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AC5 - 自己制御同期 200 HP モーター ドライブ

この例では、速度制御時の AC5 自己制御同期モーター ドライブを示します。

H.Blanchette, L.-A. Dessaint (Ecole de technologie superieure, Montreal)

説明

この回路では Specialized Power Systems ライブラリの AC5 ブロックを使用します。これは、200 HP モーターの能動フロントエンド整流器を伴う自己制御同期モーター ドライブをモデル化したものです。

同期モーターには、Universal Bridge ブロックを使用して作成された PWM 電圧源インバーターから電力が供給されます。速度制御ループでは PI 制御器を使用して、ベクトル コントローラー ブロックの磁束と電流の基準を生成します。ベクトル コントローラーは、トルク基準に対応するモーターの 3 つの基準線電流を計算し、三相電流制御器を使用してこれらの電流をモーターに供給します。ベクトル コントローラーではまた磁束の推定値を計算し、界磁励磁電圧を生成するために目標値と比較します。

同期機の磁界磁束ダイナミクスは比較的ゆるやかなため、固定子に三相電流を供給する前に磁界磁束をまずノミナル値にすることが推奨されます。この例では、回転子の界磁を速やかに高めるために、シミュレーションの最初の 0.2 秒に 600 V の高い磁化電圧が回転子の界磁に加えられます。磁束がノミナル値の 1.0 ウェーバーに達すると、モーター固定子に関連付けられた三相電流制御器にスイッチが入ります。

モーターの電流、速度、トルクの信号は、ブロックの出力で得られます。

シミュレーション

シミュレーションを開始します。モーターの固定子電流、回転子速度、電磁トルク、DC 母線電圧およびモーターの磁束を Scope で観察できます。速度指令値およびトルク指令値も表示されます。

t = 1.5 秒の時点で、速度指令値は 200 rpm です。速度が加速ランプに正確に追従して増加し、固定子電流の振幅と周波数が徐々に増大することを観察します。

t = 3.0 秒で、ノミナル値の抵抗トルクがモーター シャフトに加えられます。このタイプのトルクはモーターを減速する傾向があることを思い出してください。モーター回転数がわずかにアンダーシュートする理由はここにあります。その後、モーターは 200 rpm に達します。

t = 4.0 秒では、速度指令値は 0 rpm に変化します。これによって、モーターの生み出す電気トルクは低下します。速度は減速ランプに正確に追従して、0 rpm に減少します。t = 6.0 秒で、速度の設定点が 0 rpm に達します。

t = 5.5 秒で、モーター シャフトに加えられる負荷トルクの符号が反転します。これに対応するモーター回転数の小さなオーバーシュートと、電気トルクのノミナル値での安定化を観察してください。

最後に、シミュレーションを通して DC 母線電圧が効果的に制御される様子に注目してください。

メモ:

1) 電力システムは 2 us のタイム ステップで離散化されています。速度コントローラーは 140 us のサンプル時間を、ベクトル コントローラーは 20 us のサンプル時間を使用して、マイクロコントローラー制御デバイスのシミュレーションを実行しています。

2) 同期機のトルク符号の規則は、非同期機や PM 同期機の規則とは異なります。すなわち、同期機は電気トルクが負のときにモーター動作モードとなり、電気トルクが正のときに発電機動作モードとなります。

3) 平均値インバーターと整流器を使用する簡略化バージョンのモデルは、グラフィカル ユーザー インターフェイスの [Model detail level] メニューで [平均値] を選択すると使用できます。ここで、タイム ステップは最大 50 us まで増やせます。これを行うには、ワークスペースで「Ts = 50e-6」と入力し、速度コントローラーのサンプリング時間を 150e-6 に、DC 母線コントローラーのサンプリング時間を 50e-6 に、ベクトル コントローラーのサンプリング時間を 50e-6 に変更します。ac5_example_simplified モデルも参照してください。