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空間ベクトル PWM 変調器

この例では、V/Hz 一定則と空間ベクトル (SV) PWM 手法を使用した誘導モーターの開ループ速度制御を示します。

Pierre Giroux, Hydro-Quebec (IREQ)

説明

定格値が 3 HP、220 V、60 Hz、1725 rpm の三相かご型モーターは、325 V の DC 電圧に接続された三相 MOSFET インバーターで駆動されます。このインバーターは "Universal Bridge" ブロックを使用してモデル化され、モーターは "Asynchronous Machine" ブロックを使用してモデル化されます。インバーターと非同期機の間に配置された平滑リアクトルの効果をシミュレートするために、固定子の漏れインダクタンス Lls は実際の値の 2 倍に設定されます。非同期機のシャフトに加えられる負荷トルクは定数で、基準値の 11.9 N.m に設定されます。

インバーターに対する点弧パルスは、SPS ライブラリの "Space-Vector PWM modulator" ブロックによって生成されます。チョッピング周波数は 1980 Hz に設定され、入力参照ベクトルは "Magnitude-Angle" に設定されます。

モーターの回転数の制御は "Constant V/Hz" ブロックによって実行されます。固定子の電圧の大きさおよび周波数は、回転数の設定点に基づいています。固定子の電圧の大きさが周波数に比例して変動することで、固定子磁束は一定に保たれます。

シミュレーション

シミュレーションを開始します。初期状態が自動的に読み込まれるため、シミュレーションは定常状態で開始します。モーターの初期回転数は 1720 RPM で、固定子電圧の rms 値は 220V@60Hz です。

0.1 秒のとき、速度の設定点は 1725 RPM から 1300 RPM に変化します。Scope 1 内のシステムの動的な挙動を観察します。モーターの速度が 1275 RPM に達すると、固定子電圧の rms 値が 165.8V まで低下し、周波数も 45.2 Hz まで低下します。

固定子電圧 (相 AB) および相 A の電流波形は "V-I Stator" Scope で確認できます。これら 2 つの値の FFT を実行するには、Powergui の FFT 解析を使用します。

初期条件の再生成

1725 rpm の基準速度および 11.9 N.m の負荷トルクを指定して、定常状態でこのモデルを開始するために必要な初期状態は、"SVPWMConverterInit.mat" ファイルに保存されています。このモデルを開くと、InitFcn コールバック ([モデル プロパティ]、[コールバック] 内) によってこの .mat ファイルの内容 ("xInitial" 変数) がワークスペースに自動的に読み込まれます。

このモデルを変更するか、電力コンポーネントのパラメーター値を変更すると、"xInitial" 変数に保存された初期条件は無効になり、Simulink® によりエラー メッセージが表示されます。変更したモデルの初期条件を再生成するには、以下に示した手順に従います。

1. [シミュレーション]、[コンフィギュレーション パラメーター]、[データのインポート/エクスポート] パラメーター メニューで、[初期状態] をオフにします。

2. "Speed Setpoint (RPM)" というラベルの Step ブロックをダブルクリックし、ステップ時間を 100 で乗算して、基準速度の変更を一時的に無効にします。

3. シミュレーション モードを "ノーマル" から "アクセラレータ" に変更します。

4. シミュレーションを開始します。シミュレーションが完了したら、スコープに表示される波形を観察して、定常状態に達したことを確認します。最終状態は、時間と共に "xFinal" 構造体に保存され、次回のシミュレーションの初期状態として使用できます。次の 2 つのコマンドを実行すると、これらの最終状態が "xInitial" にコピーされ、この変数が新しいファイル (myModel_init.mat) に保存されます。

>> xInitial=xFinal;
>> save myModel_init xInitial

5. [ファイル]、[モデル プロパティ]、[コールバック]、[InitFcn] ウィンドウで、初期化ファイルの名前を "SVPWMConverterInit" から "myModel_init" に変更します。次回、このモデルを開くと、myModel_init.mat ファイルに保存された変数 xInitial がワークスペースに読み込まれます。

6. [シミュレーション]、[コンフィギュレーション パラメーター] メニューで、[初期状態] をオンにします。

7.シミュレーションを開始し、モデルが定常状態で開始したことを確認します。

8. "Speed Setpoint (RPM)" というラベルの Step ブロックをダブルクリックし、t=0.1 秒で基準速度の変更を再度有効にします (ステップ時間で 100 の増倍率を削除します)。

9. シミュレーション モードをノーマルに戻します。

10. モデルを保存します。