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静止型無効電力補償装置 (SVC) フェーザ モデル

この例では、静止型無効電力補償装置モデルの定常状態および動的特性を示します。

G. Sybille (Hydro-Quebec)

説明

静止型無効電力補償装置 (SVC) を、500 kV、3000 MVA のシステムで電圧を制御するために使用します。システム電圧が低い場合、SVC は無効電力を生成します (SVC 容量性)。システム電圧が高い場合、SVC は無効電力を吸収します (SVC 誘導性)。SVC の定格値は、容量性で +200 Mvar、誘導性で 100 Mvar です。Static Var Compensator ブロックは、システムの基本周波数における SVC の静的および動的特性を表すフェーザ モデルです。

SVC 制御パラメーターを確認するには、[SVC] ダイアログ ボックスを開いて [Display Control parameters] を選択します。SVC は電圧制御モードに設定されており、基準電圧は Vref=1.0 pu となっています。電圧降下は 0.03 pu/ 200 MVA であるため、SVC 電流が完全な容量性から完全な誘導性に推移すると電圧は 0.97 pu から 1.015 pu に変化します。次に、青色のブロックをダブルクリックして SVC の V-I 特性を表示します。

実際の SVC 正相電圧 (V1) とサセプタンス (B1) は "Signal Processing" サブシステム内で測定されます。この測定には、Three-Phase V-I Measurement ブロックにより返された複素電圧 Vabc と複素電流 Iabc を使用しています。

1. SVC の動的応答

Three-Phase Programmable Voltage Source はシステム電圧を変動させ、SVC のパフォーマンスを観察するために使用します。最初、電圧源は定格電圧を生成しています。その後、電圧はまず低下し (t = 0.1 秒で 0.97 pu)、次に上昇し (t = 0.4 秒で 1.03 pu)、最後に定格電圧に戻ります (t = 0.7 秒で 1 pu)。

シミュレーションを開始し、Scope で電圧ステップに対する SVC の動的応答を観察します。トレース 1 は、実際の正相サセプタンス B1 と電圧レギュレーターの制御信号出力 B を示します。トレース 2 は、実際のシステム正相電圧 V1 と SVC 測定システムの出力 Vm を示します。

SVC の応答速度は、電圧レギュレーターの積分ゲイン (比例ゲイン Kp は 0 に設定されます)、システムの強度 (リアクタンス Xn)、ドループ (リアクタンス Xs) によって異なります。電圧測定時定数と、バルブの点弧による平均時間遅延 Td が無視される場合、システムは閉ループ時定数をもつ 1 次システムで近似できます。

    Tc= 1/(Ki*(Xn+Xs))

指定されたパラメーター (Ki = 300、Xn = 0.0667 pu/200 MVA、Xs = 0.03 pu/200 MVA) では、Tc = 0.0345 秒となります。制御器のゲインを増加させるかシステムの強度を低下させると、測定時定数とバルブ点弧の遅延 Td は無視できなくなり、振動性応答が観察されて、最終的に不安定となります。

2. 定常状態の V-I 特性の測定

SVC の定常状態の V-I 特性を測定するため、電源電圧のゆっくりした変動をプログラムします。[Programmable Voltage Source] メニューを開き、[Type of Variation] パラメーターを [変調] に変更します。変調パラメーターは、正相電圧の正弦波変動が 20 秒間に 0.75 ~ 1.25 pu の範囲で適用されるよう設定されます。終了時間を 20 秒に変更してからシミュレーションを再実行します。シミュレーションが完了したら、青色のブロックをダブルクリックします。理論上の V-I 特性 (赤色) が、測定された特性 (青色) と共に表示されます。