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三相直列補償付き回路網

この例では、三相ブロックを使用して、直列補償の 735 kV 送電システムでの過渡特性について調べる方法を示します。

G. Sybille (Hydro-Quebec)

説明

6 機の 350 MVA 発電機で構成される電力プラントから、600 km の送電線を経由して、等価回路網に電力を送る三相、60 Hz、735 kV の交流送電システムです。ただし、母線 B1-B2 の間、母線 B2-B3 の間は、それぞれ 300 km の 2 つの送電線で構成されています。送電能力を高めるために、各相の送電線は、送電線のリアクタンスの 40% を占めるコンデンサで直列補償されています。また、300 km の両方の送電線は、330 Mvar 分流リアクタンスで補償されています。その分流リアクタンスと直列補償コンデンサは、B2 の変電所に設置されています。この変電所では、25 kV の三次巻線をもつ 300 MVA 735/230 kV の変圧器が、230 kV、250 MW の負荷に電力を供給しています。直列補償サブシステムは 2 つの送電線と同じです。送電線ごとに、直列補償モジュールの各相には、直列補償コンデンサ、コンデンサを保護する金属酸化物バリスタ (MOV) および MOV を保護するパラレル ギャップが含まれています。MOV で消費するエネルギーがしきい値レベル 30 MJ を超えたときに、回路ブレーカーによってシミュレートされるギャップが作動します。CB1 および CB2 は 2 つの回路ブレーカーです。

発電機は、Simplified Synchronous Machine ブロックでシミュレートされます。Universal transformer ブロック (2 巻線と 3 巻線) を使用して、2 つの変圧器をモデル化します。母線 B2 に接続された変圧器には、変圧器の磁気飽和特性が設定されています。電圧と電流を B1、B2、および B3 ブロックで測定します。これらのブロックは、電圧および電流の信号が Goto ブロックを介して Data Acquisition ブロックに送られる Three-phase V-I Measurement ブロックです。

故障と送電線の切り替え

ここでは、線-対地絡間故障および三相地絡故障が送電線 1 で発生したときの、この回路の過渡特性について学習します。故障と 2 つの回路ブレーカー CB1 および CB2 を three-phase ライブラリのブロックでシミュレートします。ここで、CB1 と CB2 のダイアログ ボックスを開いてください。ブレーカーの初期値とスイッチング時間の設定値をそれぞれ確認してください。線-対地絡間故障は、t = 1 サイクルで A 相に発生するように設定します。次に、初期時には閉じている 2 つの回路ブレーカーは、t = 5 サイクルで開きます。つまり、故障が生じてから t = 4 サイクル後にブレーカーが開きます。故障は、2 つのブレーカー (CB1、CB2) が開いてから 1 サイクル後の t=6 サイクルで解消されます。このような条件に基づいてシミュレーションを行います。

シミュレーション

このシステムには Powergui ブロックが含まれていることに注意してください。さらに、システム 'SeriesCompensatedNetwork' モデルを開始すると、サンプル時間 Ts = 50e-6 がワークスペースで自動的に設定されます。したがって、システムは 50 マイクロ秒のサンプル時間を使用して離散化されます。

地絡故障

Data Acquisition ブロックをダブルクリックして、3 つのスコープを開きます。シミュレーションを開始します。システムは既に Powergui の Load Flow ユーティリティで初期化されているので (13.8 kV 母線で 1500 MW の発電)、シミュレーションが定常状態で始まります。t = 1 サイクルで、線-対地絡間故障が発生し、地絡電流が 10 kA に達します。故障が発生している間、MOV は半サイクルごとに動作し、MOV で消費したエネルギーは 13 MJ に達します。

t = 5 サイクルでは、送電線保護継電器 (シミュレートされません) がブレーカー CB1 および CB2 を開き、エネルギーは 13 MJ で維持されます。最大エネルギーは、30 MJ のしきい値を超えることができないので、MOV に並列に接続されたブレーカー (Gap ブロック) で放電することはありません。ブレーカーが開くと、地絡電流は減少し、送電線と直列補償コンデンサは、地絡した A 相とリアクタンスを通して放電を開始します。A 相地絡故障を発生させる Fault Breaker ブロックに与えられた開放命令に従い (t = 6 サイクル)、その後の最初のゼロクロッシング時において地絡電流は無くなります。その後、直列補償コンデンサは放電を停止し、その電圧が 220 kV 近辺で振動します。

三相地絡故障

Fault Breaker ブロックの A 相、B 相、および C 相を調べて、故障タイプを三相地絡故障に変更します。再度、シミュレーションを実行してください。故障が発生している間、MOV で吸収するエネルギーは、線-対地絡間故障の場合より大きくなります。3 サイクル後、断流器が開く 1 サイクル前に、そのエネルギーは 30 MJ のしきい値に達します。その結果、ブレーカー (Gap ブロック) で放電が起こり、直列補償コンデンサの電圧は、ダンピング作用をもつ直列 RL 回路を通して放電し、ゼロになります。