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直列負荷共振コンバーター
この例では、直列負荷共振コンバーターの動作を説明します。
説明
直列負荷共振コンバーターは、ソフトスイッチング動作を可能とする共振回路をベースとした DC/DC コンバーターです。ソフトスイッチング コンバーターでは、電圧と電流の両方またはいずれか一方の値がゼロのときにスイッチングが行われるため、コンバーターの効率が大幅に向上します。スイッチは、スイッチが状態を変える際に電圧または電流がゼロになると、それぞれゼロ電圧スイッチング (ZVS) またはゼロ電流スイッチング (ZCS) を行うといわれます。
コンバーターは、フルブリッジの MOSFET ブリッジ、Lr Inductor および Cr Capacitor ブロックで表される共振タンク、フルブリッジ整流器、出力フィルター (Co) で構成されています。タンクの共振周波数は、次の式で与えられます。
スイッチング周波数 の範囲によって、SLR コンバーターの 3 つの可能な動作モードのいずれかに決定されます。
不連続伝導モード (DCM)。 の場合で、オフ時に ZVS および ZCS、オン時に ZCS が行われます。
連続伝導モード (CCM1)。 の場合で、オフ時に ZVS および ZCS が行われます。
連続伝導モード (CCM2)。 の場合で、オン時に ZVS が行われます。
シミュレーション
この例では、共振周波数 = 11.25 kHz です。スイッチング周波数 = 13.14 kHz (伝導モード 3 = CCM2) を選択し、シミュレーションを実行します。Scope 1 および Scope 2 で波形を観察します。0.5 Ω の負荷では、12 V の入力電圧に対して 10 V の出力が得られます。次に、他の導電モードを試したり、負荷を 0.5 Ω から 5 Ω に変更するなどしてください。与えられた負荷に対する共振回路の DC ゲイン特性によって、出力が 10 V ではなくなることがわかります。
DC ゲイン特性のプロット (0.5 Ω のトレース) を観察すると、実験でのゲイン値が理論上のゲイン値からわずかにずれていることがわかります。これは、理論上のゲインの計算で出力フィルター Co が考慮されていないことが原因です。また、DC ゲイン特性のプロット (5 Ω のトレース) が示すように、軽負荷時に SLR コンバーターの出力を調整するのは難しくなります。
参考文献
T.Taufik, M.McCarthy, S.Watkins, M.Anwari; "Performance Study of Series Loaded Resonant Converter Using Super Barrier Rectifiers", IEEE, TENCON 2009.