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変流器飽和

この例では、変流器 (CT) の飽和による測定の歪みを示します。

G. Sybille (Hydro-Quebec)

説明

120 kV の回路上で接続されたインダクター内の電流の測定には、変流器 (CT) を使用します。CT の定格値は 2000 A / 5 A、5 VA です。CT トロイダル コアを通る単一巻で構成される一次巻線は、定格値が 69.3 Mvar、69.3 kV (120kV/sqrt(3))、1 kA rms のインダクターと直列接続されています。1*2000/5 = 400 巻で構成される二次巻線は、1 Ω の負荷抵抗で短絡しています。二次側に接続される電圧センサーは、一次電流に比例する電圧を読み出します。定常状態では、二次側に流れる電流は、1000*5/2000 = 2.5 A (Voltage Measurement ブロック V2 で読み出される 2.5 Vrms または 3.54 Vpeak) です。

CT ダイアログ ボックスを開き、CT パラメーターの指定方法を確認してくさい。CT は、10 pu で飽和状態になると想定され、単純な 2 セグメントの飽和特性が使用されています。

二次側に反映される一次電流と、1 Ω の抵抗全体に対する電圧は、Scope ブロックのトレース 1 に送られます。Multimeter ブロックによって測定される CT 磁束は、pu に変換されトレース 2 に送られます (1 pu flux = 0.0125 V *sqrt(2)/ (2*pi*50) = 5.63e-5 V.s)。

CT 二次側と直列接続されたスイッチは通常閉じています。このスイッチは、CT 二次側が開いたままのときに生成される過電圧の説明に使用します。

シミュレーション

1.通常の動作

このテストでは、ブレーカーは電源電圧のピーク時 (t = 1.25 サイクル) に閉じます。この切り替えにより、電流の非対称性は生成されません。シミュレーションを開始し、CT 一次電流と二次電圧 (Scope ブロックの最初のトレース) を観察してください。予想どおり、CT 電流と電圧は、正弦波であり、CT 抵抗および漏れリアクタンスによる測定誤差はわずかです。磁束には DC 成分が含まれますが、10 pu 飽和値よりも低い値にとどまります。

2. 電流の非対称性による CT 飽和

ここで、電圧ゼロクロッシングで閉じるために、ブレーカーの閉路時間を変更します。t = 1/50 秒を使用します。これにより、分流リアクトルに完全な電流非対称性が発生します。再度、シミュレーションを実行してください。最初の 3 つのサイクルでは、磁束は磁気飽和の屈曲点 (10 pu) よりも低くなっています。そのため、CT 電圧出力 V2 は一次電流が流れます。しかし、3 つのサイクルの後は、一次電流によって生成された磁束非対称性により、CT の飽和状態が発生するため、CT 二次電圧に大幅な歪みが起こります。

3. CT 二次開路による過電圧

一次ブレーカーの閉路時間を t = 1.25/50 秒 (磁束非対称性なし) で再度プログラムし、二次スイッチの開路時間を t = 0.1 秒に変更します。シミュレーションを再実行し、CT 二次スイッチが開じたときに高い過電圧が生成されることを確認します。磁束には、+10 および -10 pu でチョップされる方形波形があります。磁束反転で生成される大きい dphi/dt により、高電圧スパイク (250 V) が発生します。