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compare

クラス: GeneralizedLinearMixedModel

一般化線形混合効果モデルの比較

説明

results = compare(glme,altglme) は、一般化線形混合効果モデル glmealtglme を比較する尤度比検定の結果を返します。有効な尤度比検定を実行するためには、どちらのモデルも近似で同じ応答ベクトルを使用しなければならず、glmealtglme の入れ子にしなければなりません。常に、小さい方のモデルを最初に入力し、次に大きい方のモデルを入力します。

compare は次の帰無仮説と対立仮説を検定します。

  • H0:観測した応答ベクトルは glme によって生成された。

  • H1:観測した応答ベクトルは altglme モデルによって生成された。

results = compare(glme,altglme,Name,Value) は、1 つ以上の Name,Value のペアの引数で指定する追加オプションを使用して、尤度比検定の結果を返します。たとえば、1 番目の入力モデル glme が 2 番目の入力モデル altglme に入れ子になっているかどうかを調べることができます。

入力引数

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一般化線形混合効果モデル。GeneralizedLinearMixedModel オブジェクトとして指定します。このオブジェクトのプロパティとメソッドについては、GeneralizedLinearMixedModel を参照してください。

fitglme を使用して、一般化線形混合効果モデルを標本データに当てはめて GeneralizedLinearMixedModel オブジェクトを作成することができます。正規分布以外の応答分布をもつ 2 つのモデルに有効な尤度比検定を実行するには、両方のモデルを 'ApproximateLaplace' または 'Laplace' 近似メソッドを使用して当てはめなくてはなりません。'MPL' または 'REMPL' を使用して近似される、正規分布以外の応答分布となるモデルは、尤度比検定を使用して比較できません。

代替一般化線形混合効果モデル。GeneralizedLinearMixedModel オブジェクトとして指定します。altglmeglme と同じ応答ベクトルに当てはめますが、モデル仕様は異なっています。altglme の一部のモデル パラメーターを 0 などの固定値に設定して、glmealtglme から取得できるように glmealtglme において入れ子にしなければなりません。

fitglme を使用して、一般化線形混合効果モデルを標本データに当てはめて GeneralizedLinearMixedModel オブジェクトを作成することができます。正規分布以外の応答分布をもつ 2 つのモデルに有効な尤度比検定を実行するには、両方のモデルを 'ApproximateLaplace' または 'Laplace' 近似メソッドを使用して当てはめなくてはなりません。'MPL' または 'REMPL' を使用して近似される、正規分布以外の応答分布となるモデルは、尤度比検定を使用して比較できません。

名前と値の引数

オプションの引数のペアを Name1=Value1,...,NameN=ValueN として指定します。ここで Name は引数名、Value は対応する値です。名前と値の引数は他の引数の後ろにする必要がありますが、ペアの順序は関係ありません。

R2021a より前では、名前と値をそれぞれコンマを使って区切り、Name を引用符で囲みます。

2 つのモデルの間の入れ子を確認するためのインジケーター。'CheckNesting'true または false のいずれかで構成されるコンマ区切りのペアとして指定します。'CheckNesting'true の場合、compare は小さい方のモデル glme が大きい方のモデル altglme に入れ子になっているかどうかを確認します。入れ子要件が満たされない場合、compare はエラーを返します。'CheckNesting'false の場合、compare はこのチェックを実行しません。

例: 'CheckNesting',true

出力引数

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尤度比検定結果。2 行のテーブルとして返されます。1 行目は glme に対応し、2 行目は altglme に対応しています。results の列は以下を含みます。

列名説明
Modelモデルの名前
DF自由度
AICモデルの赤池情報量基準
BICモデルのベイズ情報量基準
LogLikモデルの最大化された対数尤度
LRStataltglmeglme を比較するための尤度比検定統計
deltaDFaltglmeDF から glmeDF を引いた値
pValue尤度比検定の p 値

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標本データを読み込みます。

load mfr

このシミュレーションされたデータは、世界中で 50 の工場を操業している製造企業から取得しており、各工場が完成品の生産のためにバッチ処理を実行しています。同社は各バッチの欠陥数を減少させるために新たな製造プロセスを開発しました。新しいプロセスの効果をテストするため、同社は実験に参加させる 20 工場を無作為に選びました。10 工場では新プロセスを実施しますが、残りの 10 工場では旧プロセスの実行を続けます。各 20 工場で、同社は 5 つのバッチ (合計 100 バッチ) を実行し以下のデータを記録しました。

  • 新しいプロセスがバッチに使用されたかどうかを示すフラグ (newprocess)

  • 各バッチの処理時間。時間単位 (time)

  • バッチの温度。摂氏 (temp)

  • バッチに使用する化学薬品の供給業者を示すカテゴリカル変数 (supplier)

  • バッチ内の欠陥数 (defects)

またデータに含まれる time_devtemp_dev は、摂氏 20 度で 3 時間の標準プロセスから得られる時間と温度の絶対偏差をそれぞれ表します。

固定効果予測子として newprocesstime_devtemp_dev および supplier を使用して固定効果専用モデルを当てはめます。応答分布にポアソンを、リンク関数に対数を、近似メソッドにラプラスを指定します。ダミー変数エンコードを 'effects' として指定すると、ダミー変数の係数の合計が 0 になります。

FEglme = fitglme(mfr,'defects ~ 1 + newprocess + time_dev + temp_dev + supplier','Distribution','Poisson','Link','log','FitMethod','Laplace','DummyVarCoding','effects');

同じ固定効果予測子、応答分布、リンク関数および近似メソッドを使用する 2 番目のモデルによる近似を実行します。今回は factory 別にグループ化された変量効果の切片を含めます。これは工場特有の変動に起因して品質に差がある可能性を考慮するためです。

欠陥数はポアソン分布を使用してモデル化できます

defectsijPoisson(μij)

これは一般化線形混合効果モデルに対応します

log(μij)=β0+β1newprocessij+β2time_devij+β3temp_devij+β4supplier_Cij+β5supplier_Bij+bi,

ここで

  • defectsij は、バッチ j 処理中の工場 i で実行されたバッチで観測された欠陥数です。

  • μij は、バッチ j (j=1,2,...,5) 処理中の工場 i (i=1,2,...,20) に対応する欠陥の平均数です。

  • newprocessijtime_devij および temp_devij は、バッチ j 処理中の工場 i に対応する各変数の測定値です。たとえば newprocessij は、工場 i で実行されたバッチ j 処理中に新プロセスが使用されたかどうかを示します。

  • supplier_Cij および supplier_Bij はエフェクト (ゼロサム) コーディングを使用するダミー変数であり、バッチ j 処理中に工場 i で実行されたバッチに対して、それぞれ会社 C または B が加工化学薬品を供給したかどうかを示します。

  • biN(0,σb2) は、工場特有の品質変動に相当する、各工場 i の変量効果の切片です。

glme = fitglme(mfr,'defects ~ 1 + newprocess + time_dev + temp_dev + supplier + (1|factory)','Distribution','Poisson','Link','log','FitMethod','Laplace','DummyVarCoding','effects');

理論的尤度比検定法を使用して 2 つのモデルを比較します。'CheckNesting'true として指定すると、compare は入れ子要件が満たされていない場合に警告を返します。

results = compare(FEglme,glme,'CheckNesting',true)
results = 
    THEORETICAL LIKELIHOOD RATIO TEST

    Model     DF    AIC       BIC       LogLik     LRStat    deltaDF    pValue    
    FEglme    6     431.02    446.65    -209.51                                   
    glme      7     416.35    434.58    -201.17    16.672    1          4.4435e-05

compare はエラーを返さなかったため、入れ子要件は満たされています。小さい p 値は、観測された応答ベクトルがモデル FEglme により生成されたという帰無仮説が compare により棄却され、代わりに代替モデル glme が採択されることを示します。glme に対する AICBIC の値の方が小さいことも、glme の方が応答により近似するモデルを提供するという結論を裏付けています。

詳細

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