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三相整流器の高調波解析

この例では、Simscape™ のログ データを解析して高調波の振幅を取得する関数、全高調波歪みの割合を計算する関数、高調波の振幅をプロットする関数の使用方法を説明します。この解析対象のモデルは、三相整流器です。説明する関数は次のとおりです。

  • ee_getHarmonics

  • ee_calculateThdPercent

  • ee_plotHarmonics

モデルを開く

モデルを開きます。

パラメーターの指定

パラメーターは次のとおりです。

  • 定格 AC 電圧: $V_{Rated} \rm{V}$

  • 定格 AC 周波数: $F_{Rated} \rm{Hz}$

  • AC 有効電力負荷: $P_{AC} \rm{W}$

  • DC 有効電力負荷: $P_{DC} \rm{W}$

  • 合計皮相電力: $S_{Rated} \rm{VA}$

テスト回路では、AC 負荷は 5 MW を消費するように設定され、DC 負荷は約 5 MW を消費するように設定されます。

電源インピーダンスの計算

パラメーターは次のとおりです。

  • X/R 比: $XR$

  • pu インピーダンス: $Z_{pu}$

  • pu ベース インピーダンス: $Z_{base}$

  • pu ベース インダクタンス: $L_{base}$

  • 電源直列抵抗: $R_{series} \rm{\Omega}$

  • 電源直列インダクタンス: $L_{series} \rm{H}$

DC 抵抗の計算

パラメーターは次のとおりです。

  • 損失を無視して計算した DC 平均電圧: $V_{DC} \rm{V}$

  • DC 抵抗: $R_{DC} \rm{\Omega}$

(式の導出は、付録を参照)

DC resistance required to draw 5000000 W on DC side = 6.3123 Ohm

Simscape モデルでのパラメーターの使用

これで、計算したパラメーターを Simscape モデル SixPulseHarmonics で使用できます。シミュレーションを実行すると、Simscape のログ変数 simlog_SixPulseHarmonics を作成するようにモデルが設定されます。

高調波データの取得

関数 ee_getHarmonics を使用して、Simscape のログ変数から高調波の次数、高調波の振幅、基本周波数の詳細を取得できます。

基本波のピーク値の計算

基本波のピーク値を抽出できます。

Peak value of fundamental = 1945.806 A

小さい高調波の削除

基本波の 1000 分の 1 より大きい高調波を検出して保持します。

表形式の高調波データの表示

高調波データは、MATLAB® の table に格納することができます。

harmonicTable =

  10x4 table

    Order    Magnitude     RMS      Percentage
    _____    _________    ______    __________

      1       1945.8      1375.9         100  
      5       218.86      154.75      11.248  
      7       105.83      74.835       5.439  
     11       85.135        60.2      4.3753  
     13       57.599      40.729      2.9602  
     17       50.417       35.65      2.5911  
     19       37.612      26.596       1.933  
     23       33.859      23.942      1.7401  
     25       26.507      18.743      1.3622  
     29       23.979      16.955      1.2323  

全高調波歪み

関数 ee_calculate_ThdPercent を使用して、高調波データから THD (全高調波歪み) の割合を計算します。

Total Harmonic Distortion percentage = 14.1721 %

高調波のプロット

MATLAB の関数 bar を使用して、高調波データをプロットできます。便宜上、関数 ee_plotHarmonics は Simscape のログ変数から直接、棒グラフをプロットします。

まとめ

この例では、MATLAB コマンド ラインから呼び出し可能な 3 つの関数を使用する方法を説明しています。これらの関数は Simscape のログ データを解析して、高調波の振幅の取得、全高調波歪みの割合の計算、高調波の振幅のプロットを実行します。

リアルタイム シミュレーションの結果

このモデルは、Intel® 3.5 GHz i7 マルチコア CPU を搭載した Speedgoat Performance リアルタイム ターゲット マシンでテストされました。このモデルは、20 マイクロ秒のステップ サイズでリアル タイム実行できます。

付録 - DC 抵抗値の計算式

三相整流器の AC ピーク入力 $V_P$ と DC 平均出力 $V_{DC}$ の関係は、損失を無視して次のように計算できます。

$V_{DC}=\frac{1}{2\pi/6} \int_{2\pi/3}^{\pi/3} \sqrt{3} V_P \,\mathrm{sin}(\omega t) \,\mathrm{d}(\omega t)$

$V_{DC}=\frac{3\sqrt{3}}{\pi} V_P$

定格電圧 (線間 RMS) $V_{Rated}$ とピーク相電圧 $V_P$ の関係は次の式で表されます。

$V_P = \frac{\sqrt{2}}{\sqrt{3}} V_{Rated}$

定格 AC 電圧と平均 DC 電圧の関係は次の式で表されます。

$V_{DC}=\frac{3\sqrt{2}}{\pi} V_{Rated}$

特定の電力 $P$ を取り出すために必要な抵抗 $R$ は次の式で表されます。

$R = \frac{V_{DC}^2}{P}$