resubEdge
マルチクラス誤り訂正出力符号 (ECOC) モデルの再代入分類エッジ
説明
例
ECOC モデルの再代入エッジ
SVM バイナリ学習器による ECOC モデルの再代入エッジを計算します。
フィッシャーのアヤメのデータ セットを読み込みます。予測子データ X
と応答データ Y
を指定します。
load fisheriris
X = meas;
Y = species;
SVM バイナリ分類器を使用して ECOC モデルを学習させます。SVM テンプレートを使用して予測子を標準化し、クラスの順序を指定します。
t = templateSVM('Standardize',true);
classOrder = unique(Y)
classOrder = 3x1 cell
{'setosa' }
{'versicolor'}
{'virginica' }
Mdl = fitcecoc(X,Y,'Learners',t,'ClassNames',classOrder);
t
は SVM テンプレート オブジェクトです。学習時は、t
の空のプロパティに対して既定値が使用されます。Mdl
は ClassificationECOC
モデルです。
再代入エッジ (学習標本マージンの平均) を計算します。
e = resubEdge(Mdl)
e = 0.7441
学習標本エッジの比較による ECOC モデルの特徴量の選択
複数のモデルによる学習標本エッジを比較することにより、特徴選択を実行します。この比較のみに基づくと、エッジが最高である分類器が最善の分類器となります。
フィッシャーのアヤメのデータ セットを読み込みます。次の 2 つのデータ セットを定義します。
fullX
には 4 つすべての予測子が含まれます。partX
にはがく片の測定値のみが含まれます。
load fisheriris
X = meas;
fullX = X;
partX = X(:,1:2);
Y = species;
各予測子セットについて SVM バイナリ学習器を使用する ECOC モデルに学習をさせます。SVM テンプレートを使用して予測子を標準化し、クラスの順序を指定して、事後確率を計算します。
t = templateSVM('Standardize',true);
classOrder = unique(Y)
classOrder = 3x1 cell
{'setosa' }
{'versicolor'}
{'virginica' }
FullMdl = fitcecoc(fullX,Y,'Learners',t,'ClassNames',classOrder,... 'FitPosterior',true); PartMdl = fitcecoc(partX,Y,'Learners',t,'ClassNames',classOrder,... 'FitPosterior',true);
既定の SVM スコアは決定境界からの距離です。事後確率の計算を指定をする場合、事後確率はスコアとして使用されます。
各分類器の再代入エッジを計算します。2 次損失関数は、領域 [0,1] のスコアで動作します。両モデルのバイナリ学習器を集計する場合、2 次損失の使用を指定をします。
fullEdge = resubEdge(FullMdl,'BinaryLoss','quadratic')
fullEdge = 0.9896
partEdge = resubEdge(PartMdl,'BinaryLoss','quadratic')
partEdge = 0.5059
データ セット全体に対して学習をさせた分類器の方がエッジが大きいので、すべての予測子を使用して学習をさせた分類器の方が学習標本近似が優れていることがわかります。
入力引数
Mdl
— 学習済みの完全なマルチクラス ECOC モデル
ClassificationECOC
モデル
学習済みの完全なマルチクラス ECOC モデル。fitcecoc
によって学習をさせた ClassificationECOC
モデルを指定します。
名前と値の引数
オプションの引数のペアを Name1=Value1,...,NameN=ValueN
として指定します。ここで Name
は引数名、Value
は対応する値です。名前と値の引数は他の引数の後ろにする必要がありますが、ペアの順序は関係ありません。
R2021a より前では、名前と値をそれぞれコンマを使って区切り、Name
を引用符で囲みます。
例: resubEdge(Mdl,'BinaryLoss','quadratic')
は、バイナリ学習器の損失関数として 2 次関数を指定します。
BinaryLoss
— バイナリ学習器損失関数
'hamming'
| 'linear'
| 'logit'
| 'exponential'
| 'binodeviance'
| 'hinge'
| 'quadratic'
| 関数ハンドル
バイナリ学習器の損失関数。'BinaryLoss'
と組み込みの損失関数名または関数ハンドルから構成されるコンマ区切りのペアとして指定します。
次の表で、組み込み関数について説明します。ここで、yj は特定のバイナリ学習器のクラス ラベル (集合 {–1,1,0} 内)、sj は観測値 j のスコア、g(yj,sj) はバイナリ損失の式です。
値 説明 スコア領域 g(yj,sj) "binodeviance"
二項分布からの逸脱度 (–∞,∞) log[1 + exp(–2yjsj)]/[2log(2)] "exponential"
指数 (–∞,∞) exp(–yjsj)/2 "hamming"
ハミング [0,1] または (–∞,∞) [1 – sign(yjsj)]/2 "hinge"
ヒンジ (–∞,∞) max(0,1 – yjsj)/2 "linear"
線形 (–∞,∞) (1 – yjsj)/2 "logit"
ロジスティック (–∞,∞) log[1 + exp(–yjsj)]/[2log(2)] "quadratic"
2 次 [0,1] [1 – yj(2sj – 1)]2/2 バイナリ損失は、yj = 0 の場合に損失が 0.5 になるように正規化されます。また、各クラスについて平均のバイナリ損失が計算されます[1]。
カスタム バイナリ損失関数の場合は関数ハンドルを指定します。たとえば、
customFunction
の場合は'BinaryLoss',@customFunction
を指定します。customFunction
の形式は次のとおりです。bLoss = customFunction(M,s)
M
はMdl.CodingMatrix
に格納された K 行 B 列の符号化行列です。s
は 1 行 B 列の分類スコアの行ベクトルです。bLoss
は分類損失です。このスカラーは、特定のクラスのすべての学習器についてバイナリ損失を集計します。たとえば、平均バイナリ損失を使用して、各クラスの学習器の損失を集計できます。K は、クラスの数です。
B はバイナリ学習器の数です。
カスタムなバイナリ損失関数を渡す例については、カスタム バイナリ損失関数の使用による ECOC モデルのテスト標本ラベルの予測を参照してください。
次の表に BinaryLoss
の既定値を示します。既定値は、バイナリ学習器が返すスコアの範囲によって異なります。
仮定 | 既定値 |
---|---|
すべてのバイナリ学習器が次のいずれかである。
| 'quadratic' |
すべてのバイナリ学習器が SVM であるか、SVM 学習器の線形またはカーネル分類モデルである。 | 'hinge' |
すべてのバイナリ学習器が、AdaboostM1 または GentleBoost によって学習をさせたアンサンブルである。 | 'exponential' |
すべてのバイナリ学習器が、LogitBoost によって学習をさせたアンサンブルである。 | 'binodeviance' |
fitcecoc で 'FitPosterior',true を設定して、クラスの事後確率を予測するように指定している。 | 'quadratic' |
バイナリ学習器が異種混合で、さまざまな損失関数を使用している。 | 'hamming' |
既定値を確認するには、コマンド ラインでドット表記を使用して学習済みモデルの BinaryLoss
プロパティを表示します。
例: 'BinaryLoss','binodeviance'
データ型: char
| string
| function_handle
Decoding
— 復号化スキーム
'lossweighted'
(既定値) | 'lossbased'
バイナリ損失を集計する復号化方式。'Decoding'
と 'lossweighted'
または 'lossbased'
から構成されるコンマ区切りのペアとして指定します。詳細は、バイナリ損失を参照してください。
例: 'Decoding','lossbased'
Options
— 推定オプション
[]
(既定値) | statset
によって返される構造体配列
推定オプション。statset
により返される 'Options'
と構造体配列から構成されるコンマ区切りのペアとして指定します。
並列計算を起動するには、以下を行います。
Parallel Computing Toolbox™ ライセンスが必要です。
'Options',statset('UseParallel',true)
を指定します。
Verbose
— 詳細レベル
0
(既定値) | 1
詳細レベル。'Verbose'
と 0
または 1
から構成されるコンマ区切りのペアとして指定します。Verbose
は、コマンド ウィンドウに表示される診断メッセージの量を制御します。
Verbose
が 0
の場合、診断メッセージは表示されません。それ以外の場合は、診断メッセージが表示されます。
例: 'Verbose',1
データ型: single
| double
詳細
分類エッジ
"分類エッジ" は、分類マージンの加重平均です。
特徴選択を実行する場合などに複数の分類器から選択する方法の 1 つは、エッジが最大になる分類器を選択することです。
分類マージン
"分類マージン" は、各観測値における真のクラスの負の損失と偽のクラスの負の最大損失の差です。各マージンのスケールが同じである場合、マージンを分類の信頼尺度として使用できます。複数の分類器の中で、マージンが大きい分類器の方が優れています。
バイナリ損失
"バイナリ損失" は、バイナリ学習器がどの程度の精度で観測値をクラスに分類するかを決定する、クラスと分類スコアの関数です。ソフトウェアでバイナリ損失をどのように集計して各観測値の予測クラスを判定するかは、ECOC モデルの "復号化方式" で指定します。
以下のように仮定します。
mkj は符号化設計行列 M の要素 (k,j)、つまりバイナリ学習器 j のクラス k に対応する符号。M は K 行 B 列の行列であり、K はクラスの数、B はバイナリ学習器の数です。
sj は観測値に対するバイナリ学習器 j のスコア。
g はバイナリ損失関数。
は観測値の予測クラス。
ソフトウェアでは 2 つの復号化方式をサポートしています。
関数 predict
、resubPredict
、および kfoldPredict
は、それぞれの観測値とクラスについて、argmin
の目的関数の符号反転値を 2 番目の出力引数 (NegLoss
) として返します。
次の表は、サポートされる損失関数をまとめたものです。ここで、yj は特定のバイナリ学習器のクラス ラベル (集合 {–1,1,0} 内)、sj は観測値 j のスコア、g(yj,sj) はバイナリ損失関数です。
値 | 説明 | スコア領域 | g(yj,sj) |
---|---|---|---|
"binodeviance" | 二項分布からの逸脱度 | (–∞,∞) | log[1 + exp(–2yjsj)]/[2log(2)] |
"exponential" | 指数 | (–∞,∞) | exp(–yjsj)/2 |
"hamming" | ハミング | [0,1] または (–∞,∞) | [1 – sign(yjsj)]/2 |
"hinge" | ヒンジ | (–∞,∞) | max(0,1 – yjsj)/2 |
"linear" | 線形 | (–∞,∞) | (1 – yjsj)/2 |
"logit" | ロジスティック | (–∞,∞) | log[1 + exp(–yjsj)]/[2log(2)] |
"quadratic" | 2 次 | [0,1] | [1 – yj(2sj – 1)]2/2 |
yj = 0 のときに損失が 0.5 になるようにバイナリ損失が正規化され、バイナリ学習器の平均が集計に使用されます[1]。
ECOC 分類器の全体的な性能の尺度である全体の分類損失 (オブジェクト関数 resubLoss
および resubPredict
の名前と値の引数 LossFun
により指定) とバイナリ損失を混同しないでください。
ヒント
複数の ECOC 分類器のマージンまたはエッジを比較するには、テンプレート オブジェクトを使用して分類器間で共通するスコア変換関数を学習時に指定します。
参照
[1] Allwein, E., R. Schapire, and Y. Singer. “Reducing multiclass to binary: A unifying approach for margin classifiers.” Journal of Machine Learning Research. Vol. 1, 2000, pp. 113–141.
[2] Escalera, S., O. Pujol, and P. Radeva. “Separability of ternary codes for sparse designs of error-correcting output codes.” Pattern Recog. Lett. Vol. 30, Issue 3, 2009, pp. 285–297.
[3] Escalera, S., O. Pujol, and P. Radeva. “On the decoding process in ternary error-correcting output codes.” IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence. Vol. 32, Issue 7, 2010, pp. 120–134.
拡張機能
自動並列サポート
Parallel Computing Toolbox™ を使用して自動的に並列計算を実行することで、コードを高速化します。
並列実行するには、この関数を呼び出すときに名前と値の引数 Options
を指定し、statset
を使用してオプション構造体の UseParallel
フィールドを true
に設定します。
Options=statset(UseParallel=true)
並列計算の詳細については、自動並列サポートを使用した MATLAB 関数の実行 (Parallel Computing Toolbox)を参照してください。
GPU 配列
Parallel Computing Toolbox™ を使用してグラフィックス処理装置 (GPU) 上で実行することにより、コードを高速化します。
この関数は、GPU 配列を完全にサポートします。詳細は、GPU での MATLAB 関数の実行 (Parallel Computing Toolbox)を参照してください。
バージョン履歴
R2014b で導入
MATLAB コマンド
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