 0.5796]
        deltaDF: 13
            TH0: [1000x1 double]

p 値 0.5485 が高いので、大きいモデル lme は小さいモデル lme2 より有意に優れた点がないことを示しています。lme2 に対する AIC と BIC の値が小さいこともこれを裏付けています。

相関および無相関の変量効果のモデル

標本データを読み込みます。

load carbig

ガロンあたりの走行マイル数 (MPG) の線形混合効果モデルを近似します。この近似では、加速度、馬力、気筒数に対する固定効果と、モデル年度によってグループ化される切片と加速度に対する、相関された可能性がある変量効果を使用します。

最初に、計画行列を準備します。

X = [ones(406,1) Acceleration Horsepower];
Z = [ones(406,1) Acceleration];
Model_Year = nominal(Model_Year);
G = Model_Year;

次に、定義した計画行列とグループ化変数で fitlmematrix を使用してモデルを近似します。

lme = fitlmematrix(X,MPG,Z,G,'FixedEffectPredictors',....
{'Intercept','Acceleration','Horsepower'},'RandomEffectPredictors',...
{{'Intercept','Acceleration'}},'RandomEffectGroups',{'Model_Year'});

切片と加速度について無相関の変量効果でモデルを再近似します。最初に、変量効果計画と変量効果グループ化変数を準備します。

Z = {ones(406,1),Acceleration};
G = {Model_Year,Model_Year};

lme2 = fitlmematrix(X,MPG,Z,G,'FixedEffectPredictors',....
{'Intercept','Acceleration','Horsepower'},'RandomEffectPredictors',...
{{'Intercept'},{'Acceleration'}},'RandomEffectGroups',...
{'Model_Year','Model_Year'});

シミュレーションされた尤度比検定を使用して lmelme2 を比較します。

compare(lme2,lme,'CheckNesting',true,'NSim',1000)
ans = 


    Simulated Likelihood Ratio Test: Nsim = 1000, Alpha = 0.05

    Model    DF    AIC       BIC       LogLik     LRStat    pValue      Lower       Upper  
    lme2     6     2194.5    2218.3    -1091.3                                             
    lme      7     2193.5    2221.3    -1089.7    3.0323    0.095904    0.078373    0.11585

高い p 値 0.095904 は、lme2lme より有意な近似ではないことを示しています。

並列計算を使用するシミュレーションされた尤度比検定

標本データが含まれたフォルダーに移動します。

cd(matlabroot)
cd('help/toolbox/stats/examples')

標本データを読み込みます。

load fertilizer

このデータセット配列には土壌の種類に基づいて土壌が 3 つのブロックに分けられている分割プロット試験のデータが含まれています。土壌の種類は砂質、シルトおよび粘土質です。各ブロックは 5 つのプロットに分割され、5 種類のトマトの苗木 (チェリー、エアルーム、グレープ、枝付き、プラム) がランダムにこれらのプロットに割り当てられます。その後、プロット内のトマトの苗木はサブプロットに分割され、それぞれのサブプロットが 4 つの肥料の中の 1 つにより処置されます。このデータは、シミュレーションされたものです。

実用目的でこのデータを ds という名前のデータセット配列に保存し、TomatoSoil および Fertilizer をカテゴリカル変数として定義します。

ds = fertilizer;
ds.Tomato = nominal(ds.Tomato);
ds.Soil = nominal(ds.Soil);
ds.Fertilizer = nominal(ds.Fertilizer);

線形混合効果モデルを近似します。Fertilizer および Tomato は固定効果変数であり、平均収穫量はブロック (土壌の種類) とブロック内のプロット (土壌の種類の中のトマトの種類) によって独立して変化します。

lme = fitlme(ds,'Yield ~ Fertilizer * Tomato + (1|Soil) + (1|Soil:Tomato)');

交互作用項 Tomato:Fertilizer および変量効果の項 (1|Soil) を削除した後、モデルを再近似します。

lme2 = fitlme(ds,'Yield ~ Fertilizer + Tomato + (1|Soil:Tomato)');

LinearMixedModel の options 構造体を作成します。

opt = statset('LinearMixedModel')
opt = 

          Display: 'off'
      MaxFunEvals: []
          MaxIter: 10000
           TolBnd: []
           TolFun: 1.0000e-06
       TolTypeFun: []
             TolX: 1.0000e-12
         TolTypeX: []
          GradObj: []
         Jacobian: []
        DerivStep: []
      FunValCheck: []
           Robust: []
     RobustWgtFun: []
           WgtFun: []
             Tune: []
      UseParallel: []
    UseSubstreams: []
          Streams: {}
        OutputFcn: []

並列検定用に options を変更します。

opt.UseParallel = true;

並列環境を開始します。

mypool = parpool();
Starting parpool using the 'local' profile ... connected to 2 workers.

mypool = 

  Pool with properties:

    AttachedFiles: {0x1 cell}
       NumWorkers: 2
          Cluster: [1x1 parallel.cluster.Local]
      SpmdEnabled: 1

反復数 1000 の並列計算でシミュレーションされた尤度比検定を使用し、lme2lme を比較します。

compare(lme2,lme,'nsim',1000,'Options',opt)
ans = 


    Simulated Likelihood Ratio Test: Nsim = 1000, Alpha = 0.05

    Model    DF    AIC       BIC       LogLik     LRStat    pValue     Lower      Upper 
    lme2     10    511.06       532    -245.53                                          
    lme      23    522.57    570.74    -238.29    14.491    0.54845    0.51702    0.5796

高い p 値 0.5485 は、大きいモデル lme の方が小さいモデル lme2 より特に優れているわけではないことを示しています。lme2 に対する AICBIC の値が小さいこともこれを裏付けています。

定義

尤度比検定

帰無仮説 H0 の場合、観測される尤度比検定統計は、自由度が deltaDF の近似カイ二乗参照分布になります。2 つのモデルを比較するとき、compare は、観測される尤度比検定統計とこのカイ二乗参照分布を比較して、尤度比検定の p 値を計算します。

尤度比検定を使用して取得される p 値は、変量効果の項の有無について検定する場合は保守的になり、固定効果の項の有無について検定する場合は保守的でなくなる可能性もあります。したがって、固定効果の検定のときは、fixedEffectsanova または coefTest メソッドか、シミュレーションされた尤度比検定を使用します。

シミュレーションされた尤度比検定

シミュレーションされた尤度比検定を実行するため、compare は最初に帰無仮説での尤度比検定統計の参照分布を生成します。次に、この参照分布を観測された尤度比検定統計と比較することで、代替モデルの統計的な有意性を評価します。

compare は、次のようにして、帰無仮説での尤度比検定統計のシミュレーションされた参照分布を生成します。

  • 近似されたモデル lme から乱数データ ysim を生成します。

  • lme および代替モデル altlme で指定されているモデルをシミュレーションされたデータ ysim に近似します。

  • 手順 2 の結果を使用して尤度比検定統計を計算し、値を格納します。

  • 手順 1 から 3 を nsim 回繰り返します。

次に、compare は、観測された尤度比検定統計とシミュレーションされた参照分布を比較して、シミュレーションされた尤度比検定の p 値を計算します。p 値の推定は、シミュレーションされた尤度比検定統計が観測された値プラス 1 以上である回数と、反復回数プラス 1 の比です。

観測された尤度比検定統計が T で、シミュレーションされた参照分布がベクトル TH0 に格納されているとします。このとき次のようになります。

pvalue=[j=1nsimI(TH0(j)T)]+1nsim+1.

シミュレーションされた参照分布の不確実性を考慮するため、compare は true の p 値の 100*(1 – α)% 信頼区間を計算します。

シミュレーションされた尤度比検定を使用して、任意の線形混合効果モデルを比較できます。つまり、シミュレーションされた尤度比検定を使用する場合は、lmealtlme 内に入れ子にする必要はなく、ML (最尤) 法または REML (制限付き最尤) 法を使用して lme および altlme を近似できます。REML (制限付き最尤) 法を使用してモデルを近似する場合は、両方のモデルが同じ固定効果計画行列をもっていなければなりません。

入れ子要件

'CheckNesting','True' 名前と値のペアの引数は、以下の要件を確認します。

シミュレーションされた尤度比検定の場合:

  • 同じ方法を使用して両方のモデル (lmealtlme) を近似しなければなりません。compare では、ML を使用するモデル近似と REML を使用するモデル近似を比較することはできません。

  • 両方のモデルを同じ応答ベクトルに近似しなければなりません。

  • REML を使用して lmealtlme を近似する場合は、両方のモデルが同じ固定効果計画行列をもっていなければなりません。

  • 大きい方のモデル (altlme) の最大化された対数尤度または制限付き対数尤度は、小さい方のモデル (lme) の最大化された対数尤度または制限付き対数尤度より大きいか等しくなければなりません。

理論的検定の場合、'CheckNesting','True' はシミュレーションされた尤度比検定の要件と以下の要件をすべて確認します。

  • lme および altlme の近似に使用する重みベクトルは、同一でなければなりません。

  • ML を使用して lmealtlme を近似する場合、大きいモデル (altlme) の固定効果の計画行列には、小さいモデル (lme) の固定効果の計画行列が含まれていなければなりません。

  • 大きいモデル (altlme) の変量効果の計画行列には、小さいモデル (lme) の変量効果の計画行列が含まれていなければなりません。

赤池情報量基準およびベイズ情報量基準

AIC (赤池情報量基準) は、AIC = –2*logLM + 2*(nc + p + 1) です。logLM はモデルの最大化された対数尤度 (または最大化された制限付き対数尤度) であり、nc + p + 1 はモデルで推定されるパラメーターの数です。p は固定効果係数の数であり、nc は残差分散を除く変量効果の共分散のパラメーターの総数です。

ベイズ情報量基準 (BIC) は、BIC = –2*logLM + ln(neff)*(nc + p + 1) です。logLM はモデルの最大化された対数尤度 (つまり最大化された制限付き対数尤度)、neff は有効な観測値数、(nc + p + 1) はモデルで推定されているパラメーターの数です。

  • 近似法が最尤 (ML) 法の場合は neff = n で、n は観測の数です。

  • 近似法が制限付き最尤 (REML) 法の場合は neff = n-p です。

逸脱度の値が小さいほど、近似が優れていることを意味します。逸脱度の値が小さくなると、AIC および BIC も小さくなる傾向があります。AIC と BIC のどちらにも、推定されるパラメーターの数 p に基づくペナルティ項が含まれます。したがって、パラメーターの数が増えると、AIC および BIC の値も大きくなる傾向があります。異なるモデルを比較するときは、AIC または BIC の値が最も小さいモデルが最良近似のモデルと考えられます。

逸脱度

LinearMixedModel は、モデル M の逸脱度を、そのモデルの尤度のマイナス 2 倍として計算します。LM がモデル M の尤度関数の最大値を示しているものとします。この場合、モデル M の逸脱度は次のようになります。

2*logLM.

逸脱度の値が小さいほど、近似が優れていることを意味します。M1 と M2 は 2 つの異なるモデルであり、M1 は M2 に入れ子になっているものとします。この場合、モデルの近似はこれらのモデルの逸脱度 Dev1 と Dev2 を比較することによって評価できます。逸脱度の差異は以下のとおりです。

Dev=Dev1Dev2=2(logLM2logLM1).

通常、この差異の漸近分布はカイ二乗分布であり、その自由度 v は、1 つのモデルで推定され、他のモデルでは固定されている (通常は 0) パラメーターの数に等しくなります。つまり、M1 と M2 で推定されるパラメーターの数の差異と等しくなります。この検定の p 値は、1 – chi2cdf(Dev,V) を使用して取得できます。ここで、Dev = Dev2 – Dev1 です。

ただし、混合効果モデルでは、一部の分散成分がパラメーター空間の境界上になると、この差異の漸近分布はさらに複雑になります。たとえば、次の仮説について考えます。

H0: D=(D11000),。D は q 行 q 列の対称な半正定行列です。

H1: D は、(q+1) 行 (q+1) 列の対称な半正定行列です。

つまり、H1 は、D の最後の行と列がゼロとは異なることを記述します。ここで、大きい方のモデル M2 には q + 1 個のパラメーターがあり、小さい方のモデル M1 には q 個のパラメーターがあります。また、Dev では、χ2q 分布と χ2(q + 1) 分布が 50:50 で混合されています (Stram and Lee、1994)。

参照

[1] Hox, J. Multilevel Analysis, Techniques and Applications. Lawrence Erlbaum Associates, Inc., 2002.

[2] Stram D. O. and J. W. Lee. “Variance components testing in the longitudinal mixed-effects model”. Biometrics, Vol. 50, 4, 1994, pp. 1171–1177.

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