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DC2 - 4 象限単相整流器 5 HP DC ドライブ

この例では、速度制御時に循環電流を使用する DC2 4 象限単相整流器 DC ドライブを示します。

C.Semaille, Louis-A. Dessaint (Ecole de technologie superieure, Montreal)

説明

この回路では Specialized Power Systems の DC2 ブロックを使用します。これは、5 HP DC モーターの 4 象限単相整流器 (デュアル コンバーター トポロジ) ドライブをモデル化したものです。

5 HP DC モーターは、一定の 150 V DC 界磁電圧源で個別に励起されます。電機子電圧は、2 つの PI 制御器で制御されている 2 つの単相逆並列接続コンバーターにより生成されます。これにより、DC モーター電機子回路を経由する双方向電流が発生し、4 象限の動作が可能になります。コンバーターは、230 V AC 60 Hz の電圧源に線形変圧器をつなぎ、電圧を十分な値に高めて電力の供給を受けています。

制御器は両方のコンバーター サイリスタの点弧角を制御します。最初の制御器は速度調整器で、その次は電流制御器です。速度調整器は、目的の速度に達するのに必要な電磁トルクを取得するために、電流コントローラーで使用する電機子電流指令値を出力します (p.u. 単位)。速度指令の変化率は、急激な指令値の変化により電機子過電流が発生してシステムが不安定にならないように、加速および減速ランプに従います。電流制御器はサイリスタの適切な点弧角を計算して電機子電流を制御します。これにより、目的の電機子電流を得るために必要なコンバーター出力電圧が生成されます。

両方のコンバーターが同時に動作し、2 つの点弧角の合計が 180° となるように点弧角が制御されます。これにより、2 つのコンバーター DC 出力端子で反対方向の平均電圧が生成され、コンバーターは逆並列に接続されているため、同じ平均電圧が DC モーター電機子で発生します。一方のコンバーターは整流器モードで動作し、もう一方はインバーター モードで動作します。

両コンバーターの端子における瞬間的な電圧差によって生じる循環電流は、端子間に接続された 80 mH のインダクタにより制限されています。電機子電流の振動を抑えるため、50 mH の平滑化インダクタンスが電機子回路と直列に接続されています。

シミュレーション

シミュレーションを開始します。モーター電機子の電圧と電流、コンバーターの点弧角およびモーター回転数をスコープで観察できます。電流および速度の指令値も表示されます。2 番目のスコープではコンバーターの平均出力電圧と出力電流を可視化できます。

このシミュレーションでは、モーターは線形負荷と連動しています。つまり、負荷によって生成される機械的トルクは速度に比例します。

速度指令は t = 0 秒で 1200 rpm に設定されています。点弧角は 90°を中心として対称となり、コンバーターの平均出力 DC 電圧は符号が逆になります。電機子電流はコンバーター 1 によって供給されます。このコンバーターの全電流は負荷電流と循環電流の合計になります。コンバーター 2 は循環電流のみを伝送します。

モーター回転数は加速度の指令ランプ (+250 rpm/s) に正確に追従し、5.5 秒後に定常状態に達します。電機子電流は電流の指令値によく従い、12 A 付近で安定します。

t = 6 秒で、回転数の指令値は -600 rpm に設定されています。電流の指令値が低下して電磁トルクが低下し、負荷トルクによりモーターは減速します。負荷トルクはモーターを減速させるには不十分なため、t = 10.4 秒付近で電機子電流は負の値となり、電磁トルクが反転してモーターの回転を 0 rpm へと低下させます。t = 10.8 秒でモーターは 0 rpm に達し、負荷トルクは負の値になります。電磁トルクにより加速トルクが生成され、モーターは負の速度ランプ (-250 rpm/s) に追従できるようになります。電機子電流はコンバーター 2 により供給され、コンバーター 1 は循環電流のみを処理します。

t = 13.2 秒において、回転数は -600 rpm で安定します。

メモ:

1) 電力システムは 10 us のタイム ステップで離散化されています。マイクロコントローラーの制御デバイスのシミュレーションを実行するために、制御システム (制御器) は 100 us のサンプル時間を使用しています。

2) スコープ メモリに格納される点数を減らすため、間引き係数に 20 を使用します。

3) 平均値整流器を使用した簡略版のモデルは、グラフィカル ユーザー インターフェイスの [Model detail level] メニューで [平均値] を選択すると使用できます。その後、タイム ステップを制御システムのサンプル時間値まで増加することができます。これを実行するには、この例の場合であれば、ワークスペースで「Ts = 100e-6」と入力します。dc2_example_simplified モデルも参照してください。