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並進の測定

並進検出の概要

座標系の並進は各種の座標系で測定できます。この座標系には、直交座標系、円柱座標系および球面座標系が含まれます。各種の座標系は、Transform Sensor ブロックを介して利用できます。また、限定的ながらジョイント ブロックを使っても利用できます。選択する座標系はモデルによって異なります。用途に最も便利な座標系を選択してください。

並進の測定

並進は相対量です。1 つの座標系の並進は、別の座標系に対してのみ意味があります。したがって、並進検出機能をもつブロックで測定を実行するには、測定座標系と基準座標系の 2 つの座標系が必要です。このようなブロックでは、follower 座標系端子が測定座標系を特定し、base 座標系端子が測定の基準座標系を特定します。

一部の測定値は、複数の座標系に共通しています。例として Z 座標があげられます。これは直交座標系と円柱座標系の両方に存在します。Transform Sensor のダイアログ ボックスでは、複数の座標系を構成する座標系は 1 回しか表示されません。[Z] を選択すると、直交座標系と円柱座標系の両方で、Z 軸に沿った並進が出力されます。

異なる測定値であっても同じ名前を共有する場合があります。たとえば、半径は球面座標系と円柱座標系の両方に存在する座標です。球面座標系の半径は、円柱座標系の半径とは異なります。前者は 2 つの座標系の原点間の距離で、後者は 1 つの座標系の原点と座標系の Z 軸間の距離です。

2 つの半径座標を区別するため、Simscape™ Multibody™ では次の規則を使用しています。

  • Radius — 円柱座標系の半径座標

  • Distance — 球面座標系の半径座標

直交座標の測定

直交座標系では、互いに垂直な 3 つの軸に対応する 3 つの線形座標 X、Y、Z を使用します。直交座標系の並進の測定には距離の単位があります。既定値はメートルです。PS-Simulink Converter ブロックを使用して、Simulink® ブロックとのインターフェイスをとる際に別の物理単位を選択できます。

Transform Sensor

Transform Sensor 内の任意の直交座標軸を選択して、並進の検出に使用できます。これは、並進がいずれかの直交座標軸に沿って制約されている場合にも当てはまります。直交座標軸を選択すると、物理量信号端子 x、y、z がそれぞれ表示されます。

ジョイント

ジョイント ブロックを使用すると、それぞれの直進プリミティブ軸に沿った並進を検出できます。直進プリミティブのメニューで検出パラメーターを選択すると、対応する物理量信号端子が表示されます。たとえば、Cartesian Joint ブロックの [Z Prismatic Primitive (Pz)][Position] を選択すると、ブロックに物理量信号端子 z が表示されます。

円柱座標の測定

円柱座標系では、1 つの角座標と 2 つの線形座標を使用します。線形座標は円柱の半径 R と長さ Z です。角座標は、長さの軸に沿った方位角 ϕ です。線形座標には距離の単位があります。既定値はメートルです。角座標には角度の単位があります。既定値はラジアンです。PS-Simulink Converter ブロックを使用して、Simulink ブロックとのインターフェイスをとる際に別の物理単位を選択できます。

Transform Sensor

Transform Sensor ブロックのみが、円柱座標系における座標系の並進を検出できます。このブロックのダイアログ ボックスで、測定する円柱座標系を 1 つ以上選択できます。円柱座標の名前は [Z][Radius][Azimuth] です。円柱座標系を選択すると、物理量信号端子 z、rad、azm がそれぞれ表示されます。

メモ

[Z] は直交座標系と円柱座標系の両方に属します。

球面座標系の測定

球面座標系は 2 つの角座標と 1 つの線形座標を使用します。線形座標は球の半径 R です。角座標は方位角 ϕ と傾斜 θ です。線形座標には距離の単位があります。既定値はメートルです。角座標には角度の単位があります。既定値はラジアンです。PS-Simulink Converter ブロックを使用して、Simulink ブロックとのインターフェイスをとる際に別の物理単位を選択できます。

Transform Sensor

Transform Sensor ブロックのみが、球面座標系における座標系の並進を検出できます。このブロックのダイアログ ボックスで、測定する球面座標系を 1 つ以上選択できます。球面座標の名前は [Azimuth][Distance][Inclination] です。球面座標を選択すると、物理量信号端子 azm、dst、inc がそれぞれ表示されます。

メモ

[Azimuth] は、円柱座標系と球面座標系の両方に属します。[Distance] は球の半径です。

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